見出し画像

妄想タクシー

(ロマンスタイム)

夜の駅前広場

パーキングに車を停めた中村は、助手席で俯く紗妃(サキ)に目をやる。

「今日は平日だからね、帰らないと。明日は仕事でしょ」

中村は諭すように語りかける。

「でも帰りたくない」

「またそんなワガママ言って困らせる」

中村は紗妃の頭をそっと撫でて、優しく囁く。

「そんな紗妃も可愛いけどね」

と、顎を引き寄せ、軽く紗妃の唇に自分のそれを重ねる。

「だって今日はわたしの誕生日だから、離れたくない」

紗妃は中村の胸に顔を埋めて、しがみつく。

「全く、困った子ちゃんだね、仕方ない、分かったよ。もうひと回りしようか」

中村は半分微笑を浮かべてもう一度
車を走らせる。


(ファンタジータイム)

流れ行く煌びやかな都会のネオン
パラダイスのように人々の歓声が溢れ

この街はまるでおとぎの国だわ
なんて紗妃は思ってしまう

高速道路を突っ走る
中村の車は
滑走路を駆け抜け
夜空に舞い上がり

星屑でいっぱいの
銀河を旅する

夢と魔法の世界へ
ようこそ
星の影から妖精たちが
声掛ける

そして
2人して
シンデレラがいるという
お城の中へ

魔法の絨毯に
乗っかれば
ふかふかのベッドが
お待ちしてます


(ラブラブタイム)

「あら、いつのまに、私、裸だわ」

紗妃が胸とあそこを手で隠して
カラダをくねらせる

中村もいつのまにか裸になって
ぎんぎんに熱くなったものを見て
理性を失ってしまう

「紗妃、お前はオレのものだ」

中村はそう言うと
紗妃のカラダをベッドに押し倒す

唇を奪い
耳を甘噛みし
首筋に舌を這わせる

乳房を揉み
乳首を転がす
脇腹を撫で
お尻の膨らみを愛でる

なんてスベスベした柔らかい肌なんだ

そのまま
太腿の隙間に
手を差し入れ
やおら両脚を掴むと
左右に広げ
潤った秘密の花園を
やんわりと指で 開いていく

「ほうら、もう紗妃の蜜壺はこんなにビチョビチョだよ」

「あーん、いやだ、中村さんたら…あ、ダメ…」

中村は紗妃の一番敏感な部分に
指をあて そのクリクリとした
感触を愉しむ

目で犯し、指先で弄る
次いで舌先で舐める

舐める舐める舐める
中村は
舐める舐める
紗妃の
あそこを
ひたすら
舐めて舐めて
舐め尽くす

そして小さく
舌先を震わせ
微細なる動きで
刺激を与える

「あぅ、ダメ…、ダメ…、そんなに責めちゃ…、あぅ」

その度に
ビチョッ、ビチョッと
愛液が噴き出す

止まらない喘ぎ声
溢れ出すフェロモン
たまらず、紗妃は

「あぁ…、もう、ダメ…、早く挿れて…」
と、催促する

中村はそんな紗妃を
焦らしながら

カラダ中を愛撫して巡る
その執拗な舌技に
紗妃は仰け反り
その肌は
ピンクに染まる

「最高だよ」
中村は
ヌラヌラした唾液を
垂らしながら
目の前の肢体に
興奮する

よし、とばかりに
中村は自身のモノを
紗妃の蜜壺に
押し当てる

すっと力も要らず
根元まで、吸い込まれる
紗妃は
小さな悲鳴をあげた

そこは
楽園の様な
ヌルヌルの
イソギンチャクが
一斉にまとわりつく

「あっ」
中村も負けじと
声をあげてしまう
「スゴイ!吸い付くようだ」

もういてもたってもいられなくなり
中村は紗妃のカラダに
むしゃぶりつく

腰を激しく動かし
ピストンする
淫らな、あぁ、なんて淫らな
その動き、その喘ぎ声


深淵なる夜の
性の交わりは
ネオン輝く
ピンクの海へ


こだまして
いつまでも
いつまでも
漂流する











(サヨナラタイム)


「お嬢様、着きましたよ」
中村は冷静に到着を知らせる

「えっ?」
紗妃は窓の外に目をやる

いつもの見慣れた駅前広場だ

中村はレシートを取り出し
「2500円です」
と言う。

紗妃は料金を支払う

「よくお眠りでしたね」
タクシー運転手の中村は
そう声を掛け
ドアを開ける

「ありがとうございました。また御用の折は、お申し付け下さい」

中村はタクシーのドアを
バタンと閉めて
走り去ってしまう。

走り去る車を見送りながら
一人立ち尽くす紗妃は
ふーっとため息を吐き

「さ、帰るか」
と呟いて
改札に向かう。

春の嵐が来る前に
一夜の夢に酔う
それもまた 
人生の春


(またいつか お会いしましょう)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?