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ワールドマーチ/日食なつこ

足並みを揃えて行進する姿。
個は打ち消され、「集団としてどう美しく見せるか」だけがある世界。
そんな世界を離れたところからみている「君」と「僕」で、その群れから外れて街を抜ける。

ワールドマーチ 高らかに声を上げて 世界は今日も行進を続ける
足並みを揃えて前を見据える 体と想いは食い違っていてもよしとする
ワールドマーチ 体と想いが一緒に動く君は 離れたところから見ている
「私は皆のように列に入れない出来損ない」 寂しそうに言って笑う

冒頭の対比で、一気に引き込まれます。

「2人」の視点と「列の中の人たち」の視点があって、私は2人と同じくらい列の中の人たちも気になります。体と想いが食い違ってもよしとされる人たちもまた人間だから。

ワールドマーチ よく見れば 誰も彼も見ている方向は バラバラのまま歩いてる

列の中の人たちにも、それぞれの人生がある。列を外れて街を抜ける2人を羨ましいと思っている人もいるかもしれない。

靴底が剥がれ落ちそうなほど歩いてきた「君」と、自分のことのように感情を高ぶらせる「僕」。私は一緒に怒ってくれる人って、生きていく上でとても大切な存在だと思っています。

「君」も「僕」も「列の中の人たち」も、当たり前に姿も声も違うことを恐れたりしないで生きられたらいいな。


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