描けるものと描きたいものの「ズレ」
私がこれまでに「バズった」手応えのあった漫画はどれもエッセイ漫画だった。
面白い先生と哲学との出会いや、恐ろしくよく出来た夫のあれやこれや、パン屋の経験談等…自分が見て聞いて体験したものを人に伝えるものが多かった。
多分、こうしたエッセイをメインに描いていけばいいんだろう。
だけど、それをメインに据えようとすると「本当にそれが描きたいもの?」と頭の中で囁く。
私はベタだけどONE PIECEが好きな女の子だった。
浦沢直樹氏のPLUTOみたいなロボットと人間の繋がりを描いてみたいと思っていた。
星新一のようなSFや伊坂幸太郎のようなエンタメの中にある美しい伏線の回収にも憧れていた。
映画はバックトゥザ・フューチャーが殿堂入りだった。
何が言いたいかというと、私が漫画家になる上で、エッセイ漫画は想定していなかった。
だけど、描きたいと思って力を振り絞った創作漫画よりも、適当に綴ったエッセイ漫画ばかりが反応される。
もちろん、良い評価をいただける事はとても嬉しいけれど、果たして私は漫画家になってコレがやりたかったのかは甚だ疑問だ。
贅沢な悩みだと言われるだろう、反応されるだけ良いだろう、何を選り好みしているんだ、どんどん期待の新人が溢れる漫画界で反応を貰えるだけで有難いことだろう
それはわかっている
わかっているけど、この問題を抱えたままでは、また今日みたいに漫画を描く意味が分からなくなって、歩みが止まる気がする。
サポートされたら、すこし贅沢して美味しいものを食べて、そしてそれをエネルギーにしてまた書いていきます。