P.4長い迷走

僕が心療内科に本格的にお世話になり出したのは30歳前後です。

しかし体調を崩し、仕事も学校も辞めたのは20歳前。
つまり約10年間は、体調が悪いのにもかかわらず、適切な処置をしなかった、できなかったのです。

この「魔の10年」を作ってしまったのには、やはりいくつか原因があります。

一つは「精神病に対する偏見」です。
僕はもともと精神病に対して否定的な見解を持っていました。
「気のせいだろう」
「気の持ちようだ」
「ただ怠けたいだけでしょ?」
「頑張りが足らないんだよ」
と言った感じです。
その結果、まさか自分が精神病になるなんて思いもよらなかったわけです。

気持ちが悪く、胃のあたりがムカムカとするのが続けば、胃のレントゲン検査に胃カメラ。

首の後ろが締めつけられるような不快感や、頭痛、肩こりがひどくなれば、首や頭のMRI検査。

何度も採血をしてもらいましたが(その度にぶっ倒れてましたが)、数値は平常。

これらの検査を何度も繰り返し行い、その度に結果は「異常無し」。
胃薬を処方してもらっても、逆流性食道炎の薬を処方してもらっても、回復の兆しは全く見えませんでした。

それどころか、各種症状は悪化の一途。
そうこうしているうちに「パニック発作」を初めて起こしてしまいます。
発作を起こした当日から一ヶ月は寝たきり状態が続いた記憶があります。

それでもまだ、それらの症状が心因性のものとはつゆも思わず。

結局、適切な服薬やリハビリを始めるまでに10年という月日を費やしてしまいました。

スマホ片手で自分の諸症状を検索すれば、それなりに対応していただける医療機関に辿り着ける現代だからこそ、精神疾患も「早期発見早期治療」が「早期回復」への一つの手段だと思います。

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