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缶チューハイ片手に電話をする

ここ数日Bさんから連絡がなく、たぶん引き継ぎやら何やらで忙しいのだろうと私からも連絡せずにいた。
毎日仕事をそそくさと終え、コンビニで缶チューハイを買って帰り、簡単な食べ物とチューハイを流し込んで何も考えずに眠る。
こうやって、相手が離れていきそうだなと思うと逆に自分からシャットアウトしてしまうのは私の悪い癖だと思う。でも私なりの防衛本能なのだ。相手に突きつけられる孤独よりも、自分で選びとる孤独のほうがずっといい。

昨夜もそんなふうに過ごしてそろそろ寝ようかと思いながら洗い物をしていたら、Bさんから電話がかかった。

取引先に送別会をしてもらった帰りだそうで、だいぶ呂律が怪しかった。
送別会は焼肉屋だったらしい。Bさんのお誕生日に行ったお店だ。

Bさん「ごめん。俺、ゆいに連れてってもらったのに、『ここ初めて?』って訊かれて『初めてです!来てみたかったからめっちゃ嬉しいです!』って言うてしまったわ」
佐久間「いや、それは当然の社交辞令やろ。シャトーブリアン食べた?」
Bさん「さすがに食べさせてもらえへんかった笑」

…なんてことないやり取りが、久しぶりで嬉しい。

9月いっぱいはこちらにいるのかと思っていたら、思いのほか早く引っ越しが決まったと言う。
私がシルバーウィークに旅行を予定していることもあって、ゆっくり過ごせるのは今週末だけだと判明。
Bさん「やっと引き継ぎ資料作りに着手してんけど、間に合わなくてやばいかも。…まあでも、この土日は仕事捨てるか!」
佐久間「いや、捨てたあかんやろ。でも私は仕事は手伝われへんから、土日会えるなら一緒に荷造りする?」
Bさん「…やらなあかんもんなー。あとおまえ、プレゼントどうするん?いつ行くの?」

あ、忘れられてなかったんだ!?と思う。
異動がわかる数日前にBさんは財布を失くし(結局みつからなかった)、免許証からクレジットカードから何から全てを紛失したため、著しく行動範囲が狭まった。
免許証は再発行したものの、車の鍵も同時に失くしてしまい自分の車は未だに動かせない状態である。
私が誕生日プレゼントを買いに行きたいと言った場所は車じゃないと多分行けないので、これはもう転勤込みで有耶無耶になってしまう可能性大だなと覚悟していたのだ。

Bさん「レンタカー借りるか、電車で行くかやけど、はよしないと行ける日なくなるでー」
佐久間「…うん。お店の営業が不定期ってなってたから、調べとく」
Bさん「ほんで旅行は●日からやんな?その日の午前中に車の鍵作りに来てもらうから、空港には送って行ってあげるわ」

なんだなんだ。急に至れり尽くせりで気持ちが忙しい。
とりあえず、土曜日に会う約束をして「おやすみ」と電話を切った。
気づいたら1時間くらい話していた。

平日は仕事と飲み会で会えなさそうだし、そもそももう一緒にいられる日が数少ないし、それなのにまだちゃんと話せていないことのほうが多い。
でも、ちょろい私はやっぱり、こんな電話でめちゃくちゃに嬉しくなってしまうのだ。
たぶん最後まで、ちょろくて恰好悪いままなんだろう。

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