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【WSH】K.ルイーズと契約延長

今さらですが、現地時間の3月11日にナショナルズがキーバート・ルイーズ8年総額$50Mの契約延長を発表しました。さらに2年の球団オプションが付き、最大10年間の保有が可能です。

ルイーズについて

ルイーズはマックス・シャーザー&トレイ・ターナーを放出したトレードで21年夏にドジャースから獲得した若手捕手です。21年終盤にナッツに加わるとメジャー23試合でOPS.743をマークしました。昨季は開幕から正捕手を任され、112試合に出場して打率.251・7本塁打・OPS.673とシーズンを通してメジャーで過ごしました。

また、穏やかでリーダーシップあふれる人柄も評価されています。マイク・リゾーGMもルイーズのことを「great person」とコメントしていたので、選手としての能力はもちろん、チームの柱である捕手として、人柄の部分も評価されたのかもしれません。

契約の詳細

ジョン・ヘイマン記者の投稿によると8年契約の詳細は以下の通りです。

ジョン・ヘイマン記者の投稿を参考に作成

サイニングボーナスを入れると、FAまでの5シーズン(23~27年)が総額$25M、FA後3年分(28~30年)も総額$25Mとなっています。

選手として最も脂がのっている29歳からのFA後3シーズンを$25Mと割安で雇える一方で、調停権利取得前の2024年の年俸が$6Mもあり、FA前に$25Mを支払う今回の契約は「前払い契約」と言えそうです。

お買い得な「前払い契約」

この契約を、今オフに3年$30Mの契約を手にした同じ捕手のクリスチャン・バスケスと比べてみます。

ルイーズとバスケスの獲得サラリー比較

8年間の獲得サラリーの総額はルイーズが$50M、バスケスが$51.7Mとほぼ同額です。ですが、バスケスの3年契約は32歳~34歳のシーズンをカバーしているのに対し、ルイーズのFA分買い取りは29歳~31歳のシーズンをカバーしています。したがって、レギュラー捕手としてバスケスと同程度の活躍が見込めるのであれば、より若い期間を雇えるルイーズの契約は大変お買い得だと考えます。

成績を見てみると、バスケスは17~22年の6シーズンで計fWAR=9.7を記録しています。これは年平均に直すと1.6で、FA前最終年の昨季のfWARも1.6でした。

一方で、ルイーズは昨季メジャー1年目ながらfWAR1.7を記録しており、バスケスの平均fWAR1.6を上回っています。つまり、昨季程度の成績を5年間維持できれば、前半の5年$25Mは損ではなさそうです。さらに、FanGraphsの成績予測システムZipsによるとルイーズの向こう3シーズンの成績は、いずれもfWAR2.5を記録する予測となっており、大きな怪我や不振がなく順調に育ってくれれば、バスケス以上の働きが期待でき、お買い得の契約となると思います。

浮上の鍵は長打力UP

とりあえず昨季程度の成績を維持できれば、この長期契約は損ではなさそうですが、ルイーズが球界を代表するような捕手になれるかは長打力の向上が鍵を握りそうです。

コンタクト系の指標が優秀なルイーズ

ルイーズの強みはメジャー屈指のコンタクト能力にあります。三振率11.5%はMLB全体8位、Statcastの打球集計に基づく期待打率.277はMLB全体の上位9%に入る23位ときわめて優秀です。

にもかかわらず得点能力を示すwRC+は90とリーグ平均以下の数字にとどまりました。BABIPが.271と低く不運による面もあったでしょうが、ISO.109の長打力を向上させることが求められるでしょう。

当てるのが上手いゆえに何でも振りに行く傾向があり、ボール球を振った割合を示すチェイス率31.4%はMLBの下位33%に入る水準でした。長打になりにくい難しいボールに手を出してしまった結果、バレル率も下位11%に入る3.7%に落ち込んでしまったと推測できます。打席での我慢強さや選球眼を改善し、長打力を伸ばせるかが今後の課題となりそうです。

おわりに

今回の契約延長により、最長で33歳のシーズンまでルイーズを保有可能となりました。損得勘定は抜きにして、フアン・ソトがいなくなった今、ルイーズにはチームの顔として、柱として、期待せずにはいられません。どん底のチーム状況にもかかわらず、契約延長を打診された際には「すぐに"イエス"と言ったよ。ただ嬉しかった」と即決してくれたようです。「ミスター・ナショナル」ことライアン・ジマーマンのような選手への成長を望みます。

Photo:https://flic.kr/p/2ngT1HS






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