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ハイキング記録:妻籠ー馬籠

なんだかよくわからないけれど、
まわりの外国人に大人気なのが中仙道。
今年の2月には学生以来の友人が中仙道を歩きにやってきた。
いや……止めた方がいいよ。寒いと思うよ。
と止めたのだけれど、もう、ツアー組んじゃったしといってやってきて
「馬籠の民宿、恐ろしく寒かったわ。一泊でよかった。」と
言って帰ってきた。馬籠妻籠間をハイキングしたけど、雪があった、と。
でも、昔の宿場町は美しかった、と大絶賛だった。
他の友人達にもとにかく中仙道について聞かれる。
なにがそんなにいいんだろう、と言っていたら、日本にいる友人も
行きたいと言い出したので、じゃぁ、ちょっくら見に行ってみますか、
ということで梅雨入り前に馬籠ー妻籠ハイキングを企画。

松本を起点に、急行に乗って馬籠まで。そこからバス。
ほとんど日本人がいない。いるのは、ガイドさんくらい。
みなさん、バスで馬籠まで行かれたのだけれど、
私達は、馬籠の手前の落合で降りて、そこからハイキング。
歩道橋を渡ってしばらくは、のんびりした町並み・村落が続く。

その後、中仙道の道標から、落合の石畳の街道が始まる。

落合の石畳

石畳の脇に水路がある。石畳がぬれているところも多いので、
恐らく石畳がないと道がぬかるんで、歩くのが大変だったんだろうな
と思う道が続く。

たぶん、この石畳は、旅人にとって画期的だったに違いない。
ぬかるまないし、平らだし、歩きやすいし。
ただ、それは、わらじの人に……で、ハイキングブーツの私には、
平らでぬれた石畳は、滑りやすく要注意だった。
いや、つるつる滑って歩きにくいというほどではないけれど、
下手すると転びそうになるような滑り具合。

しばらく行くと、馬籠宿の道標が。
大きな看板と地図もあり、やった、
意外に楽勝だったね、馬籠まで
という気持ちになったのだけれどここからが長い。
ポツンポツンと民宿らしきものが畑と田んぼの間にあるけれど、
宿場のイメージとはどうもずれる。
これ、馬籠? と思っていたら、石垣が現れ、
遠くにバスが行き来する通りが見え

これを登り切ると観光地馬籠が出現する

石垣が終わると、一大観光地馬籠が始まった。

とはいえ、メインストリートは一本道。
ひたすら登っていくうちに、観光客が一人減り、二人減り。
最後は馬籠 陣場上展望台にたどり着く。
ここまで来ると、ほとんど人はいない。
展望台で次のトレイルヘッドが見つからず、
右? 左?と迷っているところに、左の道から出てきたフランス人と
行き会う。話を聞いたら、右側の道をたどっていったら
もとの場所に戻ってしまったという。
右にそれる道が途中にあったから、そっちを試してみる
といって二十歳のフランス人はハイキングを続行。

とりあえず、恵那山を見ながらお昼。
フランス人は戻ってこなかったところを見ると、右にまがると
トレイルヘッドがあるのだろうということになり、
右へ、右へと歩いてみる。そこで出くわした階段がトレイルヘッドだった。

馬籠峠への道

ここから、馬籠峠を通って、妻籠を目指す。
馬籠峠は標高790メートル。といっても、
すでにそれなりに登ってきているので、それほどきつい上りではない。
所々にある石畳や道祖神のような石仏に励まされつつ、峠まで。

最後、車道をちょっと上がると、馬籠峠の標識が出てきて、到着。

意外にあっけないというのか素っ気ない馬籠峠

ここからは下り坂。熊用の鐘もあった……どれくらい効果があるのかな。
とりあえず、ならしてみたけれど、たぶん、喋るとか歌う方がいいかもね?

川もあり、木陰が気持ち良いトレイル

と、突然、大きな古民家が。下調べが不十分だったので、知らなかったが
一石栃立場茶屋という有名な休憩所だった。
立場茶屋は、宿場と宿場の中間にある、休憩処のことだそう。旅人や人足、駕籠かきなど、杖を立てて一休みしたことから、立場という名前がついたのだとか。知らなかったので、写真に入っていないのだけれど、ここの八重の枝垂れ桜は有名で、GWが見頃とのこと。

右手奥に見えているのが、枝垂れ桜……かな?

中は昔の家らしく薄暗い。左手が土間になっていてそこに大きな
テーブルがあり、セルフサービスで無料の麦茶がもらえる。
結構、座りこんでおしゃべりしている人もいた。
右手は座敷になっていて、いろりがある。

確かにここで一服できるのとできないのでは大分違うなと思いつつ、
一息入れて再度出発。一路妻籠を目指す。
川に沿って所々石畳に助けられながらの森林浴。

下流になってくると川が大きくなる。
そして、最後は関西電力の妻籠変電所に出る。
建設当初の名前は、「読書(よみかき)発電所」なのだそう。
木曽川の激流を利用して作られた発電所で、
1923(大正12)年に最新鋭の技術を投じて完成し、当時日本一の出力40.700kwを誇った水路式発電所の金字塔とのこと。ちなみに、立てたのは関電前身の大同電力の社長だった福沢桃介。
福沢諭吉の婿養子で、のちに「電力王」と呼ばれた人。

変電所入り口。入れません、残念ながら

ちなみに、変電所のすぐそばには、こんなおもしろいものも。

わらでの馬。等身大だろうか。大きかった

ここからはほどなく宿場町。

夕方だったせいもあるのか、人は馬籠よりかなり少ない。
でも、町の構成としては、川のほとりに横丁がいくつもあって
馬籠より大きいかんじ。

さて。ここから、バスで南木曾にいくのが正解。
ここまでですでに13km歩いているので、結構足もくたびれていて、
まぁ、その予定だったのだけれど、なにしろバスの本数が少ない。
そして、馬籠には止まった急行が南木曾には止まらない。
ので、電車の本数も当然のことながら少ない。
夕方になると、宿場町周辺のお店は閉まってしまい、
時間を潰す場所もない。ということで、あれこれ考えた結果、
南木曾まで歩くことになった。
1時間。本日の歩行距離は17km弱かぁとも
思ったけれど、まぁ、ぼんやり座っているよりいいかということで。

南木曾までは、川沿いを歩く。
途中木曽義仲のかぶと観音があったり、
見事なツツジの立派なお庭のおうちがあったりで、結構なお散歩気分。
一緒にいった友達は、日本ってつつじだらけだと感心しきり。
確かにつつじが見事だった。
駅の近くにD51が展示されていたので、登って記念写真を撮ったりして
駅に帰着。

各駅停車だったので、松本に着くまでほぼ2時間。
南木曾には高校があるようで、高校生達と一緒に電車に乗った。
しかし、1時間に1本もない電車に2時間近く乗っての通学は大変だ。
自分も経験があるだけに、気の毒だなと思った。
でも、10分に1本くらいはあったもんね、電車。
文句言ってはいけなかったな、と思っているうちに、松本に帰着。




得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)