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イギリス大学院 Reading weekの様子と人的資源管理コース紹介

5週間の授業を終え、学校はReading Weekなる中休みに突入しました。この記事ではイギリス大学院のスケジュール・Reading Weekの様子と、私が受講している人的資源管理コースの概要をご紹介していきます。個人的な目論見、振り返りもミックスで書いております。あしからず。。

1.イギリスの大学院の年間スケジュールとReading Week

イギリスの大学院の年間スケジュールは、大きく3つのセメスターに分かれるようです。ざっくり書きますと

第1セメスター:9~12月

第2セメスター:1~4月

それぞれ実質は12週間ほどで、ちょうど真ん中の折り返しのタイミングにReading Weekと呼ばれる、授業が開講されない空白の1週間があります。

Reading Weekの目的は、今までの学びを振り返り、不明点をおさらいしたり、遅れていた部分があれば取り戻したりする挽回期間のようなもの、とさけとばは解釈しています。コースによっては、エッセイなど重めの課題が課されたりするようですが、私のコースは比較的リラックスしており、任意提出のエッセイ課題(提出すればフィードバックをもらえる)をやったり、Reading week後のプレゼンやグループワークの準備に自由に充てるようなスタイルです。

余裕のあるクラスメイトにとっては、旅行に出かける絶好のタイミングのようで「来週スイス行くからミーティング キャンセルね」「クラブいってパーティーする」といった華やかな過ごし方をする人もいます。私自身は、気の合うクラスメイトとのディナーが唯一の予定で、あとはReading Week後に控えているプレゼンやら長めのエッセイの仕込みに充てることになりそうです。

うーん。。とはいえ息抜きも必要かも、とこれを書きながら感じたので、家族(夫)サービスのサイクリングと、近郊のブリュワリー巡りと、芸術(音楽かな)に触れる時間は作ろうと密かに思い直しました!

2.人的資源管理コースのカリキュラム

最初は手探りで参加していた授業でしたが、ようやく全体感が掴めてきたような気がするので、私が大学院の人的資源管理コースでどんな勉強をしているのか簡単にご紹介すると共に、個人的な振り返りも書きたいと思います。

 (1)人事マネジメント概論

いわゆる人事マネジメントの「採用→育成→評価→報酬」のようなサイクルに基づいて、1つ1つの人事施策をとりまく諸課題と、学術的理論、また現実的な応用の可能性を考えるコースです。

例えば、テーマが採用であれば、こんな流れです。

①応募者を惹きつける求人戦略、各選考ツールの妥当性、オンボーディングなどにまつわる理論が紹介される(動画レクチャーと参考文献で各自予習))

②●●社の●●職の求人をみて、あなたであればどんな求人戦略、選考プロセス、入社後のオンボーディングを企画するか?みたいな課題が出る(各自宿題としてセミナーまでに準備)

③現地開催のセミナーで、それぞれのアイディアを共有しつつ、教授からフィードバックをもらう、疑問点を解消する

ドイツ人の早口でパワフルな女性教授による授業で、とてもシステマティック、中身がぎーっちりと詰まった無駄のないコンテンツにいつも感動します。理論と実践を行ったり来たりするのが面白い。

クラスの半分はまだ就業経験がないメンバーゆえ発想が斬新で面白いです。「採用ミスマッチを最小限化するためにアセスメントセンターを広く導入する!」みたいなお財布がいくらあっても足りない大胆なアイディアを披露してくれたりするのを目の当たりにすると、コストや時間に捉われて当たり障りのない案を用意してしまう自分の事なかれ主義な提案がつまらないな、と思ったりもして、クラスメイトから学ばせてもらうことも多いです。


 (2)研究法

今後書き上げていくことになる修士論文に向けて、リサーチの基本を学ぶコースです。文献の選び方からデータベースの使い方のような基礎的なところから、人事関連の研究でメインとなる質的研究・量的研究のリサーチの種類や特性、実際の研究の進め方を学びます。

前半は質的研究、後半は量的研究となっており、ちょうど質的研究のパートの講義が終わりました。これから、学んだことをベースに研究計画をチームで作成する、というフェーズに移っていきます。

とても大切な授業なのですが、、一番難しく感じる授業です。なぜなら

①概念理解が難しい

研究のスタンスなどを理解するための概念的な言葉がわんさか出てくるので、語彙力は勿論ですが、概念的な理解が追い付かないことが多々あります。慌てて日本語でネット情報を拾いながら理解しようとしていますが、中途半端な理解に留まっています。日本語で一冊本を買って概要を掴もう。

②グループワークにドキドキ

5人で1つの研究計画を作り上げる、というなかなか高度なコラボレーションが求められる課題が課されています。私のチームはイギリス、エストニア、中国、日本の多国籍チームです。自分がどうやってチームに貢献できるかを日々模索しています。今のところ意識していること

・皆の希望と興味をよく聞く→「このパートは私がやりたい」「このテーマがいい」など結構主張があるメンバーが多かったので、私は余ったところを埋める。。というのが1つの存在価値かな

・記録を残す→ 会話はたまに置いていかれますが、一連の会話を経て、結果どこに辿り着いたかはよく確認する。メモ決まったことをチャットに流して、To Doやスケジュールの認識がずれないようにする

・スピード→ 早めに課題を理解する、課題の文献を読む、そして早めに自分のアウトプットを出しておく。内容掴んでいれば議論にもついていきやすいし、最初のアイディアが土台になるからその後がラク。文献調査など地味だで時間と気力が必要なものこそ、まじめにやる。

個人的にメンバーとのかかわり方など一番思考錯誤している科目ですが、終えた時の学び、そして修論への影響も大きいと信じて楽しみたいと思います。

 (3)グローバライゼーションと雇用問題

世界をとりまく雇用に関する課題をひも解くコース。ギグエコノミー、移民問題、賃金格差、グローバル企業のサプライチェーン、ガバナンスなどなど・・組織の人事という視点よりも、だいーぶ広い視点から、雇用に取り巻く課題認識を深めるようなコンテンツです。人事施策というよりは、政策提言のような感じもありますが、こういったコンテクストを理解しておくことが、視座を高める上でも役立ちそうです。講義も動画を多用したドキュメンタリー仕立てで引き込まれてしまう。

壮大なテーマを扱う一方で、この科目の期待値は、課題の掘り下げに充てられています。上記のようなトピックにちなんだ「問い」がグループに1つ割り当てられ、それに対する「答え」を含んだ、セミナーを「主催」することがグループに課される要件です。担当になったグループは研究結果をプレゼンするだけではなく、それに因んだディスカッションテーマを用意し、他の生徒たちを巻き込みながら、参加者全員が理解を深めることを促します。

驚くのは、みんなのプレゼンスキルの高さ。そして、議論が白熱する。私は事前に仕込んでおいた質問3つのうち、議論の流れに合いそうなものを1つ選んでを投げかける、が精いっぱいですが、誰かの乗っかって自分のアイディアを発信したりするスキルは本当に勉強になります。

自分のチーム(アメリカ・中国・日本トリオ)の担当は幸か不幸か一番最後なので、みんなの技を盗みながら、自分なりのベストを尽くそうと思います。

 (4)組織論

私が一番好きな科目。テイラーに始まり、発展していく組織論を追いかけながら、組織変革のケーススタディ(主にイギリスの企業)を読み解き、組織変革の成功・失敗、その要因などをディスカッション形式で明らかにしていきます。長老のような、けどおちゃめなおじいさん教授が、軽妙なトークとテンポよいファシリテーションで進めていく組織分析がとても楽しくて毎回熱中してしまいます。

セミナーは勿論ですが、毎回ケーススタディを読むのがとても楽しいのです。前の会社でもこんな事あったなー、という思いに耽ることもあります。教授自身がベテランゆえか、使用する文献も年季が入ったものが多く、本をコピーしたタイプのPDFが展開されます。笑 そのため、読み込み不足で翻訳ツールに頼る、という最終手段が通用しない留学生泣かせの仕様ですが、それゆえ、絶対英語で読まなければならないという気合も入り集中できるのが良いのかもしれません。

組織変革には本当に色々な要素が組み合わさっていて、ケースを読みながらポイントを特定することはとても難しいのですが、どれが本当にコアなのか、そこからどんなメカニズムが働いているのか、半ば禅問答のようなやり取りをしながら、組織の本質、理論の本質を追い求める過程、そして、コレだ!というポイントに行きついたときの世界が開ける感じがとても癖になる科目です。

以上、第1セメスターで受講している4つの科目について、概要と私の受け止めを紹介してきました。

日々課題に埋もれていますが、勉強したいと思っていることに対して、こんなにも時間と気力を注げることは有難いことだな、とも思います。Reading Weekが空ければあとはテストまでまっしぐらになると思いますが、もがきつつ走り抜けていきたいと思います。

長文になってしまいましたが、お付き合いくださったあなた、ありがとうございます!!


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