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「やるべきこと」を知らせる直感 2024.08.10

朝起きて、書く生活をしたい。その気持ちは変わっていないのだけど、この1,2週間ほどはそれが難しかった。

朝起きるには、夜寝なければならない。当たり前のそれがなぜかずっと難しい。早く起きたい、だから早く寝る。それだけのことなのに!!

子供のころは寝るのに苦労していた記憶はないので、25歳くらいからのこの10年くらい、入眠に苦労している気がする。20代の頃は、それでも眠れなければ夜に起きて何かをする体力があった。でも最近はその気力がなくて、「早く寝て早く起きよう」と思って娘の寝かしつけと同時に22時までには布団に入っている。しかしそこから結局2時間とか3時間とか寝れないので、その時間をゴロゴロして無駄に過ごしているだけになってしまう。

若い時に寝られなかったのはいわゆる「リベンジ夜更かし」(1日に満足感がなかったために深夜の活動で取り戻そうとしてしまう)だったのだが、最近のは単なる入眠困難との合わせ技という感じがする。これが中年。寝付けなかったとしても無理やりにでも朝早く起きれば翌日は早く寝れるのはわかってはいる。だけど起床が辛いのも嫌なんや……。

まだ授乳しているので、受診したとして睡眠薬系のお薬を飲めるわけでもないし、しばらくはやり過ごすしかないのだと思う。つくづく育児中はやり過ごすしかないことが多い。



仕事のキャリアについても、育休明けのこの1年間は正直やりすごし感が強かった。

とにかく育休を取るまでは会社員を頑張っておこう、という気持ちで産前は働いていた。

だから、運良く無事妊娠出産して、育休をまるまる1年もらって、いざ復帰となった時、「果たして私は何のためにここで働くのだろう?」という感覚がどうしても拭えなくなってしまった。

IT企業で、インターネット上でやり取りされる無形の情報を扱う仕事をするようになって、10年近く経つ。

にもかかわらず、自己認識としてはいまだに私の本来の姿は「形あるものをつくる人」なのだと思う。

つくる仕事なんて本業の片手間でしかやれていないのに、それでも、その自己認識は10年変わらなかった。そして、その認識と実態の仕事とのずれが、小さなストレスとして、自分の中に積み上がっているのも感じていた。

もちろん今の仕事も好きではある。だけど、日々会社の仕事だけをやっていると、どうしても「やるべきことをやっていない」感じがしてしまう。思えばリベンジ夜更かしのように夜起きてしまうのも、「1日会社の仕事しかしなかった日」に多かった。なんらかプラスアルファで自分自身の「つくる仕事」(この場合の「仕事」は報酬のある職業としての仕事ということではなくて、人生の活動としての広い意味での「仕事」である)をしないと、満足感が得られなかった。


困ったことは、私は自分自身の感性や論理に従って何かを「つくる仕事」を人生の中心に置きたいとは思っているものの、それをするための具体的な生活スタイル・職業スタイルとしての「フリーランス」や「個人作家」的なやり方が、つくづく向いていないということだった。

個人で何かをつくることを仕事にする場合、人に向けてその人が欲しいものを作るオーダーメイドな制作仕事が一番職として成り立ちやすい。社交ダンスのドレス屋さんしかり、インテリアコーディネーターしかり、私ができそうなつくる仕事も、基本的には個人向けオーダーメイドの仕事である。自然にしていると、私の「つくる仕事」はそういうふうにして収入との両立を図ろうとすることになる。

しかし、仕事の中身としてのつくる仕事はやりたいことでも、仕事のガワとしての「フリーランスで行う個人に向けたオーダーメイド制作業」は、なぜか、どうしても私は苦手なんだということが、何年もの試行錯誤の中でわかってきた。

自分ひとりで、個人に向けたオーダーメイドのものづくりをする時、それをどのような金額で、どういうスケジュールで、どんなクオリティで作るのか、詳しい条件は毎回自分とお客さんの間で合意して決めていくことになる。

その決めていく過程では、どうしても人と人のやり取り、つまりは「個としての人間関係」が発生する。そして、それは大抵が初めましての相手との0からの人間関係構築になる。

まず、初めましての人間関係を定期的に構築しなおすことがものすごくストレスだった。これは相手がどんな人かは関係なく、ただただ「新規の関係性構築」というのが一定量を超えると私の許容範囲を超えてしまうのだと思う。

そして、関係ができたらできたで、今度は「個人としての繋がりの中で、ビジネスの条件を決める」のにもかなりの苦手意識がある。

個人的な関係性ができると、その人の期待には完璧に応えたくなってしまう。喜ばれたいし、頼んでよかったと思われたい。でも、その人が果たしてどのくらいの金額を妥当だと考えて、どんなものを提供したら満足するのか、それを100%理解して何かをつくることはできない。もちろん理解して応えるための努力はするのだけれど、そしてそれでいいのだと頭ではわかっているのに、「本当にこれでいいのだろうか」と毎度毎度不安に思いながら提案し、決めていくことに負荷を感じていた。

本当は、自分なりに「何をしたらいくら、提供できるものはこれ」という明確なメニュー表を決めて、それをシステマチックに提示すればよいのだと思う。実際そういうふうにしようとしたこともある。でも、そのメニュー表だって結局自分の都合で決めたものでしかない以上、どこまでも「これでいい」と思えることがなかった。
それに、オーダーメイドであるからには、まったく同じ仕事もないので、この事前のメニュー表で対応できないことももちろん出てくる。それをいちいちビジネスとして成り立つかの損得勘定をしてやるやらないを判断するのも、やはり大きなストレスである。損得勘定について考えて行動することそのものがそもそも嫌なのかもしれない。ビジネスに向いてなさすぎる。

考え方や捉え方を変えるようにいろいろと努力もしてみたけれど、無理だった。これはもう理屈ではなくて、そういう性格、性質なんだ、ということだと思った。

会社員のいいところは、会社の看板を背負って仕事ができることだと思っている。

会社の看板を背負うということは、いろいろなビジネス的なやり取りを、会社という仮面をかぶってシステマチックに行えるということである。個人としての感情をいちいち動かす必要がないのが、とても楽だ。

給与は最初の交渉で合意すれば自動的に毎月支払われるし、その後の評価や昇給についても「あなたにはこのくらいの期待値で、これができたら100点で、このくらいの昇給があります」という条件がある程度向こうから提示されている。自分個人としては、それにどのように到達するか、それだけを考えていればいい。
お客さんに向き合う仕事も、同僚との関係も、基本的にはあくまで私自身の個人的人間関係ではなく、「〇〇社の〇〇さん」としてのものである。いい人間関係もうまくいかない関係も、「私個人のものではなく、会社を通した限定的なもの」と考えた方が私の場合はビジネス的に適切な振る舞いをすることができた。
「こういう対応をすると組織やチームとしての評判を落としてしまうから、ここはちゃんとやっておかないと」というような、いい意味での会社の看板の重みが、私にとっては自分を正しく動かすのに必要だったらしい。



なんだか脱線したけれど、キャリアの話に戻る。

そういうことで、この数年は会社員を収入の中心におきつつ、趣味でものづくりをする、というスタイルを続けてきた。それがやりたかったからというよりは、そうするしかなかったからそうやってやり過ごしてきたというのが正しい。

その生活の中でも、いつか、自分が本当にやりたい仕事の中身と、快適に働き続けられるシステムが一致するやり方を見つけたい。そんなふうに思い続けてきた。


そして、ついにここ数週間、その光明が見えてきた。

具体的にはまだ決まりきっていないので、もう少し先で書くことにするけれど、やりたい仕事を、自分に向いているスタイルでやっていくことができそうな、すごく良いお誘いをいただいた。

キャリアとしては大きな転換になる。生活スタイルも、仕事の中身も、今までとは全然違うものになると思う。でも、自分の中の直感が「これこそがやるべきことだ」と言っているのがわかる。だから迷いも不安も特にない。水が流れていくように自然に、ああ私の人生はそちらに向かうのが正しいんだ、という感覚がある。

こういう感覚は久しぶりだけど、これまでにも何度かあったものだ。

進学する高校を決めた時、競技ダンスをすると決めた時、ドレスを作り始めた時、会社に入ってみようと思った時、2回目の結婚、家を買ってリノベした時、そして子供を産んだ時。
今の自分をかたち作る大事な決断は、全部この感覚のもとにあった。我ながらこのあたりの勘はかなりいいようで、この直感はいまのところ外したことがない。

今回もきっと、この先10年の自分をつくる重要な決断になると思う。そしてそれは、長く思い描いていた「こんなふうに生きたい」という想いを実現させるための始まりになりそうだ。



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