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佐久穂町の昔の集落の暮らし 大石①~水と共にあった暮らし~

川沿いの集落、大石。大石水源にもほど近く、豊富で良質な水と暮らしがとても密接にあったようです。今回は大石公民館にお集まりいただいた皆さんに、昔の集落の暮らしを教えていただきました。何十年も共に過ごした気心知れた仲間同士でのお話は、生き生きと当時の様子を映し出します。

お話を伺ったのは…

<大石在住>
菊池 常雄さん(87)
篠原 春之助さん(83)
島崎 焼子さん(82)
菊池 千賀子さん(81)
菊池 光夫さん(77)
相馬 元一さん(81)
西沢 茂人さん(73)
(座っていた席の順に記載)

男性陣は生まれてからずっと大石で暮らしていると話してくれました。女性陣は途中で外に働きに行ったり、お嫁に来てから暮らしていたりしましたが、長くここで暮らす皆さんです。

ーーー

子どもの頃の遊びといえば・・・

インタビュアー(以下 イ)「今日はこんなにたくさんの方にお集まりいただいて、ありがとうございます。皆さんが子どもの頃は、どんな風に遊んでいらっしゃいましたか?」

菊池 常雄さん(以下 常)「いたずらばっかりだったよ。他のことはやらない(笑)稲を作るために、田んぼの種蒔きをするじゃん。その芽のついたところ、生えてきたところをね、友だち3人で滑っちゃったの。(それで芽が台無しになって)まあ、親たちに叩かれ、げんこ(げんこつ)をもらい、3人で頭下げて。大変だったよ(笑)」

篠原 春之助さん(以下 春)「男の子はね、大体チャンバラだね(笑)竹で刀を、自分で好きに作ってさ。弓も作ったね。」

イ「弓!それは、どうやってつくるんですか?」

春「竹と麻紐ね。弓を曲げるのが、大変でな。でも、強いのでねえと遠くまで飛ばねえ。昔はそういうのも許されてたんだ(笑)」

こどもたちはみんな川で遊んだ


<左>大きな石に甲羅干しする子どもが見える <右>魚取りもメジャーな遊びだ

もちろん、川遊びも!

菊池 光夫さん(以下 光)「夏は川で、魚取りしたね。」

イ「皆さんが子どもの頃はまだプールなんてないから、川へ?」

光「みんなでその辺の川で遊んだだ(笑)」

相馬 元一さん(以下 元)「(川の水は冷たくて)寒いからさ、大きい石こうやって抱いてさ(笑)」

常「(そこの川の)下へ落ちたところが平らになってて、泳ぐときにそこを堰き止めてな。」

イ「石を積んで堰き止めたんですか?」

常「そうそう。丁度いい深さでね。」

春「魚とったりさ。」

イ「その時は、何が取れましたか?」

西沢 茂人さん(以下 茂)「イワナと、カジカ。」

常「カジカは、(途中から)取れなくなったな。」

春「一旦、伊勢湾台風でいなくなっちゃって。イワナはいたけどカジカは絶えちゃってな。でも今、それがだいぶ増えてきてるね。」

元「昔はさ、水面ってやつ(水中を覗く箱メガネ)があって。ガラスがついててさ。カジカを見つけると、(三又になった魚突きで)突いてな。」

イ「手で取ったりもするんですか?」

元「石があるところに手を入れて、捕まえる。ありゃあ難しいな。」

イ「捕った魚はどんな風に食べるんですか?」

元「唐揚げにするんだ。」

お手玉の中身は?!

イ「女の子たちはどんな遊びをしていましたか?」

島崎 焼子さん(以下 焼)「お手玉とかね。」

イ「お手玉は自分で作りましたか?」

焼「作ったのもあるし、もらったのもあるし。」

イ「お手玉の中身は何でしたか?」

焼「小豆とかイグサとか。食べる方のイグサね。エゴマの実のところ。ぎっしりいれてね。今考えると、もったいないね(笑)」

イ「エゴマ、今は高いですもんね(笑)」

菊池 千賀子さん(以下 千)「私も同じようにやりましたよ。」

焼「あとは縄跳びやったり。大勢でやる時は、列になって八の字書いてね
。」

千「石けりもやったね。一番先に丸書いて、両側に丸を三つずつ書いて、丸の中へ石を投げてね。真ん中へ石を入れてって、一番上に行けば勝ちっていう遊びね。」

焼「ケンケンパってやったじゃない。それと同じよね。」

色々なお話で盛り上げる座談会

下駄スケートの選手の栄養源は“卵”

春「ちかちゃん(千賀子さん)は、すごいんだよ。スケートの選手だよ。その時は、小池千賀子って名前でね。有名だよ。俺、昔っからファンだったんだから。この人(常雄さん)の奥さんだけどね(笑)」

イ「かっこよかったんですね!大会にもたくさん出てらして。」

春「ものすごい早かったからね。」

イ「男女関係なく、子どもたちはスケートをやってたんですね。」

千「やりましたね。みんな田んぼでやりました。私は3年生からやりだして、6年まで下駄スケートでした。中学の大会に招待された時も、みんなは靴のスケートだったけど、私は下駄だった。」

イ「ということは、下駄でいい成績をおさめてらしたんですね、すごいです!」

千「下駄スケートでも、(タイムは)変わらなかったね。しっかり締められたからね。黄色い紐、真田紐でぎゅうっと締めて。それで栄養源だっつって、みんな大会っていえば卵。生の卵を割れないように新聞紙に包んで、カバンの中に入れて、そして大会前にその卵に穴をあけて吸うの。」

イ「卵から直接ですか?」

千「そう!」

春「俺なんかは(卵を吸うことは)知らねえな。やっぱ、この人は大会出てたからな。」

イ「今でいうプロテインですね(笑)」

千「(笑)」

イ「スケートは、いつごろまでやってたんですか?」

千「22。その後はもううちへ帰ってきて手伝いしたりね。」

春「有名だったからなあ。」

千「やだ、有名でもないけどさ(笑)」

ーーー

げんこで殴られた、というエピソードは、男性陣の中ではあるあるのようで、盛り上がっていました(笑)お手玉の中にエゴマを入れる、というのにも驚きです!お話はまだまだ続きます、次回は川に未だに残る、「石積み」についてのお話です。引き続きご覧ください。

次回はこちら――――

文 櫻井麻美


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