ショート×2(その9)ネコの警備員
三毛猫のミケは警備員として働いている。給与はエサの現物支給。住居手当も現物支給だ。冬期手当はこれまたホッカイロという現物支給である。
ミケ警備員の警備は非常に厳しい。不正なものを家に持ち込むことは許さないようだ。ある日のこと。家族で食べるために大きいチキンカツを持ち込もうとしたところ、警備員に見つかってしまった。
臭いを嗅ぎまわり、入念にチェックをしていく。全てのチェックが終了しないと家の中に入ることが出来ない。入国管理よりも厳しいチェックだ。
チキンカツも見つけられてしまった。「ここは通さないぞ!」と言わんばかりにニャーと鳴く。しかし、そこは袖の下が通る世界でもある。いなばのチュールを取り出すと、警備員の鼻先に突き付けてみた。
なんとぺろぺろなめてしまっているではないか。一本で満足してしまい、手をぺろぺろ舐め始めたようだ。無事に検問を通過することが出来た。
袖の下なんてありなのか?と思うかもしれない。ここは通行手数料と言い換えることにした。日頃の警備、お仕事お疲れ様です。
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