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第6回Zoomで健康 講演スライド(人とのつながりは最高の健康法)

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まずは、健康の定義を紹介します。こちらが、WHOによる健康の定義です。

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WHOの定義とは違い、このような考え方もあり、ポジティブヘルスと言われています。
この2つの健康に対する考え方の違いをちょっと考えてみてください。


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それではまずは、私の外来患者さんの事例を紹介します。

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健康の定義を念頭に、この事例を考えて言えることは、医療だけでは人は健康にならないということではないでしょうか?
実際、人々が健康に生きることを命題としたとき、医学的介入による影響はかなり小さいと言われています。

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では、どうすればよいか?
原因の原因の原因・・・に介入する必要があります。
例えば、先ほどの外来の患者さんに関しては心筋梗塞の原因は、高血圧。高血圧の原因は、食生活の乱れや薬を飲んだり飲まなかったり。
食生活の乱れや薬を飲んだり飲まなかったりの原因は孤独。
なので、孤独に介入する必要があります。
このように、その人の根幹の健康の要因を健康の社会的決定要因といい、この図のような要素で構成されていると言われています。

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このことを、川に患者さんが流れてくるモデルを使って説明してみます。
これは医療機関に日々訪れる患者さんを、川に流され助けを求める人になぞらえたものです。下流で、溺れている人(患者さん)を助け(医療行為;手術、お薬など)続けても上流からどんどん溺れている人(患者さん)が流れてきます。これでは、きりがありません。そのため、上流で何が起こっているのかを見に行く必要があります。川の上流を見にいくと、なんとそこには患者さんを生み出す【病気の工場】がありました。溺れる人々を救い続けても、川の上流に分け入りその工場を閉鎖しない限り患者さんを減らすことはできません。つまり手術、薬の処方などの医療活動だけを行うだけでなく(もちろんこれも非常に重要ではありますが)、その人の病気の根源(工場の材料)を解決しなければならないのです。
そして、この工場の材料が健康の社会的決定要因ということになります。

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そして、健康の社会的決定要因として、注目されているのが人とのつながりです。
以下、人とのつながりが、どの程度健康に良いか説明していきます。

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人とのつながりが健康に良いということはなんとなく、わかっていただけかと思います。
では、なぜ人とのつながりは健康に良いのか?ですが、
1. 困ったときの手助け:手段的サポート足を怪我して買い物に行けない、風邪ひどくなって病院に行きたい・・・こんなときは、代わりに買い物に行ってくれたり、病院に連れて行ってくれたりする人が必要ですね。反対にこのようなサポートが得られなければ、怪我がよくなるまでの間あり合わせのかん詰などで食事を済ませてしまったり、受診が遅れてかぜをこじらせてしまったりするかもしれません。
2. つらいとき、悲しいときの寄り添い:情緒サポート親友とけんかしたり、災害に遭ってうちひしがれてしまったり・・・つらいときに、一人悩み続けるほど苦しいことはありません。寄り添ってくれたり、話を聞いてくれたり、励ましてくれる人が必要です。このように情緒・心の面でのサポートを「情緒サポート」といいます。3. 役立つ情報のやりとり:情報サポートからだの調子が悪かったり、健康のことで気になることがあるとき、知り合いに信頼できる、詳しい人がいてくれると助かりますね。有用な情報をくれるからです。健康維持づくりに役立つ情報をくれる人がいる人のほうが、健康な生活習慣を送りやすいでしょう。

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たとえば、そのような地域では、未成年が喫煙や飲酒をしようとするのはしっかり注意してくれる大人が多いかもしれません。また、皆で防犯活動を行うことで治安が保たれ、夜もあんぜんのにジョギングや散歩ができ、そのために運動習慣を維持できる人が増える化もしれません。決めごとがスムーズになることで、地域や社会の財源(税金など)を有効に使用することができます。地域の祭りを通じた世代間の交流が増えて、社会サポートを受けられる機会が増える化もしれません。
このような、社会の結束をはぐくむような仕組みや地域の資源のことを「ソーシャル・キャピタル」といいます。ソーシャル・キャピタルが高い地域に住んでいると、その環境から様々な恩恵が得られます。たとえば、あまり社交的でない人でも、治安の良さの恩恵を受けられることで、健康にメリットがあります。

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最後に、私がやっている活動で健康屋台というものがあります。

・健康無関心層へのアプローチ
・地域住民に医療を身近に感じてもらい利用してもらう
・小さな公共空間となる。=住民同士のつながりを作る
・社会的処方としての機能

いろいろな目的でやっていますが、興味がありましたら屋台の記事を是非見てください。
よろしくお願いします

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