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蝶に会いに八千穂高原へ

さくほ通信clubによる佐久穂の自然を楽しむ活動、9月は八千穂高原にあるため池「八千穂レイク」周辺で蝶を探しました。

子どもと一緒に虫捕り名人に

今回のガイド役は、佐久穂町と隣接する佐久市の田口地区で育ち、現在は長野市にお住まいの井出新吾さんです。息子さんが虫、なかでもチョウ類に深く興味を抱いたことがきっかけで、親子で虫捕りを楽しむようになったそうです。

日本には約250種類の蝶がいて、そのうち約150種類が長野県内に生息しています。でも、その150種類がいっぺんに見られるわけではありません。蝶の種類によって好む植物や気候などが異なり、同じ地域でも季節や標高、時間帯などによって出会える蝶が違うのです。長野に蝶の種類が多いということは、それだけ植物や地形がバラエティに富んでいるということ。井出さん親子は様々な蝶を見るために、色々なところに足を伸ばしていると話してくれました。

秋は蝶に出会うチャンス

霧のかかる八千穂レイク。釣りを楽しむ人たちもいました。

今年の夏はあまりの暑さにグッタリでしたが、蝶も暑いのはニガテなよう。”夏眠”して夏を乗り切り、少し涼しくなってくる9月頃から活動を始める種類もあるそうです。冬になれば今度は冬眠をしたり、寒さに耐えられずに死んでしまったりするので、秋は蝶を見つけやすい時期と言えそうです。

ところが当日はあいにくの曇天で小雨もあり、出会えた蝶はごくわずかでした。

ウラナミシジミ

翅(はね)の裏に波模様のあるウラナミシジミは、暖かい季節に色々な地域に広がっていくものの、寒い地域では冬を越せずに死んでしまうそう。佐久穂町では秋でお別れです。

アケビコノハの後翅の一部

子どもたちが、オレンジ色に濃茶の模様が鮮やかな翅が落ちているのを見つけました。「キシタバかな。いや、コノハガだ」と井出さん。微妙な色や模様の違いで、種類を判定します。最終的には、アケビコノハの後翅の一部だと特定してくださいました。

モンキチョウ

こちらはモンキチョウのメス。オスは黄色で、メスは黄色のものと白のものがあるそう(全部が黄色だとばかり思っていました!)。

周囲の植物に注目してみると

八千穂レイクのほとりを歩きながら、井出さんはまわりの植物を指して「白樺はキベリタテハが好んで来るんです」、「ススキなどイネ科の植物はジャノメチョウの幼虫がいますよ」、「カラマツの樹表にはミドリヒョウモンが産卵します」などと次々に教えてくれます。

蝶を見つけるには、その蝶が好きな植物を知ることが重要なんですね。それが分かると、穴だらけの葉っぱも「幼虫が食べたんだな」と思えて楽しくなってきます。

蝶を捕まえたら

子どもたちは蝶を見つけると、けっこう上手に網で取ったり手で捕まえたりしていました。さすが自然の近くで育っている子たちです。

ご自宅にはたくさんの蝶の標本があるという井出さんは、網で捉えた蝶を上手に取り出して持ち帰る方法を教えてくださいました。

1.(網で捉えてすぐに蝶を出そうとすると、地面と網の枠などで蝶を傷つけてしまうかもしれないので…)網の先を持ち上げて空間を作り、蝶が上の方に登ってくるのを待ちます。

蝶が上に登れるように網の先を持ち上げる

2.蝶が登ってきたら、網の上から翅の部分を指で挟んで持ちます。

蝶が翅を閉じたところを持つ

3.反対の手を網の中に入れ、胸の部分を持って取り出します。

反対の手で取り出す
胸の部分を持つとバタバタしない

4.標本にする場合は、翅を傷つけないようにパラフィン紙に包んで持ち帰ります。パラフィン紙は標本専用のものでなくても、100円ショップのお菓子作りのコーナーにあるものを三角形に折って代用できるそうです。

出会える蝶は少なかったけれど、大人たちは蝶を見つける視点を学び、子どもたちは地面を這う別の虫やキノコもたくさんみつけて大喜び。みんな楽しいひとときを過ごしました。今度は違う季節にも蝶を探しに行ってみたいと思います。

(さくほ通信club 部長 やつづか えり)

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