Saki Oshima / 大嶋紗季

2016年より米国在住。米国VCにて、女性の健康領域のスタートアップへの投資や日系大企…

Saki Oshima / 大嶋紗季

2016年より米国在住。米国VCにて、女性の健康領域のスタートアップへの投資や日系大企業とスタートアップの協業支援を行う。女性の健康、女性の社会進出やダイバーシティ領域が興味領域。

最近の記事

Springbank:ジェンダー・ギャップを埋めるためのインフラに投資

アメリカで働く女性の現実 アメリカに移住して7年、働き始めて5年。移住する前の私は、アメリカでは女性が男性と同じように活躍し、家庭と仕事を両立しているイメージだった。しかし、実際は、アメリカでも、女性の方が家事や育児に費やす時間が極端に長かったり、同じ仕事をしていても男性より報酬が低かったりする。 Care.comが2019年に実施した調査によると、ワーキングマザーの29%が保育料の高さを理由に仕事を辞めたことがあり、27%が同じ理由で内定を辞退したことがあると回答してい

    • ”生理サイクル”に基づく生活の最適化スタートアップ①

      24時間vs28日 (Photo by DAVIDCOHEN on Unsplash) 女性の生理周期に基づき、仕事や運動などの最適化するスタートアップが多く出てきている。 私が注目したのは、女性の身体は28日周期で変化するため、24時間(=1日)を1サイクルと捉えて作られた市場に出ている製品がフィットしないのでは、という点だ。 生理前はイライラして食欲が増す、生理後は肌が綺麗になる、など、女性がなんとなく理解している変化。このシステムをさらに分析し、生理周期と身体の

      • [更年期スタートアップ]Embr Labs 症状改善ウェアラブル

        更年期向けスタートアップの第3弾は、ホットフラッシュ、不眠などの更年期の症状を緩和してくれるリストバンド型ウェアラブルのEmbr Labsだ。 紹介動画がわかりやすいのでぜひ観ていただきたい。 MIT卒業生が2013年に創業、現在170カ国に7万人以上が利用同社は、2013年にMITの材料科学エンジニア3名によって設立された。 現在、北米のみでの販売にもかかわらず、170カ国以上で7万人以上の顧客を抱えているという。 仕組み手首の内側の温度に敏感な皮膚に冷感や温感の「

        • [更年期向けスタートアップ]Imvexxy エストロジェン膣用ソフトジェル

          エストロジェン膣用ソフトジェルを開発するImvexxyは、2021年5月、ユーモア溢れるデジタルキャンペーンを発表し話題になった。 動画上では、更年期障害とその副作用に対処しているグラマラスな女王が登場する。更年期のスティグマを跳ね除け、更年期以降の女性の楽しみと力強さを表現している。 同社のジェルは、2018年5月から販売を開始しており、膣の乾燥や、痛みなどを改善する。 75%が広告スキップボタンを押さなかったこれまでは、小規模に販売をしていたが、今回大規模な広告キャ

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          [更年期スタートアップ]Better Not Younger 切れ毛・薄毛対策ヘアケアブランド

          Better Not Youngerは、年齢を重ねた女性のためのヘア、頭皮ケアブランド。 名前のBetter Not Youngerからもわかる通り、若さを追求するのではなく、自身のより良い状態を目指すというコンセプトだ。 大手消費財メーカーにとって45歳以上の女性は対象外? Veteran Beauty Executive Sonsoles Gonzalez’s New Haircare Brand Celebrates Women In Their Late 40s

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          [更年期スタートアップ]Gennev 更年期向け遠隔医療

          次に紹介するのは、更年期障害のケアを専門とする施術者とのビデオ診療を提供するGennevだ。パンデミックによって、遠隔医療が拡大しているが、この流れはメノテックにも広がっている。 更年期の症状を更年期が原因だと気づかないため、対処しないで、不調に苦しむ女性が多いという。 サービス内容同社は、米国23州で展開されており、1回の予約につき、医師との面談は85ドル、ナースとの面談は45ドルで、30分程度の面談が可能だ。 また、女性が自分の更年期を理解するための啓蒙活動も行なっ

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          [更年期スタートアップ]Womaness 更年期ウェルネスライン

          更年期症状を緩和する製品を展開するウェルネスブランドのWomanessは、スキンケア、膣用クリーム、セクシャルウェルネス製品、サプリメントなどを展開している。 Menopositivity: The Founders Of Womaness Talk Menopauseより抜粋 欲しい!と思う更年期向け製品が無かったことが創業のきっかけデザインのコンセプトは、キャリアの絶頂にあるセクシーで活気に満ちた女性。ターゲット社の元幹部のファウンダーが、膣の乾燥について悩みを持って

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          市場規模は6,000億ドル、続々と登場する更年期向けサービス

          フェムテックというと、卵子凍結や生理周期管理のアプリなどが注目されがちだが、今、世界のフェムテックマーケットで続々と出てきているのが、更年期向けのサービスだ。同領域は、Menopause(更年期)Tech = メノテックと呼ばれている。 今回は、メノテック領域を紹介したい。 更年期とは個人差はあるものの、50歳前後で閉経する人が多く、この閉経の時期を挟んだ、前後数年ずつの約10年間(一般的に45〜55歳頃)を更年期と呼ぶ。 主な症状は、ほてり、肌の乾燥、膣の乾燥、関節の痛み

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          [自宅検査スタートアップ] Base ウェルネス全体を対象とする自宅検査

          自宅検査系スタートアップ第6弾は、ストレス、睡眠、性欲、食生活改善など、ウェルネス全体を対象とする、唾液、血液の自宅検査サブスクを提供するBase。 これまで紹介した5社と違うのは、同社はサブスクでサービス提供をしている点だ。 メンバーは、季節ごとの健康状態の変化をモニターしたり、科学的根拠に基づいてサプリメントや食事、日々の習慣を提案することで、根本的な原因を探り、症状を改善することができる。 1-3ヶ月のInvestigate(原因探究)コースと、2-4ヶ月のImp

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          [自宅検査スタートアップ] adyn 自分に合った避妊用ピルがわかる唾液検査

          自宅検査系スタートアップ第5弾は、自分に合った避妊用ピルがわかる唾液検査を開発するadynだ。 副作用を最小限に抑えるために、自分に合った経口避妊薬がわかる自宅検査キットを開発する同社は、Y Combinator 2020夏バッチに採択されている。 2021年4月に、シードラウンドで$2.5Mを調達している。今回ラウンドには、遺伝子検査キット大手の23andMe社のCEOであるAnne Wojcicki氏や、化粧品D2CのGlossier社のAshley Mayer氏など

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          [自宅検査スタートアップ]Stix 妊娠検査薬D2C

          自宅検査系スタートアップ第4弾は、妊娠検査薬D2CのStixを紹介する。 妊娠検査および排卵日予測検査キットのD2Cサービスを提供する同社は、2021年4月、シードラウンドで$3.5Mを調達している。 コロナ禍の影響で、需要が急拡大しており、2020年には前四半期比で120%の売上増とのこと。 従来の製品が持たない、圧倒的ユーザー目線のプロダクト設計同社の特徴は、圧倒的なユーザー目線。購入したことが同居人にも分からないように目立たない封筒で郵送される上、返品先の住所にも

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          [自宅検査スタートアップ]Orchid カップル向け遺伝子検査

          自宅検査系スタートアップの第3弾は、カップル向けの遺伝子検査を提供するOrchidを紹介する。 パートナー両方の唾液サンプルを送付するだけで60億ものゲノムを解析し、子供が遺伝性疾患を発症するリスクが高いかどうかを判定してくれる。 2021年4月に、シリーズAラウンドで$4.5Mを調達しているが、今回ラウンドには、遺伝子キットの開発、販売する23 and Meの創業者も参加している。 対象となる遺伝性疾患は、乳がん・前立腺がん・心臓病・心房細動・脳卒中・1型糖尿病・2型

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          [自宅検査スタートアップ]Modern Fertility ホルモン検査キット

          Modern Fertilityは、女性が自分で指先の血液を採取するだけで不妊の検査ができるキットを開発している。 この検査ではホルモンをチェックし、卵子の数、閉経するタイミング、卵子凍結や体外受精への適性を見極めることが可能だ。 パンデミック時、前年比で約300%の収益増を達成した。 D2Cのビジネスモデルから始まり、現在では小売大手のターゲットでも販売されている。 D2Cから始まり、ヒットすると、ウォルマート、ターゲット、CVSなどのオフラインの小売店チェーンで販

          [自宅検査スタートアップ]Modern Fertility ホルモン検査キット

          [自宅検査スタートアップ]Scanwell Health UTI自宅検査、治療

          パンデミックで成長する自宅検査領域のスタートアップを紹介する。1つ目は、尿路感染症(UTI)を対象にしたサービスを展開するScanwellだ。 尿路感染症(UTI)は、女性の5人に1人がなるとされている。 自宅にいながらにして、臨床レベルの検査が可能で、検査結果が出たら(所要時間2分)、スマートフォンを介して遠隔医療機関に直接接続し、治療のための処方箋を受け取ることができる。 昨年末には、Amazonでの販売も開始している。 これまで、尿路感染症になった場合、患者は、

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          コロナ禍で急成長する、フェムテック自宅検査領域

          パンデミックで成長する分野の2つ目が、自宅検査だ。パンデミックで急成長した遠隔医療領域だが、これはフェムテックにも広がっている。Forbesでも2021年のフェムテック注力領域として、自宅での健康管理を挙げている。 Forbes: International Women’s Day 2021: Three Predictions For Women's Health 感染リスクから病院を避ける人が増え、それに伴い自宅検査の需要が拡大したようだ。 下記に、自宅検査分野のス

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          [卵子凍結スタートアップ]Elanza Wellness 卵子凍結コミュニティ

          Elanza Wellnessは、卵子凍結を検討する人のためのコミュニティを提供している。まだまだアーリーだが、米有力アクセラレータTechStars2021年冬バッチに採択されている。 ファウンダーがFemtech Focusのポッドキャストでインタビューを受けている。 Femtech Focus episode 113 : ELANZA Wellness and their behavioral health fertility platform サービス内容卵子凍結

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