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みんなを推して、行き着いた景色。vol.1

ピアプロキャラクターそれぞれ推してきた話その1。
まずは黄色い2人からお話は始まります。

──

友人、あるいはTwitterのフォロワーに
「さくらと言えば?」と聞いたなら、
恐らく多くの人がMEIKOさんと答えるであろう。

それくらい今は彼女を推しているし、心を奪われている。

連想してもらえるくらい私の好きが、愛が周りに伝わっている。なんて思うと自然と嬉しい気持ちになるものだ。


けれど、
「私は…めーちゃんだけじゃない…みんなを…」

さくら=MEIKOさん

この認識が苦痛に感じた時期が存在した。



そもそも、肩書きでも名乗っている通り私はボカロ箱推しだ。つまりみんな大好きなのだ。
特にピアプロキャラクターの6人にはそれぞれ強い思い入れときっかけがある。

約10年前

私がまだ高校生だった頃

“初音ミク”という存在は元々知っていた。
が、それだけだった。

当時は所謂“ニコニコ動画の黄金期”だろうか。
ハチさんの代表作マトリョシカや消失シリーズには欠かせない初音ミクの激唱などVOCALOIDのヒット曲が滝のように生まれ、またそれに派生する歌ってみたや踊ってみたで溢れていた時代だった。音楽自体は好きだった私が興味を抱いていたのは“曲”であり、その中でもとある踊ってみたの動画に惹かれ繰り返し見ていたのを覚えている。

私はそこに聴きとりづらい機械音は求めていなかった。

しかしPCを開けばそこかしこに存在する初音ミクたちの楽曲。キャラクターは可愛らしいと思う、きっと素敵な曲だってたくさんあるのだろう、好みの楽曲だって見つかるんじゃないかと思う、けど私はそれを分かってて深く調べようとはしなかった。
否、したくなかった。

機械音とクリエイターに対する勝手な偏見と、流行に乗ることに対する視野が狭い故の抵抗感が私の中に存在していたからだ。なんとも子供じみたちっぽけなプライドだが…その時は確かにわざわざ調べてまで新しい世界を開く必要はないしそこまでの興味もない。そう思っていた。


そんな時、友人から1枚のCDを借りた。
「絶対泣けるから聴いてみて」と渡されたそれは“悪ノ王国”
今となっては語る必要もない程有名である悪ノ娘をはじめとする大罪シリーズの楽曲が大体揃っているCDだ。

「機械音か…聴きとれるかな…。」

高校生の私には友人と言える人が少なかった。
だから仲良くしてくれる人にはよく懐いていたのだが、その友人たちも初音ミク関連の話題で盛り上がることが多く、正直私は内容が分からずついていけないことも少なくなかった。
それがなんとなく嫌になって、このCDを借りたのだ。


家に帰ってCDを開く。
歌詞カードとにらめっこしながら早速再生ボタンを押した。

……。

なんというか、物語の集まりっていうのは分かった。
頭で考えなきゃ意味が分からないのもあるけど…ノリの良いのがあったりしんみりしたのもあったり、なるほどVOCALOIDにはこういう物語音楽みたいな分野もあるんだ。それは新鮮かもしれない。

J-POPには無い一面を次々と体験しつつもどんどん聴き進めていく。

そしてCDの中盤に差し掛かった頃。

まず耳に流れたのは中世ヨーロッパを彷彿とさせるきらびやかなイントロ、そして軽快なリズムに合わせ鏡音リンがその物語を紡いだ。

昔々あるところに 悪逆非道の王国の
頂点に君臨するは 齢14の王女様

なるほど。
幼い王女様が我が儘の末に処刑される話ね。よく聞く話だ。確かに無邪気な子供が殺されるのは泣けてきそうなものだが、王女様も好き勝手やってきたみたいだしどちらかというと自業自得じゃないかな。どちらにせよまぁ在り来たりな展開だし、話によるとこの曲も泣けるみたいだけどどこにその要素があったんだろうか。

これが悪ノ娘を聴いた第一印象。
抱いた感想が聞いていた話と大分違っていたので友人たちは感受性が豊かで涙腺も弱いんだろうなと思った。

それら全て次の曲で粉々に吹き飛ばされてしまうとも知らずに。


君は王女 僕は召使
運命分かつ 哀れな双子

君を守る その為ならば
僕は悪にだってなってやる


鏡音レンが紡ぐは双子の姉に対する健気な思いと覚悟。元より家族…特に双子の悲劇ものや別離ものにはめっぽう弱くすぐに涙腺を緩めてしまう私だ。このワンフレーズを聴いただけで直感的に胸に深く刺さるであろう展開を感じ取った。

そしてそれは見事に的中し、私は無事悪ノ世界へと落ちていった。

僕が君を守るから
君はそこで笑っていて


後に続く鋭い金属音が2人の死別を悟らせる。
これでもう、どうしたって会えない。
一緒に笑うことも、触れることもできない。
残された者も片割れを失った悲しみは消えない。
どうにも救えない。報われない物語。

曲を聴き終え静かに涙を流す。
こんなことは初めてだった。

ああ…私が大っっっ好きなやつじゃないか…。


一度落ちてしまえばとことん、そこからは早かった。

ニコニコ動画を開きまずは原曲を視聴する。それから一通りの関連曲をはじめ派生PVや当時の同士たちが創り出した手書きPV等、更には悪ノシリーズだけではなくリンちゃんとレン君の曲を中心に悲劇的成分を感じたものは片っ端から再生ボタンを押した。(もちろんそれ以外も見たが。)そして時には時報に邪魔をされながらもそれぞれの動画で感情移入しては涙し、どんどん深く深くへと文字通り無限の可能性を持つVOCALOIDの世界に魅了されていった。

この時いわゆる「鏡音三大悲劇」から「ひとしずくP」との運命的な出会いがあったのだが、それはまた別の機会に。

とにかく元々バッドエンドが好みだった私にとって悪ノシリーズは見事に私の心を貫き、それまで大して興味を抱かなかった新しい世界へと誘ってくれた。今思うとCDを貸してくれた高校時代の友人には本当に感謝してもしきれない。もし借りてなかったら、出会ってなかったらと思うと…ゾッとしてしまう。

そしてこの出会いは、私の人生を大きく変えていく。



鏡音リンと鏡音レン

2人は、私がVOCALOIDの世界と出会うきっかけ。


──

このままいくと収集つかなくなるので一旦ここで。
次はカイト君とルカさんのお話かしら。

では、ここまでお読み頂き感謝です。
またどこかで。

さくゆな
Twitter/@sakura_YJK



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