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桜梅桃李(おうばいとうり)

春は櫻梅桃李の花あり
秋は紅蘭紫菊の花あり
皆これ錦繍の色
酷烈の匂なり
『古今著聞集』「草木」より

春の花木の類とは、花が咲けば各々の違いにも気づけるのですが、梢に蕾が乗ったばかりの裸木では、去年の景色さえ思い出せず、なんだったろうと悩むことは屡々です。

それでもひとつ蕾がほころべば、梅は梅らしく、桃は桃らしく、桜は桜ならではの花を咲かせ、各々に違う個性を放ちます。そしてどの花みても、互いの誰になりたいとも誰を超えたいとも、思っていない様子です。

桜梅桃李(おうばいとうり)とは、そんな花々の似て非なる個性に転じて、人間も、皆それぞれの持ち味を活かして生きなさい、という訓えを含んだ言葉です。

桜は桜らしく、梅は梅らしく、桃は桃らしく、李は李らしく、それぞれに花を咲かせるように、人も「自分らしく」あることを、もっと大切にしなさいと言っています。

ということで、もしも自信を無くしたときには、李の花を思い出して。梅ほど香ろうとも、桜ほど関心を集めようともしないこの花を。「わたしは私」と、なにも恥じないこの意志を。そう、あなたはあなた。今日もいちりんあなたにどうぞ。

スモモ 花言葉「独立」

春に桜梅桃李の花みれり

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