だからエントリーのときはカメラをしっかり押さえましょうって話。
バックロールエントリー(船の縁に腰掛けそのまま後ろに落ちる形で海に入るエントリー方法)の際に「カメラ気をつけてください」とか「カメラしっかり抑えて〜」と何度言われたことだろうか。
何度も言われてるしわかってるって!と心で思いながらも「はい!」と元気だけは良い返事をするのはいつものことだった。
100本を超えてだんだんダイビングにも慣れてきた頃。
このときもそんなやりとりをし、いつも通り背中から海に飛び込んだ瞬間頭を大きな岩のような硬いもので殴られたかのような衝撃が走った。
胸元にぶら下げていたカメラが頭に直撃した。
ハウジングにストロボがついていたので重さはそこそこある。
その上、落ちた勢いで遠心力も加わり勢いよくでぶつかったことであろう。
あまりの衝撃に何が起きたかわからず、いわゆる放心状態ってやつ?気がつけばそのまま2メートルほど沈んだところでふと我にかえり海上のロープ付近で集合と言われていたことを思い出し戻った。
尋常ないくらい頭がジンジンしてたが、直前に警告されたにもかかわらずやらかしてしまった恥ずかしさで申告できず‥
潜れば大丈夫でしょ!と自分に言い聞かせてそのまま潜降した。
時間が経つうちにジンジンに加えてヒリヒリするようになってきた。
絶対頭が割れてる。
そう思ったのでガイドに身振り手振りでカメラが頭に当たったことを伝えて、被っていたフードをめくり大丈夫か見てもらった。
大丈夫。血は出ていない。とのことだった。
大丈夫って言ってるんだから大丈夫なんだろう!!と思いそのまま泳ぐも、耐えられないほどの痛みではないにせよ経験したことのない痛みに頭で何かが起こっていることは想像がついた。
安全停止中に再度ガイドに「みてー!!」と言わんばかりにガイドに見せた。
するとガイドの表情が変わり、スレートに書かれた言葉は「血ドバドバ🩸」
あーやばいやばい‥どうしよどうしよ‥
と思いながらどうすることもできないのでそのまま安全停止をし船に上がった。
念のため船に上がってから頭がどうなっているか持っていたカメラで自撮りして確認した。
2.3センチの裂傷で血は出ていたがドバドバでも縫うほどではなかった。
だけどそのあと立派なタンコブができ、数日で痛みも腫れも引き、いつしかそんなことを忘れていた一年ぼど経ったつい先日‥おでこにしっかり傷跡が残っていることに気が付き思い出して書いてみた。
ハウジングに入れたカメラは凶器になるほど重い。
それが頭に当たるとか下手したら脳震盪起こしててもおかしくなかったし、海の中で何か起きたら怖いので今となっては潜るのをやめるべきだったと思う。
そして散々「気をつけて」とか「カメラ押さえて」と警告されていたにもかかわらずなぜカメラが頭に降ってきたのか。
最初にバックロールエントリーを習う時、衝撃で外れないように片方の手でレギュレータとマスクを、もう片方の手でバンドを押さえることを習うと思う。
いつしかカメラを持って海に入るようになり、カメラは股に挟んでそれでしっかり押さえたつもりになっていた。
たまたま頭に当たることはなかったが、後ろに倒れたときに間違えなくカメラは股から外れていただろう。
つまり押さえられていなかった。
そして潜降して患部を見てもらった時なぜ何ともなっていなかったのか?
おそらく水圧で止血されていたのではないかと思う。
安全停止で浅場になった際に水圧が弱くなり血が吹き出たのだと思う。
それ以降は片手でマスクとレギュレータを押さえ、もう一方のではカメラをしっかり持ち飛び込んでいる。
手が足りないのでバンドは押さえていないが、外れたことはないし最悪外れても直せばいいと思っている。
それからは今のところカメラは頭に降ってきてはいない。
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