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大満足するリノベのための8つの心得

リノベしたマンションに引っ越して半月ほど経ちました。

これまでの賃貸と違って、いろいろなところを自分好みにカスタマイズしたおかげで、毎日「なんて暮らしやすいんだ……!」と思いながら過ごしています。私の好き勝手に作ったわりに、夫もしみじみ「いい家だなぁ〜〜」と事あるごとにつぶやいているので、同居人にとっても満足な家になったようです。

今回リノベをしてみて、これはやってよかったな〜ということや、頭に入れてあればもっとスムーズだったかも?ということがいくつかあったので、忘れないうちにまとめてみたいと思います。

家が見つかっていざリノベ、という段階や、すでに住んできた家や譲りうけた家をリノベするという人にはある程度参考になるはず。


家探しまでの段階については別のマガジンにまとめているので、そちらをご覧ください。


①最初に自分にとってベストな会社を選ぶこと

リノベの成功は、事前の準備半分、会社選びが半分です。体験者の多くが「会社選びが大事」と口を揃えて言うのですが、やってみるとその理由がわかります。

どんなに自分の頭の中のイメージが素晴らしくても、家づくりが現実世界のものづくりである以上、いろいろな制約が発生します。それは予算だったり手に入る設備だったり設計者のセンスだったりするわけですが、そこを一番左右するのが「誰にお願いするか」なんですよね。リノベの会社もそれぞれに得意にしているテイストがあり、慣れているデザインのほうがもちろんやりやすいので、過去事例に気に入ったものが多ければ多いほど「思ったのと違った!」とガッカリする可能性は低くなります。

・どうしても入れたい設備や実現したいデザインがある場合、それを実際にやったことがある会社を探す
・「標準仕様」が好きな(あるいは嫌いなものが少ない)ところを選ぶ

というのを意識して、とにかく事例をたくさん見て施行会社を決めましょう。その会社が理想に近いものを作ったことがあれば実現しやすいし、仮に予算の関係で何かを削らないといけなくなった場合にも、標準仕様が気に入っていれば安いタイプのものを選んでも妥協感が少なくなります。

②画像を用意、自分で絵を書くなど、イメージをできる限り具体化するべし

家について考える時、何LDKかとか断熱がどうとか、まず機能的な要望をあげていくことが多い気がしますが、デザインの要望と機能の要望、どっちから考えるべきかというと、圧倒的にデザインのイメージをある程度絞ってからの方が組み立てやすくなるんじゃないかなーと個人的には思いました。

というのも、機能はどんなデザインにするにしてもそれなりのものが選べるけど、デザインは最初に方向性を選ばないと実現できないものが結構あるので。

たとえば我が家はリビングの壁一面を全部格子の室内窓にしたのですが、まず「格子窓のガラスの空間」を絶対作りたい!というデザインのイメージがあって、それを使えそうなのがその位置だったから、という順番で決めました。これがまず3LDKで〜とか機能面から決めてしまうと、既存の住宅の構造に縛られてこういう作りにはならなかったかもしれない。

IMG_4201のコピー

ということで、まずはざっくりと各コーナーに分けて、作りたいデザインのイメージを集めることから始めるのがおすすめ。

私のインテリアnoteでは何度も繰り返し出てきているけど、デザインを考えるならPinterest一択です。


ずっと集め続けていたのでここには900以上あるらしいけどそんなにたくさんはいらない……。

ある程度集まったら、実際に自分が実現したいデザインはどれが一番近いのか考えて、これ!というものを選んでいきます。

スクリーンショット 2021-08-18 23.33.57


私はこんな感じでNotionのページにまとめて、そのまま設計の担当者さんに共有していました。これを見ても格子窓に異常な憧れがあることがわかる。


③条件を必須のもの・できればやりたいもの・やりたくないものorやらなくていいもの、に分けて書き出す

デザインの大まかな方向性が見えてきたら、機能面も含めた要望をまとめます。その時に、「こうしたい」という希望だけでなく、その中で「必須で実現してほしいこと」「できればやりたいこと」と分けて優先順位をざっくりつけておくとよいです。

また、それに加えて「やりたくないこと・必要ないこと」といったことも合わせて言語化しておくと、予算の調整の際に取捨選択しやすくなります。

私がまとめた要望と、それが結果的にどうなったかは以下のような感じです。

▼必須で実現してほしいこと
・2人がそれぞれ別々にリモートワークできるデスクスペース(MTGのため仕切り必要)
→リビングとワークスペースにそれぞれ作った
・キッチンは対面カウンターよりL字やU字が好き
→最終的に壁付けのI字になった、希望通りの個室感あるキッチンに
・アップライトピアノをどこかに置く
→リビングの本棚スペースの中に設置
・収納は細かく作るよりなるべく一箇所にまとめたい
→寝室に大きめのコの字型クローゼット、リビングに作り付け本棚
・風呂は広めの1616サイズ掃除しやすいやつ
→その後の検討で1416でもOK、となり採用、TOTOのユニットバス
・框扉のキッチン、白いサブウェイタイル
→IKEAキッチンを採用で達成
▼できればやりたいこと
・ガラスの仕切りに囲まれたキッチンダイニング
→採用
・バーンドアの仕切り
→仕切る場所がなかったので見送り
・ 広めの土間+シューズクローゼット+収納スペース
→当初よりは小さくしたが、十分なスペースを確保
・洗面台は広め&メイクスペース
→150cmくらいのカウンター、椅子に座れるスペース確保
・ドレス制作の作業テーブルを置く場所
→リビング内に作業スペース
・洗濯機の近くに洗濯物を十分に置いておけるスペース
→洗濯機の上のスペースに大きめの棚を設置
・室内干しのバー
→そのうちDIY予定
・室内窓
→リビングの壁一面格子の室内窓に
・サンルームっぽいタイル床の空間
→いいタイルが見つからなかったのとちょうどいいスペースがなかったので見送り
▼やりたくないこと・必要ないこと
・ベッドルームは最低限のサイズでいい
→5畳程度になった、必要十分なサイズだと思っている
・廊下が嫌いなのであんまりスペース割きたくない
→他とのバランスの結果、逆に広い廊下にすることで通路以外の用途を確保
・ドアは必要なければ付けなくてもいい
→キッチン入り口はつけなかった
・棚やデスクは自分で後付けできそう
→ワークスペースのデスクは持っていたものを利用、本棚も持っていたIKEAのものを再利用、キッチン・洗面所の棚はあとからDIYに
・塗装や壁紙は自分でもできそう
→リビング以外の塗装はDIY
・タイル貼るとかも自分でできるかも
→これは貼ってもらった、余ったタイルをもらったのでどこかにDIYで貼りたい

最終的には、やりたいことはほぼすべて実現できて、予算を削るために(単純にやりたかったのもある)かなりDIYを組み込んだプランになりました。

④間取り案を自分でも考えてみる

私は間取りのイメージもこうしたいという希望が強くあったので、間取り案を自分で描いて持っていきました。

リノベ前の間取り図

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最初の打ち合わせの時に持っていったイメージ間取り

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元の間取り図の上に重ねてiPadProのProcreateで描きました。デジタルじゃなくても手書きでも何でもいいと思います。

基本的な図面の書き方やリノベで気をつけることはインテリアコーディネーター試験で勉強してある程度把握していたので、プロではないながらもそれっぽいものは作れました。ただし、間取りはきちんとサイズを測って、実現可能性のあるものをもっていかないと全く採用できない代物になるので、誰もができることではないかもしれません。

もし間取り案を描いて渡す場合、設計担当者が持っていったものに囚われすぎないように、あくまで「自分が実現したい大事な要素はこれ」を伝えるためのコミュニケーションツールと心得て、きちんとその間取りの意図を説明しましょう。その通りにしてほしいわけではなく、これを元にプロの観点でより良くした提案がほしい、というのを伝えておくと、そういうことが実現したいならこういう方向があるよ、というブラッシュアップした案がもらえます。

もし具体的なイメージがない場合は、設計者に考える材料を少しでも多く渡せるように、さっきの要望の整理の段階で「実現したい生活のイメージ」を言語化しておくといいと思います。

デザインは共同作業なので、依頼者に強い意向がない場合設計者は無難な方向にまとめるしかなくなってしまいます。「なんとなくリノベっぽい空間」を作りたいならそうやってお任せでもいいのですが、「自分だけのオリジナルな空間」を目指したい場合はできるだけ頭の中のものを具体化して伝える努力をしましょう!


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妄想が捗りすぎてアクソメ図まで作った。(最終的な間取りとはちょっと違うけど、方向性は伝わったと思う)

⑤家具や生活に必要な導線のサイズを把握しておく

前述の間取り案を考える時にも必要なことですが、間取り図を自分で描かないにしても、住宅の機能ごとにどのくらいのスペースが必要なのか数値と実感で把握しておくことは大事です。まずは本を読んで一通り把握したあと、今住んでいる部屋を採寸してみたりするとイメージしやすくなります。

我が屋の場合は、一般的なサイズより玄関土間と廊下をかなり広くしました。通常の廊下は75~85cmくらいですが、140cmくらい。これは標準サイズを把握した上で意図的に作りました。玄関を広くしたことで、入ったときに開放感があるし、荷物がたくさんあっても引っかからないし、ちょっとしたDIYならここでできるのでただの通り道としてだけでなくスペースを活用できます。こんなふうに基準となるサイズを把握した上で、数字を体の感覚でイメージできていると、図面の段階でも迷いなく決めることができます。

また、持っている家具の中で置きたいものがあったら、きちんとサイズを測っておき、動作のために必要なスペースも考慮しておきましょう。あまりにぴったりサイズに作ってしまうと後で困ることもあるので注意が必要です。

我が家の設計で危うかったのが、本棚のニッチの中に設置したピアノでした。本棚に作ったピアノスペースの写真を見て素敵!と思って計画してもらったのですが、はじめのうちは調律のことを忘れていて、ピアノの蓋の上ギリギリに本棚が来ていて、そのままだと蓋があけられない状態になっていました。両サイドにも余裕がなかったので、運び込むのにもかなり無理があった。途中で気づいて、全体的にスペースを広げてもらって無事設置することができました。

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オリジナルで特殊な配置や間取りにしたい場合、細かいところまでは担当者が気づけないこともあるので、サイズや使い勝手を決める最終的なところは自分の頭で問題がないか考えることが大切です。

サイズ感や間取りの作り方を学ぶのにはこの本がおすすめ。

⑥柱と梁を無視しない縦方向のプランニング

一度プランを作りきって、明日から解体に入る、というところで、どーしても梁の位置が気になってきて修正をしてもらってかなりドタバタしたのですが、この点が今回一番の反省点でした。

最初のプランの段階では、ベッドルームの壁の位置が中途半端に梁の外側にあって、ベッドも窓に頭をむけて置くことになり収まりが悪かったんです。更に、玄関側の柱と土間の位置関係が微妙で、寝室の隅の壁に変な凹みができてしまっていました。

当初の間取り図

平面図

なんでこうなったかというと、この平面の図面のイメージだけで壁の位置などを決めてしまったからでした。解体前に一回部屋見ておこう、と思って見に行ったら、あれ?この位置に梁が出てるの、すっごい気になるかも……と気づいてしまった。

お願いした修正①

▼梁に合わせて壁の位置をずらしてもらうよう依頼

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幸いまだギリギリ修正可能とのことだったので、無理を言って直してもらいました。

①の修正案

平面図0510

しかし、そうすると今度はベッドの足元が極端に狭くなってしまった……。

更に修正依頼②

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土間収納を無理に作ったことが原因と気付き、土間スペースを削除。代わりにクローゼットの位置を反対に持ってきて、コの字型のクローゼットに変更。ついでにリビング側の本棚・ピアノの位置も少し移動して梁がなるべく目立たない配置に。

(洗濯機の位置とキッチンの形は最終的にパントリースペースを確保するため変更は採用せずそのままになっています)

一箇所動かすと玉突き事故のように他のところも変更しないといけなくなりましたが、こうすると、ベッドの向きも壁側を頭にできて、すべてがぴったりになり、無事この間取りで着工となりました。危なかった。

どうしても平面図でのイメージだけで考えてしまいがちなので、高さ方向の想像力を養うのが大事なんだな〜とこの修正騒ぎで学びました。今回、たまたま家を見に行ったから気づけたので良かった。

ある程度プランができたところで現場に行って、サイズを測りながら実際の出来上がりをシミュレーションしてみると、見落としていたことに気づいたりします。迷ったら図面を片手に現場を見てみましょう!

最終的な間取り図

平面図0512

⑦持っているもの、欲しいものを一箇所に集めて画像を眺めて比較検討する

リノベで多くの人が迷いに迷うキッチンやお風呂といった設備関連については、私はほぼ迷わず即決だったのであまり参考になるTipsがありません。笑 IKEAキッチンとTOTOのユニットバスを入れてかなり満足しているので、具体的にそれらがどのようによかったかは別のnoteでまとめたいと思います。

ということでそれらの設備系を除くと、プランニングの最終段階で必要になるのは照明などの細かいツール類を選ぶ作業です。ここはインテリアの雰囲気を大きく左右する部分なので、結構迷いました。

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個別に考えてもいまいちピンとこないので、こんな感じに今持っているインテリアや候補にしているものを画像で一箇所にまとめて、並べて検討をしました。こうすると、各アイテムのイメージがビジュアルで把握できるので、これとこれを合わせるとしっくりくりな、などと直感的に考えることができます。上記に使ったのもおなじみのNotionです。

照明のほとんどはアメリカのブランドWestElmから取り寄せ、タオルハンガーやトイレットペーパーホルダーなどの細かいツール類はAnthropologieのものを選びました。公式サイトから購入すると日本にも配送をしてくれます。お値段はちょっとしますが、10年20年使うアイテムだと思えば、お部屋を一気に洗練させてくれるのでコスパいいんじゃないかなと思います。

海外サイトでの買い方はこちらの記事でも紹介しているので参考にしてください。

⑧計画通りにいかない時も、すばやく柔軟に対応

どんなにプランの段階でしっかり考えても、イレギュラーは発生します。よくあるのは、使おうと思ってた設備が在庫切れで入ってこない、解体してみたらサイズを変更しなければならなくなった、などです。我が家の場合は設計に関わるような大きな変更はなく、細かいサイズや位置の調整くらいだったのでそこまでのトラブルはなかったのですが、場合によってはやりたかったことができなくなって別の案を検討しなければならないようなこともあるようです。そういう時も設計担当者さんとマメに連絡を取り合って、施主側の確認事項があればなるべく即レスで迅速に対応できるようにしておくとスムーズ。うーん、仕事みたい。

ちなみに設計上の問題は起きなかったのですが、実は我が家のリノベは別のトラブルで一部終わっていなくて、先程書いた海外のブランドから買った照明がいつまでも届かずまだ待っていたりします……。

商品がきちんと届かなのは海外ECあるあるなので、マメにカスタマーサポートに問い合わせて入荷予定を確認していたのですが、最初7月前半入荷予定と言われ、次は7月末、3回目にやっと8/10には発送するよ!と連絡あったのにいまだ発送連絡なし。今日は8/20なんですけどね……。慣れているとはいえ、海外のいい加減さにはさすがにげんなり。しかし下手な英語でクレーム入れたところでのれんに腕押しだったので、いったんキャンセルして在庫のある別の商品を注文しなおしました。イレギュラーにもがっかりせずに次の手を打つべし。やっぱり仕事みたいだ。

リノベは限られた予算と外部の協力者(リノベ会社)を使っていかに理想に近いものづくりをするか、というプロジェクトなので、仕事のように進めるのが間違いないのは確かです。

そんなこんなでまだ終わっていない部分はありつつも、失敗した!と思うところは全くなくて、全体としては大満足のリノベだったかなと思っています。何より、自分のイメージした好きな空間が出来上がっていくのは楽しいですよ〜!

たのしいものを作ります