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2023年3月20日のLa dolce vita/甘い生活

親愛なる読者の皆さまへ、本日は楽曲”Poor Butterfly”の対訳をお届けします。

この曲は1904年に発表されたプッチーニのオペラ『蝶々夫人』にインスパイアされ書かれた1916年のポピュラーソング。ヴァースの一部分にプッチーニのオペラからの引用があります。


“Poor Butterfly”

There's a story told of a little Japanese
日本の小さな女の子のお話

Sitting demurely 'neath the cherry blossom trees
彼女は慎ましやかに桜の木の下に腰掛けていた

Miss Butterfly's her name
彼女の名前は蝶々ちゃん

A sweet little innocent child was she
純真無垢で優しい子だった

'Til a fine young American from the sea
To her garden came
若いアメリカ人の男性が海を越えて庭にやって来るまでは

They met 'neath the cherry blossoms every day
彼らは毎日桜の木の下で会った

And he taught her how to love the American way
彼は彼女に愛を教えた、アメリカ人がするやり方で

To love with her soul t'was easy to learn
心の底から愛すること、それを学ぶのは簡単だった

Then he sailed away with a promise to return
そして彼は船に乗って去ってしまった、必ず戻ると約束して

Poor butterfly
可哀そうな蝶々

'Neath the blossoms waiting
今日も桜の木の下で待っている

Poor Butterfly
可哀そうな蝶々

For she loved him so
彼女は彼を深く愛していたのだから

The moments pass into hours
瞬間が時間になって

The hours pass into years
時間は年月になる

And as she smiles through her tears
涙を溢し微笑みながら

She murmurs low:
彼女は呟く

The moon and I know that he'll be faithful
「月と私だけは知っている、彼は誠実な人だって」

I'm sure he'll come to me by and by
「きっと彼はもうすぐ私の元へ帰って来るの」

But if he won't come back then I'll never sigh or cry
「でももし、万が一よ、たとえ彼が戻って来なかったとしても、それでも私は絶対に溜息をついたり、泣き喚いたりなんかしない」

I just must die
「そのとき私はただ死ねばいいのだから」

Poor butterfly
可哀そうな蝶々

Composed by Raymond Hubbell
Lyrics by John Golden
Translated by 加藤咲希

この曲は去年発売した私のジャズ歌手としての実質上の2ndアルバム『Sweet And Lowdown』に収録。こちらはワルツのアレンジが施されています。何回も聴いて歌っているうちに、私にとっては、このハーモニーと疾走感溢れるリズムがこの曲のイメージそのものになってしまった。全速力でちょうちょが飛ぶ。優雅に、持ちうる全てを費やして。高度が下がっても速度を落としたりしない。全速力で、まっすぐに墜ちてゆく。その姿はとても美しい。少なくとも彼女は愛を知り、それを貫いたのだから。

“Poor Butterfly”を収録した『Sweet And Lowdown』はこちらでご購入いただけます。
https://kogumasound.base.shop/items/69349778

このアルバムは考えられないほどタイトなスケジュールの中、全部半日で録音しました。でも私の関わった作品の中で、これがいちばん好きっておっしゃってくださる方も結構多いのです。もちろんレコーディングまでの準備にはかなりの時間と労力がかかっているのだけど。レコーディングの場面で作り込まなかったよさがあるかもしれないと思います。ベッドタイムやパーソナルな時間のお供にどうぞ。


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