見出し画像

「The Beginning Place」青森県立美術館

2023.12.09

青森県立美術館の朝景色

奈良美智氏は青森県弘前市出身で、「The Beginning Place」はその故郷を示唆してるのだとか。彼の生まれについては今回の展示で知ったのですが、青森がゆかりの地だったんですね。

初期頃の作品にはじまり、お馴染みの少女像は勿論、旅好きだった彼が道中で記録した写真録、平和への願いのための作品群、そして幼少期から彼が愛するロックへの愛が詰まったエリアなどから、奈良氏の半生と人となりが伝わってくる内容でした。

続いてゆく道に
Make the Road, Follow the Road
Midnight Tears
涙は偶然垂れた絵の具から生まれたらしい
Hazy Humid Day
ぼんやりとした蒸し暑い日
東日本大震災後、台湾からの支援に
感謝の念を込めて制作されたそう

少女像ですが、想像していたよりも巨大で、瞳の中のきらめきまではっきりと見て取れました。左右で異なる色が使われており、シンメトリー構図にアシンメトリー要素がゆらめきながら併存していました。
多層な色相はこの大きさ所以でもあったのですね。

正面図の圧倒感と少女という存在の無垢の融合がもたらす静謐な空気感は、原画に対峙しなければわからなかったかもしれません。

どうしてこんなに涙が…
Why All These Tears...
共感が湧いて立ち止まってしまった作品
Bad Head
4章「No War」の展示エリア
彼が通っていた弘前のロック喫茶
「JAIL HOUSE 33 1/3」の再現小屋
「虎猫図」「般若猫」
同じく青森出身の棟方志功と
奈良美智の作品を比較するコーナーも
青森犬
目玉の巨大犬
屋外で空を背景に佇む姿は圧巻です

11月のT JAPANに今回の展示についての記事が載っていたのですが、奈良氏の好きな言葉は
“There is no place like home.”
という、映画「オズの魔法使」に出てくるフレーズだそうです。

家や故郷に勝る場所はないと言えるほど育った場所を心の支えにできるなんて、どこに行っても青森が自分を見守ってくれる感覚があるのでしょうか。
私は故郷を離れたことがないのであまりピンとこないのですが、常に家に帰りたい気持ちならわかります。(何か違う気がしますが…)

フレンドリーな印象を感じた奈良氏ですが、同郷である棟方志功も同じく他者との交流を好む人物像に見え、たまたまかもしれませんが青森って明るい人が多いのかしら…と思いつつ、故郷から大切にされるって生の肯定の極みかもな〜としみじみした青森旅行でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?