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ほほ笑みの街

はじめてタイを訪れたのはプーケット島でした。
微笑みの国タイ。
その名の通り現地の人々は目が合うと微笑んでくれ、ああ、なんて素敵な国なんだろうと当時は感動したものでした。

それから十数年経ち仕事でふたたびタイを訪れる機会があり、シラチャという海沿いの街に滞在しました。

勝手に
タイ=ほほ笑みの国
と思い込んでいた私が出会ったのは、街を歩き目が合ってもニコリともしない人々。
不機嫌そうな顔で注文を取りに来る居酒屋の店員。

なんか全然、微笑みの国じゃない。

タイのこのキャッチフレーズはプーケットのようなリゾートに集客するために作られたのものなのだろうか。まあ、そんなもんなんだろうな。

そもそも当時の私はタイ語はおろか英語もほとんど話せなかった。(それは今も大して変わりはないのだが)
最初のうちは買い物や食事など現地の駐在員が何かと面倒を見てくれた。
しかし翌週には放置。彼らも忙しいので仕方ないが、不慣れな海外で言葉も話せない状態なので途方に暮れてしまいました。

とはいえ、少なくとも食事はしなくてはならず、当然何かは話さなければならない。日本人の多い店もあるが日本語が通じるわけではない。皆さん、そこそこタイ語が話せるのだ。
その人達の前で醜態をさらすのも嫌だったので、日本人のいないレストランに入りました。

渡されたメニューはタイ語。写真だけが頼り。赤い色したのは危険!本能がそう告げます。とりあえず肉料理は頼む。そうだ野菜もとらないといけない!と妙な健康志向が働き野菜サラダらしきもの、それだけだと足りないかなと春雨が入った見るからに美味しそうなのも注文することに。写真を指さして日本語と英語とタイ語をごちゃ混ぜにして話しかける。これが意外に通じた。よかった~。
そして出てきた料理。肉以外はこの世のものとは思えないほどひたすらに辛かったです。(友人によると青唐辛子が入っていたのだろうとのこと)

写真は記事とは関係ありません。

何も目的がないと話しても通じないものですが、買い物をする、食事をするなどの共通認識がある場合、そのシチュエーションが手助けしてくれてカタコトの言葉でも意外に通じるものです。

そんな風にして何度も仕事で訪れ、過ごしていくうちにタイの人って意外と親切なことに気づきました。
例えばタイの紙幣は日本と違ってわかりにくく、1000THB札と100THB札は未だに迷うくらい似ています。
そんなわけでどの札を出したら良いのかスーパーのレジで迷っている私を見て店員さんが「これとこれ」と財布の中を指さしてくれたりします。
「ありがとう」
「マイペンライ」とニコリ。

タイの人たちは基本的に陽気で気さく。カタコトのタイ語で話しかけると途端にフレンドリーになります。
なんのことはない。単なる自分のコミュニケーション不足で微笑みの国じゃないと愚痴っていただけでした。
確かにリゾートでは客なので微笑んでもくれるでしょうが、街中で関係のない日本人のおっさんがウロウロ歩いていても無関心なのは当たり前です。

人通りの少ない路地なんかを散歩していると、けっこう話しかけられたりします。

Vサインはいらんと言ってるのに何度もやってくれた。

オートバイタクシーのドライバー。汗まみれになって歩いている私を見て暑いから日陰を歩けと声をかけられました。
日本人か?俺は日本のバイクに乗っている。HONDAだ。いいバイクだぞ。
概ねこのようなことを話しておいででした。(早口で半分以上は理解できず)


タイの外国人労働者は賃金がかなり安いらしい。

ミャンマーから働きに来ているという女性。挨拶をされたので返したら話しかけられました。

日本人?
そうです。
私はミャンマーから来たの。
仕事ですか?
そう。ここにはどれくらい住んでるの?
出張なので2週間滞在です。
頑張ってね。気をつけて。
ありがとう。あなたも。

タイ語よりも英語のほうが堪能でした。こんな時、もう少し英語を話せたらなあといつも思います。

ずっと食べたかったドリアンを買いによりました。ホテルは持ち込み禁止なので透明じゃない買い物袋を持参。

マイペンライ 問題ないよ

屋台のおばさんもその辺の事情を知っているので笑いながら「マイペンライ」と言います。

タイのドリアンは匂いがきつくないといいます。

おばさんは800THBの6個入パックが食べごろだと勧めてくれますが、そんな量は食べ切れないことを知っているので、230THBの2個だけ入っているパックを選びました。美味しいですかと聞いてみると、一瞬ためらうような表情を見せましたが「アロイアロイ(美味しい)」と袋に入れてくれました。

ドリアンが見つからないようにホテルへ。

写真はホテルの守衛さん。
お客様に素敵な笑顔で挨拶していたので思わずカメラを向けました。
さすがに盗撮はまずかろうと「写真OK?」と日本語で話しかけたらこの笑顔。

都会ではないけど、人懐っこい陽気な人が多いこの街が好きです。


部屋に入り楽しみにしていたドリアンを袋から出します。
ずっと会いたかったよ。やっと会えたねドリアン。
いただきます。

特有の匂いもほとんどなく、艷やかな黄色のそのドリアンは歯が立たないほど堅うございました。

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