創作屋のためのこいしちゃん構築指南

いやまあ、ゆーてもこいしちゃんには無限の可能性があるので……

経緯

 曲がりなりにも当方はこいしちゃん書き(正確にはこいフラ書き)ではありますので、たびたび「こいしちゃんってどうやって書けばいいんですか」とか「こいしちゃんの能力の解釈ってどうすればいいですか」などと尋ねられることがあるわけです。
 しかし当方は「こいしちゃんには無限の可能性がある」と標榜している身ですから、そのようなことを尋ねられても困るというのが正直なところであるわけでして。
 とはいえ、それでずっと突き通すのもなんだかあまりよろしくないよなあなどとは前々から思っていたものでして。

 そういうわけでここでは「こいしちゃんの解釈や立ち位置でよく見る・よく思いつくもの一覧」みたいなものを書いてみることに決めたのでした。 ついでに、それぞれの解釈を用いたお勧めの作品も貼っておいたりしてみました。気が向いたら読んでね。

 では、どうぞ。


イマジナリーフレンドとしてのこいしちゃん

 こいしちゃんを主体とする場合は、これが一番書きやすいと思います。

 こいしちゃんは「子供と仲が良い」「一般的には見ても意識できない」「しかし子供は覚えていることができる」といった属性を持っているため、イマジナリーフレンドとして描かれることも多くあります。

 この場合、多くの場合に関わる相手は里のモブ子供になりますが、極論幻想郷の登場人物の多くは「幻想少女」ですから、誰とでも関わらせることは可能でしょう。属性として「幼さ」を持つ妖精たちや戎瓔花、「孤独」を持つフランドールなどは、特に交流にもってこいです。物語構造としては、幼さからの脱却を鍵にした別れの話、対象の孤独を癒す話、或いは少女たちの日常を切り取った和やかな作品などが代表的かと思われます。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/175/1352390878

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/224/1562417878


狂言回し・キーパーソンとしてのこいしちゃん

 端役として、これほど万能な存在もなかなかいないでしょう。

 「ふわふわした言動」「不可認識性」「どこに現れてもおかしくない自由さと奔放さ」「案外に知られている名」「無意識性」などの要素から、こいしちゃんは物語のキーパーソンや狂言回しとして多くの作品に登場します。無意識に問題の発端を生じたり、適当で意外な言動で主役に何かを気付かせたり、あるいは気付かれないまま主役に連れだって物語の回転を早めたりと、挙げればきりがありません。とはいえ限度もありますから、原作中で比較的関わりの強い地底・命蓮寺・神霊廟・妖怪の山など以外の場所でこいしちゃんを登場させる場合、ある程度の前振りがあった方が良いかもしれませんね。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/167/1336752935


不可認識存在としてのこいしちゃん

 能力の強ささえ調整すれば、案外に交友範囲は広がるものです。

 地霊殿EXにて、妖怪の山の哨戒網を潜り抜けた上で主人公の前に姿を現したこいしちゃん。その無意識性と不可認識性から様々なところに侵入するこいしちゃんですが、門番や哨戒者に見つかることも、時にはあるかもしれません。そこから交流が始まることも、物語には珍しくないことです。この場合の交流相手は椛や美鈴などになるでしょうか。

 或いは、こいしちゃんに対してのアンチスキルになり得るものを持っているキャラクターとの交流も面白いかもしれません。これには公式に言及のあったうどんげや、他者の気配を把握できるスター、同じ認識改変系であるぬえやマミゾウなどが挙げられるでしょう。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/219/1528467246


無意識存在としてのこいしちゃん①:意思消失系

 こいしちゃんの「無意識」の描きかたに苦労させられているひとは、非常に多く見うけられます。これは無意識というものの幅が、非常に大きいことが一因でしょう。そういうわけでここでは、いくつかのパターンで無意識の描きかたを考えてみることにします。

 一つ目は意思消失系です。これは主にさとりや神子の能力の通用しない、唯一の存在であることを主題に置いたものになります。物語構築としては、能力の通用しないことに対する相手の困惑や不安感を描くのが王道かと思われますが、一方で他の味付けがなかなか難しいことも悩ましいところです。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/127/1285448241


無意識存在としてのこいしちゃん②:夢旅人系

 二つ目は、夢世界の旅人としてのこいしちゃんです。

 心理学上においては、夢と無意識は非常に深い関係があるそうです。実際にこいしちゃんも「胎児の夢」などといったスペルカードを使っていることから、こいしちゃん自身も夢と関りが深いことが伺えます。ここから夢の中を舞台(或いはその一部)として描くことも可能でしょう。この場合は夢の支配者であるドレミーの他、特殊な精神構造を持っていそうなキャラクターとの関わり合いも映えますが、こいしちゃんただひとりを登場人物として曖昧な世界を描くことなども可能です。ただしこの描きかたの場合、展開力や描写力が非常に強く問われますから、これは上級者向けと言うべきでしょうか

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/86/1253254755


無意識存在としてのこいしちゃん③:操作不能系

 これは割合、よく見るタイプの味付けですよね。

 こいしちゃんは自分の行動を掌握できていない節があるというところを出発点に、「気付いたら知らないところにいた」「しばらく無意識に動いていたらしい」といった動作を描いたり、はたまた自身の思考そのものをふわふわした雰囲気で描いてみたり、と無意識にある意味乗っ取られたような存在としてこいしちゃんを描いてみるのも、また一興でしょう。

 この手法を取る場合、関わる対象については本当に幾らでも選べますし、他の自分の好きなキャラクターと好きなように関わらせるのも良いかもしれません。とは言え、この手法では最後に地霊殿へ帰宅させ、さとりと話して締めとする作品がわりあい多いのも事実ですが。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/223/1557840427

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_p/82/1298748326


無意識存在としてのこいしちゃん④:無意識掌握系

 ③とは対照的な構築です。

 こいしちゃんの無意識を操る程度の能力を最大限に活用して、裏の元凶であるとか、或いは全てを見通している存在だとかの役回りをさせるのも面白いかもしれません。ホラーテイストにするも良し、オチ要因にするも良し、またはメタ要因とするのも映えそうです。③のようなふわふわした言動と組み合わせてギャップを狙うのも良いと思います。こちらも関わる相手を選びませんが、物語の出発点には彼女と関わりの深い場所を選んでおくのが無難でしょう。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/104/1268114154


悪戯少女としてのこいしちゃん

 無意識なら仕方ないですよね。

 奔放さと幼さを持つこいしちゃんですから、命蓮寺ではぬえや女苑、地底では勇儀やお空、或いは道端で出会った誰かと一緒に悪戯をしようと画策するかもしれません。無意識の能力もありますから、とんとん拍子で悪戯の準備は進むでしょうし、或いはばれた瞬間にひとりでこっそり逃げ出すのかもしれませんね。どちらにしても、愉快なことが起こるというのはまず間違いないでしょう。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/100/1265815568


死体収集家としてのこいしちゃん

 こいしちゃんは死体をエントランスに飾ったりなどもするらしいですし、死体をコレクションする趣味などがあっても良いかもしれません。この場合にはお燐の他、青娥や芳香と関わらせてみたりしても、なかなか面白くなるでしょう。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/157/1322058435


路傍の石なこいしちゃん

 「綺麗な石集めが趣味」のわかさぎ姫や、「石を積むのが日課」な戎瓔花などと絡めると、面白いことが起こるやも知れませんね。


終わりに

 ……どうでしょう、貴方の書きたいこいしちゃん像は見つかりましたか?

 当然のことですが、こいしちゃんの描きかたというのはこれだけには留まりません。こいしちゃんには無限の可能性があり、書き手の数だけこいしちゃんはいます。上記のこいしちゃん像をいくつか組み合わせることで、思いもよらない素敵なこいしちゃん像が見つかることもあるでしょう。

 こいしちゃんには無限の可能性があると標榜する身として、皆さんのこいしちゃんを楽しみにしています。




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 どうやら、弊最新作が歴代3番目ぐらいの評価を頂いているようで、ありがたい限りです。新作ももうしばらくで書けると思うので、読んでもらえると嬉しいです。
 評価もらえるともっと嬉しいです。

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/224/1560438052


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