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「月夜は降らん。闇夜は降る」

「月夜は降らん。闇夜は降る」

バイトの送迎車の中で、地元のおじいちゃんたちがそう話していた。
雪の話だ。満月の前後は降らず、新月の前後は降る、と昔から言われているらしい。

昨夜は今年初めての満月。見惚れるほど綺麗な満月だった。被った薄雲に月光が反射して妖しく輝いていた。

雲はあれど晴れていたから、今朝からの雪予報は外れると思っていた。
が、なんてことはない。朝起きたらしっかりと雪が降り積もっていた。

(雪降らないと思ったのに…)
わたしの雪国で生まれ育って培ったはずの野生の勘は、簡単に外れた。

そして、冒頭のおじいちゃんの言葉を思い出したのである。

おじいちゃんは、月夜に雪が降らないことを
「お月様がおるで恥ずかしいんや」
なんて言っていたけれど、実際はどうなのだろう。

ネットで簡単に調べてみたところ、科学的な根拠は見つからなかった。
バイアスがかかっているようにも思うが、昔の人がそう言っていたのだからなにか意味があるような気もする。
どなたか知っている方がいれば、ぜひとも教えてください。

✳︎
わたしの昔から好きな雪景色のひとつは、満月の夜。
月の光が雪の原っぱに反射して、昼間のように明るく、遠くまで見えるのだ。
夜と昼とが合わさったその景色を見るために、満月の夜は決まって外に出た。

「月夜は降らん。闇夜は降る」
わたしはこの言葉を知らずとも、知っていたのかもしれない。
 

写真のように、雲の白さも、山の淵も、家々も、はっきりと視認できるくらい、明るい。
寒さを忘れて、時を忘れて、冬に溶け込む。
わたしのささやかな至福。

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