『恋です!』 解説放送では、何を説明している?(第1話)
2021年10月から、弱視の女の子が主人公のドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』がスタートしました。このドラマは、見えない・見えにくい人も楽しみやすいようにと、シーンの視覚情報(登場人物の表情、シーンの切り替わりなど)を補う解説放送があります。テレビでは副音声で聞けるようですが、見逃し配信のTVerでも解説放送バージョンを視聴することができます。
解説放送でどんな情報を補っているかを勉強する良い機会だと思ったので、解説放送の内容を文字起こししてみます。適切な情報保障ってすごく難しいし、絶対的な正解もないと思います。ですが、このドラマの解説放送を視聴してみると、「この粒度で情報を伝えているのか〜」などを知れて、良い教材だと感じました。
なお、このドラマは字幕付きでも見られます。ろう・難聴者に向けた字幕での情報保障(会話だけでなく、ドアの音などの鳴っている音も含めて伝えたりする)と、視覚情報を補う解説放送は、必要な情報は異なると思いますが、どちらも知っておくことは重要な気がしています。
とりあえず、TVerで無料で見られるいまのうちに、文字起こしスタート!
『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』第1話解説放送
00:04 時計台の前でうずくまるヤンキー
00:25 朝、赤座家。慣れた手付きでメイクを始める、茶髪でショートボブの赤座ユキコ。スマホのボイスアシストを押す
01:03 アイブロウペンシルが折れる
01:30 洗面所に行き、歯ブラシを手に取る
01:37 チューブを目に近づけて確認
01:42 冷蔵庫を開ける姉のイズミ
01:50 気まずそうな父親の誠二
02:12 形がそっくりな歯磨き粉と練乳
02:18 準備を終えたユキコが玄関へ
02:26 ハンバーガーのキーホルダーがついている
02:34 ポリ袋を踏む
02:41 神社の前を通り過ぎるユキコ。境内で対峙する二人のヤンキー
02:54 獅子王(ししお)が鋭くにらみ蹴りを入れる。が、すぐさま森生(もりお)が殴る。殴り返す獅子王
03:09 コンビニ
03:21 至近距離で確認
03:32 歩道
03:58 スマホを見るユキコ。時刻は8:21
04:28 睨む森生
04:37 当たった白杖を掴む
04:43 足を蹴り上げる
05:09 派手な服装の花男と草介
06:02 小首をかしげるユキコ
06:21 ユキコがしゃがみ込む
06:29 森生の頬を両手で抑え、顔を近づける
06:38 左目の下に長い傷跡
06:43 慌てて離れる森生
07:00 あるき出すユキコ。その姿を見ている森生
07:08 恋です!第一話アイパートナーは富沢美智恵です
07:18 青葉市立盲学校昇降口。白杖を置き、靴を履き替えるユキコ。遮光メガネを掛けた女の子が来る
08:01 普通科3年の教室
08:58 夜、赤座家。仏壇にお花を飾るユキコ
09:40 遺影を見る二人
10:00 翌朝、8時過ぎ。点字ブロックの上を歩き、登校するユキコ。時計台の前で立ち止まり、振り返る。
10:15 黒い服を着た森生がユキコには見えない。後を追う森生。
10:23 コンビニ
10:49 手に取り至近距離で確認する
10:56 笑顔のユキコをニヤニヤ見ている森生
11:02 店員と目が会い舌打ちする
11:09 歩道を歩くユキコ
11:17 後ろから駆けより、腕を掴む
12:03 深ーーーく頭をさげる
13:35 教室
14:19 振り向く花男と草介
14:53 喫茶店に駆け込む花男と草介
15:08 店主の茜。ハチ子
15:27 はにかむ森生
16:04 顔を見合わせる花男と草介
16:20 夕方4時すぎ。時計台の前を通るユキコ
17:44 夜、ユキコの部屋。拡大読書機で文字を読んでいる。スマホに空からボイスメッセージが届く
18:30 森生のアパート。落ち着きなく部屋の中をうろうろ
18:38 スマホを手に取る
18:47 文字を打ち、検索する
18:54 朝、時計台の前でソワソワしている森生
19:47 去っていくユキコ
20:11 図書室にユキコと空
20:25 メロンパンを食べながら動画を見ている森生
20:45 ユキコとが至近距離でパンを見ていたことを思い出す
20:57 夕方、学校の帰り道。点字ブロックの横に放置自転車
21:04 ユキコの白杖が引っかかる
21:09 白杖が折れている
21:58 森生が背を向けてしゃがむ
22:30 森生の左肘を掴む
22:40 手を離す
22:52 左腕を出す
22:58 肘の部分の服をギュッと掴むユキコ
23:10 様子を伺いながらゆっくり歩く森生
23:24 信号のない横断歩道
25:30 ユキコの頬が緩む
25:44 ネイルサロン
26:19 ハイタッチする綾香
27:01 手紙を差し出す
27:41 夜、部屋で新しい白杖に触れているユキコ。ハンバーガーのキーホルダーもついている
28:00 リュックから森生の手紙を取り出す
28:09 リビングに誠二とイズミ
28:34 封筒を開けようとするユキコ。思い出す
28:40 ユキコをかばい、倒れる
28:51 手紙を読まずに、机の引き出しにしまう
28:57 朝、時計台の前を通るユキコ
29:27 下を向くユキコ
30:17 足をとめるユキコ
30:49 公園の入口に、何十台もの放置自転車。そこには、「駐輪禁止」の貼り紙。公園へ続く点字ブロック。自転車で塞がれている
31:11 夕方、BBバーガー
31:20 白杖を折りたたむ二人
32:02 スマホを見るユキコ。イズミからメッセージ
32:16 公園の入口
33:10 そっと視線を落とすユキコ
33:43 連行される森生たち
34:03 警察署取調べ室
34:16 喫茶店
34:38 夜、部屋で森生の手紙を見つめるユキコ
34:49 ゴミ箱に捨てる
35:00 警察署から出てくる3人。森生の背中を見つめる花男と草介
35:09 アパートに帰ってくる森生。暗い部屋に力なく座る。テーブルの上に読みかけの本『目の見えない人の世界 目の不自由な人を理解する本』
35:38 テーブルを蹴り飛ばす
35:42 朝、時計台の前を通るユキコ。立ち止まり、辺りを見回す
35:58 歩き出す
36:06 学校
36:13 ぼんやりしているユキコ
36:20 学校の帰り。公園の入口を通るユキコ
36:59 足を止め、振り返る
37:07 放置自転車をどかす花男
37:23 男に殴られる
37:26 森生が止めに入る
37:30 警察官が駆けつける
39:14 顔を上げ、足早に帰るユキコ
39:19 ゴミ箱に捨てた手紙を手探りで探す
39:28 リュックからルーペを取り出し、封筒を開ける
39:41 紙いっぱいに漢字で「恋」と書かれている。2枚目にはひらがなで「です!」
40:07 ユキコにも「恋です!」の文字が見える
40:34 急ぎ足で向かうユキコ。時計台の前で立ち止まる
40:51 行ってしまう
41:25 少し離れたところから見ている森生
41:35 肩を落とし、ベンチに座るユキコ
41:52 近くにだれかが座る気配を感じる
43:41 公園の入口。点字ブロックを歩くユキコ
43:54 一面に咲く、オレンジと黄色のマリーゴールド
45:10 掴んでいた手を離すユキコ
47:02 涙を堪え、隠すように背を向けるユキコ
48:35 笑っちゃうユキコ
48:47 二人を睨むように見ている獅子王
48:53 次回!
セリフの間の良きタイミングで、きちんと収まる時間に合わせて解説の情報を入れている技がすごかったです。初出のタイミングで見えているすべての情報を説明するのではなく、話の流れに合わせて情報を出す工夫も感じました(傷跡の件など)。
ドラマの描写で思ったこと
解説放送の内容だけでなく、ドラマ自体ももちろん発見があっておもしろかったです。第1話を見て思ったことを書き残しておきます。
「やってあげる」が必ずしも正解じゃない
メロンパンの場所を聞かれたコンビニ店員さんが、「取りましょうか?」と言うけれど、「場所覚えたいんで」と場所を聞き出し、自分でメロンパンを取るユキコ。善意で"いま"の問題を解決してあげても、また同じことで困るかもしれないということですよね。
「ご迷惑」って言われたら、しんどいな
姉のイズミが、ユキコを誘導してくれた森生に「ご迷惑おかけしてすみません」と言うシーン。手を貸した方は迷惑だと思っていないことのほうが多いと思います。妹を思う気持ちが強すぎる姉の姿が、ちょこちょこ描写されていたと思います。「ありがとうございます」って言ってほしいな。
誘導してもらう位置が、左右変わることありますか?(教えて!)
これは疑問に思ったこと。森生に誘導してもらうユキコ。森生の右を歩くときと、左を歩くときがありましたが、これって変ではないですか? 白杖を右手に持つ人は、右手は白杖を持ったまま、左手で誘導してくれる人の肘を掴むのでは? どちらでも良い、という人もいるのかな?
次回以降も楽しみです
ユキコが使っている白黒反転できる拡大読書機とか、生まれつき全盲の青野くんが使っている点字タイプライターとか、今後もう少し細かく描かれていくのかなと思います。他にも弱視や全盲の方々の世界について、知らないことがたくさんあるので、いろいろと勉強になりそうです。次回以降も楽しみに、文字起こしをしていきます(予定)。
TVerの解説放送(第1話)はこちら https://tver.jp/corner/f0085443
通常版はこちら https://tver.jp/corner/f0085434
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