ハンドメイドと材料による炎症で病院に行く時に

ハンドメイドで炎症を起こしてしまった!

ハンドメイドで制作をしていると、いつの間にか材料由来の火傷ができていたり、目に飛沫が入ってしまったりなどの炎症を起こす場合があります。
軽度ならスルーしそうですが(会社だと労災に該当するのでスルーして欲しくないんですけれども)病院に行かなきゃ!な症状になった場合重要なこととしまして、
「お医者さんに(予測される)原因物質の正確な情報を伝える必要」
があります。

・ どのくらいの期間、どのくらいの量を使っていて、病状が出たのか?

これをおおよそでもよいので伝えられるようにしていただけると、(医者から問い合わせを受ける担当者としても)非常に助かります。この件については後日、別記事で関連内容を書く予定です。
それはさておいて、今回のnoteでお話をしたいのは「病院に持参したほうが良いものについて」です。

病院に行く時に追加で持っていくもの

保険証などの通常の病院に行く際に持っていくものに加えて下記のものが有れば追加で持っていくと良いです。
・ 原因になった材料の容器本体(ラベル情報大事)、外箱(あれば)
・ 材料のHPを印刷したもの
・ (添付されていたのであれば)取扱説明書、添付説明書
・ (入手できたなら)SDS

何でこれらを持って行った方が良いのか?について説明していきますね。

ハンドメイド材料を知らない人に伝えるということ

記事を書くきっかけになったレジンについて、例として取り上げてみます。

レジン(Resin)を英和辞典で引くと

樹脂、松やに、合成樹脂
出典:Weblio英和・和英辞典

と出てきます。ですから、ハンドメイドに馴染みのないお医者様に
「レジンアレルギーになってしまったんじゃないかと思うんですけれども」
と症状を伝えると、
どんな樹脂(や松脂)でアレルギーを起こしたんだろうか?
と考えてしまう可能性もあるかと思います(あくまでも可能性です)。

ハンドメイド作家さん的観点から考えても、「レジン作家」ですと言われた場合、「UVレジン」なのか「2液系レジン」なのか、それとも別の何かなのかはこれだけではわかりません。(言葉の定義だけで行くと、固まるハーバリウムもレジンかな?って考えてしまいます。)
そしてUVレジンを比較されている方は体感されている、同じUVレジンのくくりであってもメーカーによって「黄変具合」や「匂い」、「硬さ」等が違っているのは、「その液に含まれている化学物質の種類や混合比がメーカーによって違う」からだったりするわけです。
化学物質の種類や混合比が違うということは、炎症が起きてしまった時の対処方法も、(共通する部分も多くありますが)、一部異なってくる可能性があります。

分かりやすい例としてレジンを上げましたが、これは接着剤でも、顔料や染料でも、ハーバリウムオイルでも、いろんなハンドメイドジャンルで(おまけで家庭用の洗剤等も)共通で言えることになります。

医者に「何を触っていたときに、炎症を起こしたのか」という「原因と思われる材料の情報を伝える」というのは、治療をする上でかなり重要な情報になります。

情報を伝える専門家と医者をつなぎたい

・・・でも、正確に自分の使っている材料のリスクを説明するのってめっちゃ難しいですよね。
専門家に丸投げしたい範囲であります。
じゃぁ「誰がその専門家になるのか?」というと

「その材料を作っているメーカーに担当者がいるはずである」。

商社さんや、プライベートブランド品でも「工場でその商品を作っている会社に専門家がいるので問い合わせることができる」ハズです。
だから、問い合わせ窓口に「医者が問い合わせをできるようにする」のがまず最初に必要になります。

これらの理由から
・ 原因になった材料の容器本体(ラベル情報大事)、外箱(あれば)
・ 材料のHPを印刷したもの
を持っていくと良いといえるわけです。

医者が問い合わせをして、すぐに材料のメーカー担当者から返事があればよいのですが、「症状を聞いてその場で担当者が返事ができるか」といえば、そう簡単には行きません。人の健康に関わる事なので、安易な回答はできなかったのです。(経験談)

とはいえ、材料のメーカーの担当者からの連絡をまっている間にも症状が進行する可能性はありますから、医者としては症状に合わせた対応が必要になるはずです。
その際に有効になるのが、「ラベルや外箱、HPに書かれている成分情報」

例えば
UVクラフトレジン液(清原)「成分:特殊アクリレート樹脂」
レジンクリーナー(PADICO)「成分:エタノール、水、食品添加物」
木工用ボンド(コニシ)「成分:酢酸ビニル樹脂(41%)、水(59%)」
多目的クラフトボンドNeo(KAWAGUCHI)「成分:変成シリコーン樹脂」

等。この情報をもとに、治療の初期情報を調べていくことが可能になることがあります。
(例えば上記レジンクリーナーが目に入ってしまった場合であれば、「アルコールが目に入った時の対処をまずしたらよい」と推測できるように)

化学工場の製造現場ではどうしているのか?

さてさて。
化学工場の製造現場で「化学物質に由来する労働災害」が起きた場合、医者の所に持っていくものとして「SDS」というものがあります。

SDSとは、安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。これは、化学物質および化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に、その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を化学物質等を譲渡または提供する相手方に提供するための文書です。 SDSに記載する情報には、化学製品中に含まれる化学物質の名称や物理化学的性質のほか、危険性、有害性、ばく露した際の応急措置、取扱方法、保管方法、廃棄方法などが記載されます。
出典:厚生労働省 職場の安全サイト

私個人は、「SDSって何?」と聞かれた場合、「化学物質の企業向け取扱説明書」と説明しています。
内容の細かい読み解き方については、長くなるので割愛しますが、医者も商品を製造しているメーカーの担当者もこのSDSをもとに応急措置の方法等、判断や情報共有をしていきます。
SDSは物理的な危険性や、健康への有害性を持つ(法令で定められた)化学物質を一定量以上含んでいた場合。製造者はSDS発行する義務があり、使用する人はそれをすぐにみられる場所に保管する義務がある書類です。

でも、これはあくまでも会社向け(というか労働者保護)の観点の書類であって、ハンドメイド作家さんを含めた一般消費者向けは発行義務の対象外になっています。会社によっては、問い合わせしたら入手できると思います。

一般消費者向けには、PADICOでは添付説明書の存在や、安全性について記載が書かれています(PADICOの商品を使っていた場合であれば、先のLinkのサイトを印刷して持っていくのは有効です)。
ディブロマを発行している所ではテキストに安全な取り扱いについて書かれている場合もあるでしょう。

・ (添付されていたのであれば)取扱説明書、添付説明書
・ (入手できたなら)SDS

は、添付されていなかったり入手が少し面倒だったりしますが、持っていくと、その中に対処法&記載内容の問い合わせ先が乗っていますので、よりスムーズに対応してもらえるようになります。

終わりに(大事なことなので2度言います)

医者に診てもらう必要が出てきたとき、「何を触っていた時に、炎症を起こしたのか」ということを、自分のできる範囲でよいので正確に伝える必要があります。
そのためにできることとして、

・ 原因になった材料の容器本体(ラベル情報大事)、外箱(あれば)
・ 材料のHPを印刷したもの
・ (添付されていたのであれば)取扱説明書、添付説明書
・ (入手できたなら)SDS

の情報ですぐに持っていけるものを、保険証等と共に持参していくことがよいでしょう。

Special Tanks

本記事を公開前に、校正でアドバイスをいただいた方です。ご協力ありがとうございました。

・ RUKURA(@kurachanmama)様
・ Rookie_Maru (@rookie_maru)様
・ kouboumiya (@miyatyannnonn)s様


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