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月下美人

木造の古風な洋館の広い応接間で、テエブルよ片寄せて、まんなかに円い台を出し、月下美人の鉢植えがのせてあった。植木鉢は夫人の膝より低かったが、月下美人は、やや見あげるほどに伸びていた。
「夢の国の花……、白い幻のようですわ。」と、夫人は去年の夏と同じことを言った。はじめてこの花を見た、おと年は、同じことを、もっと感動の声で……。
川端康成『月下美人』より

その種族はサボテンに近くあり、ゆえにエキゾチックな雰囲気を、感じるのかしら。風が吹けばゆれるように開き、近くに寄れば蓮の花のような気配、夢幻に浮かぶように百合のように匂い、

けれど百合ほどの悪い匂いはない。菊のように黙るけれど、菊ほどの陰鬱もない。朝顔のように、あくる日への執着もない。ただ一夜、ただ一度だけ会いにくる。一夜だけの美人薄命、不思議な花です。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

月下美人 花言葉「ただ一度会いたくて」

そっと咲いて、そっと終わる


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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/

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