第9回六枚道場*前半一言感想

今回、初めて六枚道場というものに投稿しました(私は後半です)。四百字詰めの計算がうまくできなくて管理人の方にはご迷惑をおかけしました。

せっかくですので、他の方の作品の感想を短く書いてみます。見当違いありましたらごめんなさい。


1. 憚りの僥倖

冒頭の印象に比べて、筋自体はオーソドックスなのが意外でした。排泄行為を私はもう少し堪能したかったので、今度は排泄一本の6枚を読んでみたいです。

2.せっかく異世界の女神に呼び出されたのに魔王に送り返されてしまって10年になる件

物語の始まりという感じで面白かったです。異世界転生ものなのか、異世界転生ものに仮借したものなのか、そういうところがつい気になってしまいました。

3.点に消える

女の子の美しい友情物語と読ませて、最後になるほど、と思いました。せっかくなので、このギミックを生かしたもう少し長い短編で読んでみたいです。


4.河の向こう側

主語を(たぶん)意図的に省いているので、色々解釈ができそうです(銃は誰に撃ったのか?)。習作という感じで、もうちょっと肉付けしたものを読んでみたいです。

5.肩透かし

個人的に似たような経験があるので、執拗な情景描写が何となく自分の思い出としっくりきました。ただ、雨が降っているのに、いくら急いでいても、傘を差さないで紙の原稿を持っていくかな、と思いました。

6.群

マンションのアイデアもそうですが、冒頭とラストが呼応するオチがきれいでした。今の時代、タワマンはネガティブイメージなんでしょうか。


7.未踏の日常

ちょっと芥川の「侏儒の言葉」を思い出しました。塩の湖の話は何かモデルがあるんでしょうか。

8.ひまわり

志賀直哉の「城の崎にて」を思い出しました。「彼」と「K」の書き分けは意図的なのでしょうが、ちょっと混乱しました。

9.禍中

現在進行形の現実の出来事を書くことはかなり勇気がいることと思います。「共犯意識に似た糸」という表現がよかったです。


10.理想の妹、舞子

「理想の妹」と来ると、何か不穏な印象を受けてしまうので、その意味では読みを外された感じです。のびやかで穏やかな掌編でした。

11.姉ヶ崎の終戦兵

羽の生えた蜥蜴、言葉を話す鴉といったところに不気味な戦争の後遺症を感じます。乳歯のくだりは印象的で、これを軸にした物語も書けそうです。

12.All mine

前半戦の中で一番集中して読める、無理のない構成でした。欲を言うなら最後にもうひとひねりあると好みでした。

13.雨からはじまる

ギミック自体は初めからヒントが示されていますが、心温まるエピソードとして好感が持てます。ちなみに、これはやっぱりチャゲアスなんでしょうか…

14.報せ船

最後の船がやってくるシーンとそのアイデアがよかったです。ただ、6枚の中だと細かな固有名詞や設定などに意識をとられてしまいました。

15.あなたの瞳にファイ消しアタック

勢いで読ませる作品は嫌いじゃないです。語り手が交互に変わる構成は慣れると結構おもしろかったです。


私は短い枚数の中でも起承転結つけて書きたいタイプなのですが、皆さんの作品を読んで、いろいろな書き方をしてもいいんだなと思いました。もう少し頭を柔らかくしたいです。