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我が子が保育士を目指したら③~挫折する原因がピアノだなんて

 長女が以前お世話になっていた、保育専門学校の保護者会、というものがありました。その時、音楽担当の先生(前年度、昼間部の時の担任)から聞いた話が、私には衝撃的でした。

「毎年、挫折して学校を去る子たちがいるが、その中には”ピアノが理由”の子も少なからずいます」

 志半ばで学校を去る子がいる、と教員が認めているということ、またその中の理由が「ピアノの課題についていけない」ものもあると聞かされたことが、結構ショックでした。
 その頃担当していた生徒たちがことさら頑張り屋だったのか、ピアノで困っているという子がいなかったというのがあります。

 その後たまたま近所で、元保育士だった方と雑談をしていたときにも、

「ピアノがどうにもならなかった人はひょっとしたら中退したかも」

という話を聞き、その後初心者で志望校に入学してしまってから課題についていけなくて結局ピアノ教室もやめた子が出たことから、私も頭を抱えてしまいました。

ところで。


その②で、衝撃的なことばを聞いた某保育系の短大の個別相談で、私は内心「爆弾発言かしら」と思いつつも、どうしても尋ねたいことがあり、担当してくださった先生に聞いてみました。

「この短大は、学長先生からしてピアノを重視されており、学生さんにも個別に厳しいというお話を伺いました。

それなのになぜ、入学試験にピアノの実技試験を出さないのですか」

すると、担当の先生は困ったような表情で教えてくださいました。

「そうしたいのはやまやまなのです。

 しかし、うちがピアノを試験に出すと、受験生の中には敷居が高いと感じる子も出てくる。


 ピアノができないだけで保育者の資質をもつ子を逃したくない、という理由が1つあります。


 それとともに、実技を課すことで敬遠されて受験者が減ると定員割れとなる。という、経営的な理由も、正直あります」

 私は質問をする際に、自分がピアノ教師であり、質問の内容が我が子のことだけでなく、現在担当している生徒にも関わる話だと伝えました。
それがあって、学校関係者のある意味「本音」のようなものは引き出せたのではないかと思います。

 おそらく、ほかの「ピアノは大丈夫」という学校も、先生方が本気で大丈夫とは思っていないのでは、という気がします。ただ、大丈夫と言わないと、学生がこない。

 保育士不足と言われ、育成に力を入れている立場としては、またほとんどの学校が私立で、経営の面でも、学生を確実に確保したいという気持ちがきっとあるのでしょう。

 でも、中途半端な技術で現場に出て、通用しないことで落胆してやめてしまう人がいたり。弾けそうな人に負担がかかったりするのはやはりどうなのだろうと思います。

 親としては、2年間で現場で十分通用しますと言われたら信じます。ピアノ経験者でない親なら尚更です。だって学費も結構払ってるし、大学や短大には練習室も完備しているから、学校で練習すればいいって思ってます。学生さんも、保護者の方も。

 でも、現代の大学生はその親の多くが学生だった頃よりも実に多忙です。
私は音大時代教職課程を取っていましたが、その頃にはなかった科目が増えています。遊んでいて取れる単位なんてないんです。
 
 エレクトーン経験者で、高2からピアノを始めた長女は、バイエル80番の壁で行き詰まりました。無理もないと思いました。バイエルは、というか練習曲は「楽しいもの」ではないのです。
 また、ピアノだけ練習していればいいわけではなく、別の勉強もしなければならない。不幸にして長女は高校受験、大学受験の失敗からすっかり座学が苦手、苦痛になっていたこともあり、それにプラスして実技の練習というのも、だんだん負担になっていたのかもしれなかったのです。

 保育のピアノはさほど難しい曲ではありませんが、全くの経験ゼロで、楽譜が読めない人には大変負担だと思います。

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