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強がりは泣いた

悲しいわけない。
私の選択はいつだって間違えてない。
少し風が強い日に、グロスを塗ったことも正しい。


私以外が、私の好きだった人の話をしている。
私は知らないフリをした。私はあの人を好きじゃない。だから、その話に乗らない。本当に?
私は、私が好きだった人の話をしている人たちより、その人を好きだった?ずっと、あなたはその人が好きだったの?本当に?ねえ、本当に、あなたは彼を、彼が一番好きだった?


どうでもいい問い。誰も一番じゃない。馬鹿みたいだと思った。馬鹿だと思った。馬鹿なんだよ。知ってた。言わないようにしていた。


言葉は返ってくることを忘れていた。魔法は使えなくなった。私の言葉は、誰にも届かない。宙に浮く。着地点は見つからない。この言葉を、誰かにわかって欲しくない。誰にも非難されたくない。私の言葉を、私の気持ちを、見ず知らずの、画面越し、匿名の悪意しか向けられない人間に、非難されてたまるか。私の言葉と気持ちは私のものだ。発信したからって、全員の言葉になんてならない。



この言葉も、返ってくる。いつか、私に。



いつかまた、お目にかかることなんてない。知らない誰かになった。私はあなたを知らない。知らないフリをした生活は、続く。魔法が使えるようになるのは、きっとあなたに優しくなれた時。あなたの周りの優しい人に優しくなれた時。この言葉は、いつかの魔法が解ける鍵。


さようなら。
あなたにしか優しくない人。
さようなら。
あなたにしか優しくできない人。
さようなら。
私が正しいと悪意を向ける人。
さようなら。
私への不都合を良しとしない人。


さようなら。
不都合に怒りを覚えた私。
さようなら。
言葉は魔法と信じた私。


さようなら、夜はもうすぐ明けるよ。

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