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町が変わっていく

自分の住んでいる町がどんどんと変わっていく

短期大学が少子化のために経営が続かなくなり、閉校した。
レンガ造りの素敵な校舎は全て壊され、生えていた木もひとつ残らずなくなった。
広大な土地の土がむき出しになり、新しい建物を建てる準備を始めている。約300世帯が入るマンションが建つそうだ。

その向かいにあった大きな本屋さんが潰れた。
帰り道によく寄っていた本屋だった。
駅前のスーパーの2階にあった小さな本屋もなくなり、とうとう私の町には本屋がなくなってしまった。

昔からあった写真屋さんが閉店した。
子どもの時はフィルムを持っていって写真を現像してもらったり、年賀状を作ってもらったり、受験の時の証明写真も撮ってもらった。
スマホで写真が撮れるようになって写真屋さんは仕事を失いつつあることは聞いていたけれど、昔からある地元の写真屋さんの閉店は少し寂しい気がした。

駅前のパチンコ屋さんが潰れた。
パチンコ屋さんが潰れる町って良いね!と喜んでいたが、次にできたのは大手の塾だった。
塾を一概に否定はできないけれど、私の町の子どもたちが家族といる時間を犠牲にして夜遅くまでここで勉強しているんだと思うと少し悲しい気持ちになった。

最近、小さなお店の入れ替わりが激しい。
1年もたたないうちにお店が変わっていく。
パン屋さん、おにぎり屋さん、カフェ、スムージー屋さん、ラーメン屋さん、
出来てはすぐに潰れていく。
一方でコンビニが増え、チェーンのファミレスやスーパーはなくならない。

地元の人たちはもはや自分の町に関心がなくなりつつあるのではないか。新しいお店ができても関心が持てない。どんな人が経営しているのかなんて知ろうともしない。
コミュニティとのコミュニケーションがないスモールビジネスは続けるのが難しいのだろう。

自分が子どもの時から住んでいる街の変化は色んなことを考えさせてくれる。

日本全体では深刻な少子化を抱えているのに、増えるマンションは都市に人が集中しているということ。

本屋が潰れたのは住民の本の需要が減少していることを表していて、もちろんネットで買う手段が広まっているからとも考えられるが、住民の知的レベルの低下を示しているようにも思える。

スモールビジネスの入れ替わりが激しいのは、新しいお店に関心を持つほど町に関心がない住民が多いことを表している。

これから10年後、20年後、この町はどんな姿になっているのだろうか。

ここで育つ子どもたちは、将来、自分の「ふるさと」をどう語るのだろう。目まぐるしく変化するこの街をどうやって愛したらいいのだろう。

そんなことを考えながら毎日変化する工事現場を見ることが少し寂しい。

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