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『母を捨てるということ』おおたわ史絵さん著

センセーショナルなタイトルにテレビ画面に食い入った。

いつもはあまり観ない情報番組がお昼からつけっぱなしで流れていた。作業をしながらだったので番組は見ていなかった。最後に司会者がゲストで来ていたおおたわさんに本の紹介を促した。

え?今、なんて言った?

母親を捨てる?

私はテレビは見たいもの(ドラマ)だけ見てついていてもだらだらとみることがなく情報に疎いところがある。おおたわさんのことは知ってはいるけど、どんな家庭環境だったのか全く知らなかった。以前テレビでカミングアウトをされたみたいだけど、全く知らなかった。

私は母との付き合い方に疲れてついに身元保証を第三者に任せてしまった。病院に入院しただの手術が必要だの身元保証が必要な時も出向いて行かなくても身元保証をしてくれる事業所が代わりにやってくれる。病院に連れて行ってくれたり買い物もお願いしたりそんなこともやってくれる。母と会う時は母が亡くなってから引取りお葬式をしてお墓に入れてあげるだけ。捨てたんです。私は母を捨てたのです。

契約をして1ヶ月しか経っていないけど自責の念に駆られ眠れない日もある。ならば鬼のような母に耐えて母が天寿を全うするまで耐えればいいのかもしれない。実際に我慢しながらも甲斐甲斐しくお世話をしている息子娘はいると思う。でも私には無理だった。毒母と毒父のおかげで精神疾患を持ち最近は過敏性腸症候群と偏頭痛で自分の命の危機すら感じていた。

話は逸れてしまったが、毎日母を捨てたことに後ろめたさや1人で寂しくないだろうかと思っていたところに、おおたわさんの本の話が出たのでこれは買わないではいられなくて、電子書籍ですぐ購入し読みふけりました。


子供時代、教育ママのお母さんからの過度なしつけと称した虐待。代理ミュンヒハウゼン症候群。そして鎮痛剤の薬物依存症。お母さんは1人でいた時に命が尽きて亡くなってしまうのだが、おおたわさんの半生の壮絶さに私なんぞ毒親育ちとかアダルトチルドレンを名乗るのが恥ずかしいと思った。

私がおおたわさんに思っていたイメージはお家が病院で裕福な家庭のお嬢様。お手伝いさんがなんでもやってくれて少々わがままな女の子。素敵なイケメンの旦那さんと結婚して幸せに暮らしてる女医さん。

…と思っていた。でもコメンテーターとして出演している時、凛としたブレない姿は同い年で同じ女性としても憧れでもあった。そんな彼女の母親との葛藤を書いた本は私の中のモヤモヤを吹き飛ばしてくれると思った。結果、うちの母とはちょっと違って依存と言っても娘の私に異常な依存はあるかもしれないが。

母に寄り添うとか手を差し出すとかはできないけれども、辛い思いをしている人は五万といるということ、母のことだけじゃなく物の考え方を教えてもらったと思う。

おおたわさんのあのブレなさ、きっとお母さんのことがあったからなのかもしれない。刑務所の受刑者の診察をしたり人のやらないことを引き受けてかっこいい女性だと思う。あとこの本は解説がついているのでわかりやすくて要点がぎゅっとつまってページ数も少ないので読みやすかった。


最後にお母さんのことをこう書いていた。

『悪い思い出だけをつまみ出して生きるより、幸せな一瞬を宝箱に入れて生きたほうがきっと幸せだ。』

このセンテンスが好きだ。こんな風に思えるように生きたい。


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