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O mio babbino caro(私のお父さま)④



その頃には、私もショパンだリストだと、いわゆる名曲が弾けるようになっていた。


中3になり、他の皆んなと学力の差がはっきりしてくると、志望高校も自然に決まってくる。

私は勉強が嫌いだったので、あんまり勉強しなくても入れる高校に入学し、
卒業したらすぐに就職したかった。
そして早く結婚して家を出たかった。
だから、商業科が併設されている高校の普通科を目指すことにした。

ピアノ教室の同学年は受験のためにお休みする子が続出した。
私もこれ幸いと、しばらくピアノを休んだ。
勉強もしないのに。

 ♫〜♫〜♫〜♫〜♫〜♫〜♫

高校に入学して間もなく、
ピアノの先生から電話があった。

「あなた、何してるの?さっさといらっしゃい!発表会に出すつもりでプログラム刷ってるわよ!」
とのこと。

3週間後に迫った発表会。
そんなの無理に決まってる。

父に話すと「自分を試せる良いチャンスだ」と、嬉しそうだった。

けど…父は以前とはどこか違った。


私が入試の期間、実は父は命が縮まるほどの事が会社で起こっていた。
思えばこの受験期の頃、あまり父に会わなかったような気がする。



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