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流れ星を探している余裕なんかなくって

「人生の半分以上情報技術屋さんとして生きてるんだ。」ってふと気が付いたのだけど、特別秀でたスキルも資格もない。それでも下積みからこの年まで続けていれば、それなりに勘所は働くし、資格と机上論だけの業務屋SEに背中で生き様の違いを示せるくらいにはなったんじゃないかなって。

IT業界は職人大工の世界と似ていると思っているから、西岡棟梁(西岡常一氏)の言葉は今の業務屋SEに戒めとして聞かせたい。新卒で数カ月の座学カリキュラムでSEと呼ばれるようになり、企業の名前を後ろ盾に上流工程を任され、自身が偉い、上流は偉いと勘違いしてしまう子たちが余りに多すぎる。

学士様、修士様。自頭はいいのでしょうが、非常に残念なこと。

モノのインターネット、機械学習と流行りの案件を担当している。いいか悪いかではなくて、納得がいくかいかないかだから、自費で検証環境や機材を集めて、ある程度の理解まで持っていくことは、20代の頃からやってきた。

SQLServerだって、開発言語のプラットフォームだって、各社無償版や評価版を用意してくれているから、ハードを除けば使い勝手を覚える環境は揃えられることが多い。過去SASだけは、無償環境がなかった。

今回は開発ボードや通信モジュール、SORACOM社やAzureのクラウドサービスを使って勘所を抑えておきたかったので、昨年末からいろいろと準備して触ってみていた。仕様書も表記言語問わず、必要な範囲は全部読んでおいた。そのおかげで今回受け持っている案件はかなり自由に立ち回らせてもらえている。

休みの日や、平日の帰宅後に検証用の機器を組み立てたり、クラウドに環境を作ったり、検証するために制御プログラムを書いたり。それはまあ、暖かい場所でできる作業だからいいけれど、気温3度、4度の中ベランダへ出て、ノートパソコンと開発ボード片手にNMEAのデータを収集しに行ったり来たりするとか。

測位衛星から降ってくるデータは屋根のないところへ出たらすぐもらえる訳ではなくて、欲しい値を受信できるようになるまで意外と時間がかかる。それをコンソール画面で時間と一緒に確認しながらずっとノートパソコンの状態を睨んでいる。せっかく夜空を遮る高い建物のない奈良の平野部なのに、流れ星を探している余裕なんかなくって。

高価な精度を高度化する多機能なデバイスはさすがに個人で用意するには腰が引けるけれど、GNSSで収集できる範囲で条件や閾値を設けたりしながらクラウド上に送信した値を、地図と照らし合わせて誤差が畳1畳分だったりすると嬉しくなる。

周囲を納得させるためにも地道なデータ収集が必要

こうして得た値を職場での資料や会議の理論武装に使うのだけど、どうしてここまでやるのかっていうと、どうせやるんだから解らないまま怯えて進めるより、やるだけやって自身だけでは到達できなかったとしても、自身のやったこと、間違えたことから、誰かが気付きを得てことが進んでくれたら楽しいから。

目の前の案件に全力で取り組んでいないのに、資格の勉強をして資格を取得したとしても、別に偉いとは思わない。そんな連中ばかりだから、職場だけでなく、情報技術の世界も、社会もおかしくなっているんだと思う。

でもまあ、流れ星を探すくらいの余裕は残しておけるようにしたい。

検証環境の構成
OS:Windows11 64bit
IDE:Arduino IDE
開発ボード:ELEGOO Arduino用 MEGA2560 R3ボード mega2560
通信モジュール:LTE-M Shield for Arduino
通信SIM:特定地域向け IoT SIM (plan-D)サイズ:ナノ
GPSモジュール:OSOYOO GPSモジュール NEO-6Mモジュール付き / DIYmall BE-220 GPSモジュール TTLレベル
クラウドサービス:SORACOM Harvest Data

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