【詩】運命殺害
それは運命などではない
まず宙は
俺と共に在る 同時に
きみと共に在る
そして宙は
俺と共に在る 同時に
あなたと共に在る
残念ながら宙は
俺と共に在る 同時に
キサマと共にさえ在ってしまうのだ
それは運命などではない
宙が無限に拡がり続けその内部に
すべてを
内包し続ける性質を持ち
何処までも何時までも白痴のままで形状を
棄て踊り
全受容を強制的に定義する存在で在る
その確かさとともに
腐愚の如き精神と肉体で
俺をあなたを不快にするキサマさえ宙は
内包し
共に在ることを強要し抗うことを許さない
それは運命などではない
宙の原理である
漠然とただ毎日毎日覗き見る
窓から世界を あたかも
非道残虐な道標として
あまりにも朦朧とした我々に
刻み込むための妄言を唾棄し磨り潰し
押し付けがましい運命を殺してしまえ
宙に住まざるを得ない存在として
宙の中に生きる だが
押し付けがましい運命を殺せ
我々は抱かれたこの宙の中において
俺として
あなたとして
キサマとして
同次元同地平に存在し生きているだが
運命を唱える者の吐く和合は無力
手を取り合わず
反発し
時に結合し狂い
淫密に溺れ
倒れ笑い
泣き
悶絶する
宙の内
無限の自由を以てバラバラに
拡散し
その足元で
腐臭を撒き散らす運命の亡骸を見下し嗤い
踏み千切って 今
生きてゆく
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