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お~いお茶のお申し込み書は、人を狂わせる。
「うおぉ、名前がある。まじか。やった!」
第31回お〜いお茶新俳句大賞で佳作特別賞をいただけた。
お〜いお茶新俳句大賞とは、国民的緑茶飲料「お〜いお茶」を販売する伊藤園が毎年開催している俳句の公募である。
今年の応募総数は195万4888作品。えげつない量だ。
その中から商品に掲載されるのは2,000句。
その確率、0.1%である。
そんな狭すぎる門なので、受賞者の欄に名前を見つけたときは舞い上がった。たまにプレバトの俳句コーナーを見ていたかいがあった。
さっそく自分の句が商品に載るのかどうかを調べた。もし商品に載るなら仍孫(じょうそん)の代まで自慢するために保存せにゃならん。
【 お〜いお茶 ペットボトルに いつ載るか 】などと検索。
舞い上がっているので検索ワードも5・7・5になる。
佳作以上は載るらしい。よし。佳作特別賞なのでギリギリ載ることが分かった。
しかし公式HPによると、どの商品にいつ載るかは分からないらしい。
ええです。ええです。いつか載せていただけるだけで感謝です。
ツイッターで自分の句が載ったお〜いお茶を注文できることも学んだ。冷凍保存すると膨張してラベルが破れたり、常温保存も中身が見るに堪えない状態になるらしいので、お茶は飲みほして中身を洗って保存するかラベルを切り取って保存したほうがいいということも教わった!
そして、
こんな本まで届いた。
驚いた。佳作以上の作品すべてを見ることができる本だった。しかもタダで届いた。
自分の作品が本に載るなんて知らなかったので、サプライズだった。めちゃめちゃ嬉しかった。
本は伊藤園様のごあいさつから始まる。
商品名の「お〜いお茶」だけは、ぜってー既存のフォントで書かねーからなという信念を感じられるごあいさつだ。
ということは7,000人にこの本を配っているのか。と気づく。
しかもタダで。送料も負担してくれて。伊藤園様太っ腹すぎる。
読みすすめると中学生の部・高校生の部の優秀賞の作品たちがあり、最高にときめいた。
すごい。ぜんぶすごい。
その中でも私は、
今ここで言ってしまえと蟬が鳴く
の俳句に心を射抜かれた。
18歳! 高校3年生最後の夏! 頑張れ!!!言ってしまえ!!!
十数年前は私もこんな感性をもっていたかな。忘れた。
パラパラと読んでいるうちに、年齢は武器だなと思った。
先ほどの句も18歳が書いているからときめいたし、
第十九回の1等賞
百才の笑みこぼしつつ星祭る
東京都 100歳
(100歳の言う「百才の笑み」は説得力が違うな!)
第二十六回の1等賞
りょうはしにぶらさがりたい三日月だ
福岡県 8歳
(月は眺るだけのものじゃないと8歳の感性が
固定概念を軽く飛び越えてますね!すげえ!)
句+年齢=「味」になっていると思う。
その俳句を書いた人がなにをしているのかは掲載されないけれど都道府県と年齢は載る。学生だろうな、社会人になったばかりかな、定年をむかえてのんびり暮らしているのかなとか、年齢だけでもその人の背景が少しだけ想像できる。上の俳句も100歳と8歳が読んだことが分かるとよりいっそう広がりを感じた。
17音の制限の中で、最後にググっと「味」を出すのが「年齢」だと思った。
7,000句もあると非常に読み応えがあって、毎日ほうほう唸りながら見ていると、
届いた。
うわーい! うわーい!
もらえるとは聞いていたが、まさか24本入りのダンボールが届くとは。しかも全て自分の作品入り。
さっそく家族に配った。
母は「すごい! けど深すぎてわからん」とハッキリ言い、おじいちゃんは「文庫本から出てきたような桜人か、はぁ〜」と言っていた。
なんとなく伝わっていないことは伝わってきたけど、いい報告ができればいい。
そしてこんな書類も入っていた。
自分の作品が載ったお〜いお茶(非売品)を何本でも買うことできるお申し込み書。
上限はございませんだなんて…スゴすぎる…。
逆のこのチャンスを逃すと一生注文できないということ。
ここで人は狂う。
舞い上がった人はお申し込み書の前で狂う。
舞い上がり散らかしていた私は100ケースくらい注文して、第九親等まで配ろうかと考えた。近くのスーパーやコンビニに納品したり、友人たちの出産祝い・結婚祝いにプレゼントしてやろうと画策した。
が、一晩寝て、翌朝の自分に止められた。置いておくスペースもないし、36万2,800円の出費はキツい。あとスーパーやコンビニに大迷惑。
(みなさんも申し込み書は夜中にお酒を飲みながら見ないほうがいいよ)
結局、1ケースだけ注文することにした。
作品を見てもらうだけではなくて、過程が楽しいんだということにも気づいた。
みんなが知っているあのお茶に名前が載ったよと報告して「お〜!」と言ってもらえるあの感じ。
俳句を書こうと頑張ると、目の前のことを色んな角度から見る視点の数が自分の中で増える気がするあの感じ。
いろいろ書いてみて、寝かせて、なにを書いたか忘れた頃に読み返すと、「私こんな良いもの書いたっけ」という句とたまに出会うあの感じ(かなり稀)
そんな句を応募する。応募したあとは祈る。自分の感性が俳句や文学のプロたちに伝わったときが嬉しいから応募する。
『誰に認められなくても自分の詠みたい句を詠めばよい』なんて境地には、まだ達していないので、誰かにいいねと思ってもらえると純粋に嬉しい。
お〜いお茶新俳句大賞には、1人6つまでしか俳句を応募できないルールがあるので、その6つが出るまで頑張る。
その過程が楽しいから、今年も創作してみようと思う。
28歳にしか書けない俳句を。
そんで選んでもらったりしたら、また狂うと思う。その時は止めてほしい。
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