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日本人ゼロの海外ITチームで働いてみた

2024年4月から業務委託として参画した会社は日本を本社に置いてますが、私の上司であるITチームのリーダーはアメリカ人、また全従業員の7-8割は英語が堪能な方々なので、全体ミーティングは基本英語で実施されています。

留学に向けての練習としては最適な環境だと感じつつも、これまで英語が公用語のプロジェクトにアサインされた経験がほとんどなかったため、試験英語のスピーキングやリスニング力でどれくらいチームに貢献できるのか不安は当然ありました。
ようやく落ち着いてきたので、この2ヶ月間を振り返りたいと思います。


会社概要

まずは会社の概要を簡単に紹介します。
一言で言うと、東南アジアや日本を中心に森林や農業分野でカーボンクレジットの創出支援を行っています。カーボンクレジットとは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として数値化したもので、日本国内では「J-クレジット制度」として国が運営しています。
また、民間が運営するボランタリーカーボンも存在します。

カーボンクレジット制度とは

クレジット創出者は、クレジットの売却によって得られる経済的利益を削減・吸収活動の資金に充てることができますが、最近では信頼性の低いカーボンクレジットを購入することでグリーンウォッシングを助長するという批判もあったりします。そこで、私はその脆弱性を補完し、クレジットの妥当性を様々なデータを用いて裏付けるアルゴリズム構築やシステム開発を担当することになりました。

1ヶ月目

まず私がアサインされたプロジェクトは実証エリアがフィリピンということもあり、プロジェクトマネージャーとエンジニアはどちらもフィリピン出身の方でした。

入社日からの一週間

さて、まず初日はBossとの1 on 1から始まり、その後3時間ミーティングが続きました(もちろん英語オンリー)。1 on 1では、相手が私の英語レベルを考慮し、専門的な話になると話すスピードを落としてくれましたし、私が理解していない様子を見せるとわかりやすく言い換えてくれたので大変助かりました。

しかし、4人のチームミーティングはかなり大変で、プロジェクト背景など何も資料がなく、ビジネスモデルの話を英語で聞かされても正直全くわかりませんでした笑。
複数人でのディスカッションは、IELTSリスニング7.0でもなかなか厳しく、途中でカットインして発言することも全くできません…
ずっと黙っている私に気を遣って最後に疑問はないかと聞かれ、本当はいくつか質問したいことがあったのですが、とっさに英語が出てこなかったので「多分大丈夫!」といった感じで誤魔化してしまいましたね。
小規模のチームなので、もっと間違いを恐れずに発言すればよかったなとは思います。

3日目にはオフィスに初出社しました。
私の場合は海外プロジェクトチームのフィールドの席を準備してもらったので、周りは英語でコミュニケーションをとっている環境も少し新鮮でした(ただ、声のボリュームが大きいので、作業に集中できないこともあります笑)。お昼は4人でランチに行きましたが、会話に入れず、ただ聞き役に徹していました。その中の一人が親切にも時々質問をしてくれるのですが、私の返答からすぐに話が展開していき、再び黙り込む状況へ、、、この全然話の輪に入っていけない感覚は、留学先でも同じような状況が起きそうだなと思いました。

とはいえ、業務委託の立場でありながら、正社員と同様にウェルカムな雰囲気で迎えてくれましたし、新しくジョインした人向けのパーティも企画してくれて、全体的に馴染みやすい環境だったのはよかったです。

(ちなみに細かいことですが、一応日本の企業なので、私に対しては「さん」付けしてくれましたが、逆に彼らはニックネームなどで呼び合っているので、今後のために自分のイングリッシュネームを考えようかなとも思いました。)

社外MTGで同時通訳?!

会社の雰囲気に慣れ、徐々に与えられた仕事の要領を掴んできた頃、社外ミーティングにも参加してほしいという依頼が増えてきました。
たとえば、USのデータベンダーとの打ち合わせに参加した際には、基本的に上司がファシリテートしてくれるので、私は聞いているだけで済みました。しかし、ある日、日本のデータベンダーとの打ち合わせに招待されました。もちろん、英語で会議が進められるはずがないのですが、一方で通訳してくれる人もいないことに気付きました。

私🙎‍♂️:「Hey! 〇〇さんは同席しないの?私より英語喋れる人も一緒にアサインした方がいいのでは?」
Boss👨‍💼「いや、技術寄りの話になるから、それを一番理解していて英語もできる君が適任だ!」
私🙎‍♂️:「Got it! (What?! 1時間も無理すぎる…)」

なんと、自分が仲介役として翻訳しなければならなくなりました。今までは、他チームに所属するビジネスサイドの人間が同席してサポートしてくれていたらしいですが、おそらくプロジェクトごとに予算管理がされているため、自分がITチーム内にJOINしたことで、対応できるならなるべく他のチームに頼らずプロジェクトメンバー内で完結させたいという感じかなと推察しました。

会議が始まり、まずは上司が先方への依頼内容を容赦無く英語で説明し始めました。スライドごとに英語での説明が終わった後、私が日本語でその内容を補足するという流れです。事前に資料を読み込んでいたので、この部分は特に問題はありませんでした。(今振り返れば、初めから自分が説明すればよかったのではと思いますが笑)
問題は相互のQAセッションです。ここは完全アドリブで対応しなければならず、もちろん同時通訳できるほどの英語力は一切ありません。さらに、議事録も取るように事前に言われていたので、こんなマルチタスクできるはずがありません!!

結果的に、相手から質問が来た場合は、5秒~10秒くらい待ってもらい(その間にGoogle 翻訳を議事メモ代わりにして必死にタイピング)、なんとか耐えましたが、決してシームレスなコミュニケーションとは言えず、少し気まずい空気になりましたね。

2ヶ月目

ITチームの成果を社内にプレゼンする機会がありました。
フィリピン出身のエンジニアがアルゴリズム開発を担当し、私はそのアルゴリズムを組み込んで可視化するための簡易デモアプリの構築を行いました。プレゼン資料も夜遅くまでチームメンバー全員で作成し、最終的にはCEOを含む幹部陣からポジティブなフィードバックを得ることができました。
インフラから整えた本格的なWebアプリというわけではありませんでしたが、社内で共有するだけなら十分な完成度だったと思いますし、自分自身でも初めてチームへ貢献できた感覚でした。

その後、誰もが知る外食チェーンを展開する会社へ我々のシステム導入を提案する打ち合わせが設定され、提案資料の作成と当日のプレゼンは私が担当することになりました。相手方のITリテラシーのレベルがわからなかったため、資料は丁寧めに作成したところ、先方からは「非常に興味深い内容だった」との好評を得、同席していたBossからも「Your presentation was amazing!」と褒められました(日本語での会議だったので、あくまで雰囲気でいい感じだったとだけかと思いますが笑)。

また、エンジニアでありながら、データベンダーの営業の方とやり取りしなければならなかったのも予想外で、チーム内に日本語でやり取りできる人がいないため、私が代わりにメール・電話対応をすることになりました。
見積もり時にこういった交渉をしてほしいとか、微妙なニュアンスを英語を通して汲み取るのは少し大変でしたが、これも良い経験になりました。

終わりに

入社して2週間ほどは、進捗報告の際に何を話すか事前にしっかり考えていましたが、毎回準備するのがだんだん面倒になってきて、徐々に完璧を求めすぎないスタンスに変えました。(自分の英語力が十分ではないことはチームメンバー全員が分かっていますしね)
また、ミーティング中に理解できなかった場合、全体像が60~70%程度クリアになるまではなるべく聞き返し、残りの細かい部分はテキストベースでフォローアップするようにしています。

こんな感じで、当初想定していたよりも幅広い業務を経験できていることは、逆に良かったと感じています。黙々とコーディングしているだけでは英語を使う機会も減るかと思うので。
また、人事からこっそり聞いた話によると、私のパフォーマンスが期待以上だとBossが評価してくれているとのことで、一定の役割を果たせているようで安心しました。

長期的に今のような働き方ができるかは未定ですが、とりあえず留学までの間はたくさん働いて、国内で最大限英語力を伸ばしてから渡航できるように調整していきます!


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