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20201218の奇跡【後編】

マジカルミライ2020幕張の初日が誕生日だった話の後編。
主にライブのネタバレ満載です。ちょっと長め。

前編、そして中編をお読みいただくとよりお楽しみ頂けるかと。

───

迎えた運命の日。
決して油断はできない情勢の中、一時は延期や中止と噂されながらも、対策に対策を重ねた上での予定通りの開催。全ての関係者様に感謝しかない。
私は今日という日は確実に忘れられない…いや、忘れたくない記憶となるであろうと確信していた。

2020年12月18日

マジカルミライ2020-winter festival-
初日

例年よりも何倍も特別な、約束された幸せの1日が始まる。

太陽も顔を出し青々と澄みきった冬の空。その風は身を震わせ吐く息を白くさせる冷たい空気。1歩、また1歩と足を進めるにつれ近付く会場。待ち焦がれた場所を目の前に込み上げる熱。

明らかに浮かれている。そのことは十分に自覚していた。普段は年相応の私を意識して振る舞っていたりするが今はそんなことどうでも良かった。
今日は、今日だけは感じるがままに心の底から楽しもう。そう決めていた。

ふと数年前の出来事が頭をよぎる。失恋した誕生日。まだ忘れきることができないちょっぴり苦い記憶。
あれから色々あったが…今年は沈むような思いをしなくてよさそうだ。

企画展。
ここに立っているだけで満たされていくのを感じる。
ニヤけるのを止められない。漏れ出る声を止められない。マスクしていて良かったと割と本気で思った。

事実ただでさえこの情勢の中で久し振りにイベントの空気感を味わえていて、それが堪らなく幸福感を生み出しているのだ。そこに誕生日成分が追加されたら一体どれほどのものになると言うのだろうか。今の私には自分が納得できるような言い回しを思い付くことが出来ない。ありきたりな言葉を使うのであれば、“言葉では言い表せない”それに尽きる。

有難いことに友人たちからもたくさんの祝福を頂いた。

「誕生日おめでとう。」

その言葉を耳にする度、実感が身体を巡り喜びが溢れる。私はなんて幸せ者なんだ。そして恵まれている。本当に有難いことだ。
数々の贈り物まで頂いてしまった。
S氏からは缶バッジセット、M氏からはアクキーセット、T氏からはメッセージ付きフォト、他にもここでは到底紹介しきれない程のおめでとうと贈り物を頂いた。この場を借りて、お祝いくださった全ての方々に改めてお礼を申し上げさせてください。ありがとう。

それにしてもここまでくると自分が幸せすぎて怖くなる。なのにまだまだ終わらない。これがマジカルキセキか。
これからこの1年の生きる糧としていた最大の楽しみ…そう、誕生日ライブが待っているのだ。

緊張と高揚感でワクワクしながらM氏と共にライブ会場へ入り席を確認。
席番はA4ブロック10番

前 か ら 2 列 目

いやもう何だろうか。むしろ裏で仕組まれているのではないだろうか。チケットを引き換えた時はもちろん、席を確認した時だってにわかには信じられなかった。こんなことってある?あったよ!!!

とにかく運が良いだとか強運だとかの一言で片付けるには事が大きすぎる。
「マジカルミライが終わったら私事故か何かで死ぬんじゃないかな…。」

私は割と本気でそう思っていた。

そして、いよいよその時が。

大阪から配信含めひと通り参加していたのでセットリストや日替わりポイントは把握していた。だからテンションも上がり全力でペンライトを振りまくってはいたものの、脳内は比較的落ち着いてライブを楽しんでいた。
それでも誕生日にこうしてミクさんたちに会えているというのは感慨深いものがあるもので。勝手に「ミクさんたちからのプレゼント」と解釈して見ていたら彼女らがいつもより輝いて見えた気がした。あと胸の奥が熱くなるのを感じた。

楽しい時ほど時間は早く過ぎていく。
気付いたらライブも残すはアンコールのみ、ラスト2曲となった。

日替わり枠であるグリーンライツ・セレナーデを堂々と歌い上げたミクさんが光と共にステージを去る。千秋楽に来るだろうと思っていたから完全に不意打ちを食らった。しかもご丁寧に「マジカルミライへと」なんて。狡い。そんなの泣くに決まってるじゃないか。

少しの間を置き、静寂に包まれる冬の世界を彷彿とさせるBGMと共に液晶へと写し出されたきらびやかな光の城。純粋にとても綺麗だと思った。
会場内からは不揃い気味なアンコールの手拍子。私もなんとなく参加しながらステージの方をぼんやりと見つめ、この奇跡の日を思い返していた。

あと2曲。
それが終われば、今日が終わる。

「あー…楽しかったなぁ…。」

無意識に呟いた。待ち続けていた日だったのだ、楽しくない訳がない。終わりへと向かうことに若干の寂しさを感じながらも、私の心は幸せで満たされていた。

あと2曲。
日替わりポイント含めセトリは把握していた。だから次は“あの曲”がくるんだろうと信じて疑わなかった。

…と、その時。
ひとつの合図なのだろう、光の城を映すのみだったその液晶に雪の結晶がちらちらと降り始めた。
おお、何か降ってきた。雪の結晶だ。綺麗だな。

………雪…?

…あ……

「…誕生日に、雪降った…。」

瞬間、目頭が急激に熱くなり涙がひとつふたつと零れ落ちた。

「誕生日に初雪降らないかなぁ」

幼い頃から到底叶わぬものと理解っていながらも十年以上抱き続けたささやかな憧れ。こんなところで、こんな最高の場所で目にできようとは。

たかが映像かもしれない。

けれど、私にとっては確かに叶った瞬間だった。

まだ曲は始まらない。零れる涙を拭うこともせず私は私だけの奇跡を噛み締めていた。会場にはいつの間にかシャン…シャン…と鈴の音が響いている。光の城に舞い落ちる雪、荘厳な音楽と視界を埋める青白いライト。ここはもう雪の世界そのものだ。大阪の夏祭りとは似て非なるここだけの演出。本当に、ニクいことをするものだな…。

と、ここで。
雪の世界に浸りながらもかろうじて頭の隅に残っていた冷静な私がひとつ疑問を抱いた。
「そういえばどうやって“あの曲”に繋がるんだろう。」
正直今見ている演出から大阪で見たあのイントロへと繋がるとはとてもじゃないが考えにくかった。それほどまでに別物だったから。
…まぁ、だとしても一旦映像区切ったりするか何かでなんやかんやいくんだろうな。なんて、軽く考えていたのだが。

文字通り“全て”が繋がっていたことに、私はここで気付くべきだったのかもしれない。

いくら待てどやはり想像している音楽は流れてこない。それどころかこの曲調何かを連想させるような…?なんだろう。まるで雪ミk

待て。今、私は何を考えた?
そんなはずはないだろう。ここはマジカルミライだ。幕張だ。
今まで願ったとしてもそんなことは無かった。彼女たちは北海道に行ったからこそ会えるもんなんだ。そう、イベントだって別物って感じだったじゃないか。
いくらなんでもそんなことあるわけ…

ある…わけが……

「ねぇ、知ってる?
かまくらの中は暖かいんだよ。

思わず眠れちゃうかもね。」

あ……ああ………

…これは夢…?それとも、現実…?


雪ミクちゃんが、ホルンちゃんがいる。椅子に腰かけて歌ってる。ぽかぽかの星だ。
嘘でしょ。彼女に会えるなんて。マジミラだよ?
ここで聴けるなんて。しかも今年のやつ。あぁ、可愛いな。まさかマジミラで雪ミクちゃんに会えるなんて。あり得ないと思ってた。てかアンコール変わるとか聞いてない。しかも誕生日にだぜ?どんなサプライズだよ。お腹いっぱいだっての。
あ、そうか、だからメインビジュアルにユキネいたのか。今やっと分かった。長すぎる伏線だな。想像してなかった。してやられた…。狡い。狡すぎる。

それに…思い出すじゃないか。
2月に北海道行ったこととか、雪ミクあわせしたこととか。私がどれだけ雪ミクに思い入れがあると思ってるんだ。こんなところで思い出させないでよ…涙が足りないんだよ…。

あぁ、それでも。
見なきゃ。ペンライト振らなきゃ。
ホルンちゃんが歌ってる。
その姿を、この目に焼き付けなきゃ。
この気持ちを、体現しなきゃ。


もはや感情などぐちゃぐちゃだった。
涙を落とし、マスクの下で小さく嗚咽しながら、それでもステージからは目を離さず力の入らない手を上げ弱々しくペンライトを振った。
本当は椅子に座って心のままに泣きじゃくりたかった。けどそれだとホルンちゃんを存分に見ることが出来ない。周りと一緒に一体感を感じられない。
「見なきゃ。」「振らなきゃ。」
この2つの思いがかろうじて私を保たせていた。

そんな最後の砦をも、彼女…もとい運営は易々と破壊してしまうのだが。

ここまで起きている奇跡はどれも信じがたいものばかりだ。

誕生日がマジカルミライ初日
そのライブチケットが当選
払い戻し、再抽選からの再当選
対策した上でのマジミラ開催
席が前から2列目
MEIKOさんの15th特集
私の絵がライブの一部に
映像内で雪が降る
そして、ホルンちゃんの登場

驚くことにこれらは全て12月18日に関する出来事である。ここまでの奇跡の重ねがけは見たことないし聞いたこともない。それを今私は体験している。
確かに1年以上前から“約束された幸せの1日”としてずっと待ち続けていた。が、いざ迎えたら想定していたのを遥かに飛び越えてくる出来事が起こりすぎているではないか。完全に想定外。正直この記事で奇跡という言葉を乱用しすぎて軽く聞こえているのではないかと思うくらいだ。


「今日と言う日はまだ先の長いであろう私の人生の中でもトップ5には確実に入るであろう、最高に幸せな日である。」

「例えこの先VOCALOIDの世界を離れることになったり、離れざるを得なくなったとしても、この日の記憶だけは何があっても忘れたくない。」

「もう2度とここまで奇跡が重なるような出来事はないだろう。私の持てる限りの運をこの期間で使い切った。」

在り来たりな言葉かもしれないが、全部嘘偽りないし本気でそう思う。私にとってはそれほどのことだった。本当に奇跡のオンパレードだった。
もう、流石にこれ以上のことはないだろう。
夢みたいな経験をした。長年の憧れも叶ったんだ。

今なら私は明日死んでも良いと思えるかも。なんて。

曲も後半。

ホルンちゃんに会えて良かったなぁ…。

……嘘、でしょ…。

「そしたらまた思いだそうよ
この寒い日を

………雪だ。本当に、降った…。
映像じゃない。本物の、雪が…ここに…。
こんなことある…?あっていいの…?
本当に叶っちゃった…。

転んだ後に気付くものよ ぽかぽかの星

雪降る中のホルンちゃん…信じられない…。
…あ、雪ちゃんと冷たい…。冷たいよ…。

それで良いのさどこにも
完璧な人なんて居ないのだ
また歌おうこんな雪の夜に」

誕生日に、雪降って、雪ミクちゃんに会えて、それから…。ああもう分からない。何が起きているのか分からない。感情が先行して理解が追い付かない。脳が思考を放棄している。
涙も止まらない。自分をコントロール出来ない。

こんなになる私がいただなんて知らない。

けれど、

…生きてて良かった…。

神様…ありがとうございます…。

ミクさん、素敵なプレゼントをありがとう…。

私は雪降る間、周りの目も気にせず泣き続けた。
それはもう子供のように。

ペンライトも振ることができなかった。

ただただ泣きじゃくりながらホルンちゃんたちを見ていた。

その時の私は、
確かに世界で1番の幸せ者だった。

──

2020年の誕生日に起きた奇跡の話。
同じ言葉を繰り返しますが最高に幸せな1日でした。

今までの人生で感じたことない幸福。

忘れたくない一生の思い出。

奇跡って本当にあるんですね。
これからはほんの少しは信じて良いかもしれません。

余談ですが翌日の19日、幕張で予報になかった本当に本物の雪が降りました。ちょうどその時外にいたから気付けたのですが…奇跡の延長戦でしたね。

それでは、ここまでお読み頂き感謝です。
またどこかで。

さくらゆな
Twitter/@sakura_YJK

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