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Co-Localization

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共局在を正しく定量する。
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Colocalization by Cross Correlation

相互相関を利用した共局在の定量原理  相互相関解析とは、2つの信号、配列(ベクトル)の類似性を確認するために使われる解析法。2つの時系列波形があるとき、両者の相関係数を時間をずらしながら(Δtを増加させながら)計算することにより求める。この解析法を画像解析に応用し、2種類(2色)の分子の共局在性を定量するのに使われている。画像解析の場合、ずらすのは時間ではなく空間(Δx、Δy、Δz)。空間をずらしていったときの、2つの画像の相関係数の推移をもとに局在性を評価する。  まず、

Co-Localization 1 序章

共局在を正しく定量する。  2つの分子の共局在を示すことは、それらの相互作用を示す有力な証拠となります。しかし、共局在を正確に定量するためには、蛍光分子・光学機器・定量方法の特性を正しく把握しておく必要があります。そこで、画像解析になじみのない研究者でも共局在を正しく評価できるように、共局在の解析手順を工程ごとに分けて詳しく解説します。さらに、画像解析ソフトImageJ / Fijiでは共局在を定量するためのPluginが8種類以上も存在します。各Pluginの特徴も紹介し

Co-Localization 2 1.画像撮影

1.画像撮影 本章(1.画像撮影)では、適切な画像を取得するために検討すべき項目とその理由について解説します。検討すべき項目とは、染色条件・光学条件・撮影条件の3つに大別されます。染色条件とは、蛍光色素の種類・蛍光タンパクおよび抗原の位置・遺伝子の発現方法の3つのことです。光学条件とは、顕微鏡・対物レンズの種類・分光方法の3つのことです。撮影条件とは、露光時間・空間分解能・レーザパワーの3つのことです。これらの項目を最適化し、シグナルノイズ(SN)が良く、歪みがない画像を得る

Co-Localization 3 2.画像処理

2.画像処理 前章(1. 画像撮影)では、蛍光画像には乱れ・歪みが生じることを説明しました。乱れ・歪みは画像撮影時に抑えることが重要であることも説明しました。本章(2. 画像処理)では、画像撮影時に抑えきれなかった画像の乱れ・歪みの補正方法について解説します。補正とは、「画像のズレ補正」・「蛍光のもれこみ補正」・「励起光の照明ムラ補正」のことです。これに加えて、タイムラプスで共局在の時間変化を定量する場合には、蛍光退色(消光)を補正する必要があります。蛍光退色の補正については

Co-Localization 4 3.定量分析

3.定量分析 本章(3.定量分析)では、共局在の定量に用いる指標・検定法について解説します。共局在の定量方法は大別して2つあります。定量を、画像のピクセル単位 (pixel by pixel)でおこなうのか、それとも標的分子のクラスター単位 (cluster by cluster)でおこなうのかの2つです。ピクセル単位の定量は標的分子の局在パターンに関係なくどんな画像にも適用できます。一方、クラスター単位の定量は、標的分子が輝点状・粒子状の局在パターンを示すときにのみ用いるこ

Co-Localization 5 4.Plugin

4.Plugin ImageJ/Fijiで共局在の定量をおこなうことができるPluginを紹介します。紹介するPluginは8個あります。Pluginごとで特徴や解析できる定量法が異なります。各Pluginの機能・特徴とPluginを選ぶ際のDecision Treeを図にまとめました(下図)。しかしスペースの都合上、強引な結論になっているところもあります。引用元を参考にして各Pluginをご自身できちんと理解してください。その上で、自分の研究に合ったPluginを見つけてく