ジェンダー問題 その3

20代後半の頃、お仕事で出会った佐藤さんは私より10ほど年上で、当時、小さなお子さんがお2人。大変聡明な方で、仕事は誰よりも早く、しかも的確です。佐藤さんは東大ご出身でした。あるとき「佐藤さんは、どうして東大に行かれたんですか?」とお聞きしたところ「私の頃はね、まぁ女の子は文系なら文Ⅲ、理系なら理Ⅱって感じだったのよ。」と・・・。私は「どのようなきっかけで、東京大学などというすごいところを目指そうと思われたのですか?」とお聞きしたつもりだったのですが、全く予想外のお返事が返ってきました。目を白黒させている私に気づいた佐藤さんは「うちはみんな東大だから、大学って東大のことだと思っていたのよ。」と。なんですと?デフォルト東大??なのに女の子だから???

佐藤さんは、妊娠出産、ご主人の海外赴任や転勤など、キャリアを何度か中断されていて、当時、私は「これほど優秀な方が、もったいない。」と思っていました。

あれから20年。佐藤さんは、責任ある立場となられ、楽しそうにお仕事をされています。20年前、佐藤さんのキャリアパスを「もったいない」と思ったのは私だけではなかったと思うのですが、彼女は他者の価値観や評価に振り回されることなく、ご自身で優先順位を決めて、マルチタスクをこなされてきたものと拝察いたします。しなやかにお仕事を続けてこられて素敵だな、本当に優秀な方だな、としみじみ思います。私は、『東大卒=優秀=出世街道驀進』としか考えることができなかった凡人ですが、最近よく耳にするようになった「働き方の多様化」は、実は女性たちがすでに実践している、と考えています。既存の価値観を壊す必要はなくて、違う存在を「認める」だけでよいと思うのですが、なかなか難しいのでしょう。でも、新型コロナ禍で、少し変わったのではないかなと思っています。

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