青写真
私はゼロから生み出す創作ができない。
だから、そこにあるものそのままを写し取る。
イラストや絵画を描くのではなく写真を撮っていたのも、何もない真っ白なキャンバスを与えられると何をしたらいいのか分からなくなるからだ。
物語を書く時も全く同じだ。
ファンタジーみたいに全く新しい世界を作り出すなんて私にはできない。
だから、自分に起きたことをそのまま書き留める。
今この瞬間も、いつか物語になる。
だから、物語を彩るエピソードを紡ぐように私は毎日を生きている。
そして日々の小さなエピソードが積み重なり、物語の大きな流れと輪郭が浮かび上がってきた時に、不思議なことが起きる。
現実と物語の逆転。
物語が現実を超えて先にできあがってしまい、その物語が実話になるように今の現実を物語の筋書き通りに合わせていくのだ。
それはまるで、設計図通りに建物を組み立てているような感覚だ。
私は全くのゼロから何かを生み出す作品は作れなくても、現実を作っていくことはできるのかも知れない。
私にとって創作とは、生きることそのものなのだ。
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