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2023.8.17 THE LAST 牡丹灯籠 ★98公演目

L列くらいまでが表情見えていいかも。

この日は最初から、下北沢の思い出話が語られる。


【下北沢の思い出】

現・OFFOFFシアターは、その昔「下北沢ロングランシアター」と呼ばれており、日本のブロードウェイにしようと毎日同じ公演を戸田恵子さんが行っていた。その後の時間が空いているという事で、「喋る場所は自分で探してこい!」との談志師匠の命により、志の輔さんは54週間水曜日の22時~23時まで公演を行ったという。
初日と最終日は親類総出で増席させたくらいでいつもは0とか3人5人で、3人とかやりずらいですよー。
上手見てよう八っつぁん、下手見て~って目が合うんですから。それも50人位はいるところにばらばらに3人。やりにくいので全員前に集まって貰って、今日はどうしてここに来たの?(反応なし)お仕事は?とかお客さんの身の上話聴いて終わったり、その頃発売されたばかりの燗番娘、水と石灰が入っていて爪楊枝で穴をあけると化学反応を起こして、お燗酒ができるという商品を買って来て貰って、あ~本当にお燗になったねーとかやってました。
流石に、その頃からのお客さんはいないとは思いますが…。

そして、カールスモーキー石井さんのラジオに出た時に、最後の牡丹灯籠なんて、いい商法ですねーって言われたんだけど、最後の牡丹灯籠と銘打ったら、チケットの売れ行きが凄かったそうで…。どうも人間は「最後の」と聴くとなにか釣られてしまうのかもしれませんね。これからは全ての公演に「最後の」ってつけてみようかなとか思いました。

お国が百両に驚く場面。
この日の百両はスタッフさんの姿も見えず、百両だけが飛びました。この日の人物相関図での解説の時に、お国がお露を追い出すように仕向けるくだりがなかったなあと。解説をする時の立ち位置が前回と違ってて、あら?となったりして、そんな小さな違いも楽しめた。

~仲入り~

暗転後の高座には後ろのスクリーンに牡丹の花が一輪咲いている。
ここからは、「萩原新三郎」と「お露」の恋物語から語られる。
志の輔さんのカランコロンは一定の音で表現される。
ごくごく軽い、無機質とも思えるほどの儚く軽い音で表現される。最初からこの世のものではないと暗示するかのような表現である。

伴蔵が幽霊に剥がしたお札を渡そうとして、おっと!これはーと胸元にしまう仕草が、この日はすぐに胸元にしまっていたなあなんてことを思う。

そして富山から3回観てきて、どんどんどのキャラも斬れ味が鋭くなっていくのを感じた。特に伴蔵がおみねのあの一言によって、あの罪は俺だけがやったことなのかと悪い奴に落ちていく様が恐ろしいくらいの迫力を持って演じられる。落語を聴いていて鳥肌が立った。

ふり幅が広い役者さんは沢山いる。だけどこの3時間で、延べ20人以上の人物を演じ分ける。下手から上手に顔を向けた瞬間に別人になっている。物語に吸い込まれ、その人物に振り回される。ただただ凄い世界に吸い込まれる…。

志の輔さんが演じる悪い奴らが斬れ味を増せば増すほどに牡丹灯籠の世界の光と影がくっきりと際立って行く。
闇の世界からの一転してのあの最後。会場全体がふっと息をつくようなそんなラストシーン。

【超ざっくりあらすじ】

有名な「お露」は、旗本「飯島平左衛門」と前妻との間の娘ではあるが、飯島が妻亡き後に情けを掛けた「お国」にそそのかされて乳母と共に家を離れて暮らす。
飯島に情けを掛けられた「お国」は飯島家乗っ取りを不倫相手の旗本次男「宮野辺源次郎」と企てる。
それを小耳に挟んだのが家来の「孝助」
「孝助」は、DV酒乱親父「黒川孝蔵」と「おりえ」を両親にもつが、余りのDV酒乱ぷりに離縁となり、その親父は自業自得な理由で斬られて死ぬ。「孝助」は父の仇を命じられて育ち、そのために飯島の新陰流を学びに来ていたという。
「孝助」は覚えが良くて人柄も良かったので飯島に気に入られていて、飯島も孝助もお互いにこんな父が!こんな息子が!と思い合っていた。そしてその孝助に一目ぼれしたのが「相川新五兵衛」の娘「お徳」結婚を申し込まれるが、まだ新陰流が身に入っていないという理由で1年間の通い婚を申し出るも、それはお国と源次郎の企てを知り、殿様を守るため。お国と源次郎は手下に闇討ちをさせたり、百両が消えたとうそぶき「孝助」をも殺そうとする。
「孝助」は、もはやこれまで自分が殺さねばと思っている。そんな折、飯島から何故ここに来たと問われ、自分の父親「孝蔵」は酔っぱらって旗本の家来にぶつかって難癖をつけ、刀に手をかけ、抜かなったけれども旗本に斬られて死んだので、その仇討ちをしたいと答える。
その昔飯島がまだ平三郎と名乗っていた頃のこと、刀屋で刀を見作ろっている時に、なにやら外が騒がしいと出で見れば、中間が酔っ払いに絡まれている…酔っ払いが刀に手を掛けたので、ちょうど持って出ていた刀で峰打ちにした…つもりが急ぎ駆けつけたので、峰側じゃなかった…。飛び散る血、もだえ苦しみ死んでいく孝蔵。
飯島は孝助を遠ざけるでもなく、よし、仇討として打たれようと誓う。
そして孝助に飯島は打たれる。打たれながらも心残りがあるから手紙を持って相川の元へ行けと言われ、孝助は相川の元へ。手紙には孝助の仇討の相手は自分であるが、このままでは死ねない。お国と源次郎を殺す。痛手を負った身では返り打ちに合うかもしれないが、孝助はお徳と共に飯島家再建を目指して欲しいといの言葉が…
踵を返す孝助が目に見たものは血の海の中で死に絶える飯島と、大量の血が裏庭まで続いていた…。
孝助の人生の目的が、殿の仇討に変わる。
お国の出身地の村上まで探しに行くが、見つからない。そんな辺りまでが人物相関図のパネルを使って語られる。

落語は「萩原新三郎」と「お露」の恋物語から語られる。
医術よりも話術で世渡りをしているような「山本志丈」が新三郎の元へ梅を見に行かないかと誘いだす。梅を見た後旗本のお嬢さんに会いに行かないかと、お露と女中のお米が住む場所へ。そこで二人は恋に落ちる。現代と違って間に立った山本を差し置いて会いに行くことはできないと思っているうちに時が過ぎ、やっと山本が来たかと思えば、彼はお露は恋焦がれてなくなってしまったと伝えてくる。会いに行けば良かったと後悔する新三郎の元に夜更け過ぎにお露とお米がやってくる。また会えた、これは嬉しいと逢瀬を重ねる。そんな日々の中新三郎の長屋に住む人相見の男「白翁堂勇斎」が中を覗いたら抱き合う美男美女の隣に向こう側が透けて見える女…よく見れば美女も骸骨!翌日新三郎に助言し、新三郎も二人が住むという三崎村(現在の谷中)に確認に行くも誰も住んでいない…いつの間にかたどり着いた新伴随院(しんばんずういん)に彼女たちの新しい卒塔婆とお米がいつも持ってくるちりめん細工の牡丹灯籠を見て、慌てて白翁堂に相談する。白翁堂は新三郎に新伴随院には名僧「良石和尚」がいるから相談してこいと言われ、再び新伴随院へ。
良石和尚から3つのことを与えられる(お経を書いてあげるから読みなさい。金無垢の阿弥陀如来を小袋に入れて首から下げていなさい。お札を戸に貼りなさい。)
さあ、これで一安心と思いきや。
幽霊の情念は凄かった…彼女たちは新三郎の世話人達に交渉を試みる。
新三郎の長屋での身の回りのことをして生計を立てている世話人夫婦「伴蔵」と「おみね」
最近旦那が庭先に女を連れ込んで内緒話をしている、なんだよ!と思い話を聴いてみると…伴蔵にお米が「お札を剥がしてもらえれば中に入れます」じゃあ剥がすよって返事したんだけど、あれ幽霊だったよー!お札を剥がすと新三郎さんに何があるかわからない、剥がさないと自分たちがどうなるかわからない…おみねの発案で幽霊に百両もってこい!と交渉することに。予想に反して幽霊達は百両を持ってきた。伴蔵は阿弥陀如来を新三郎から盗み、お札を剥がした。新三郎は翌朝無残な姿で発見される。
伴蔵夫婦はわざと幽霊話を盛り上げて騒ぎに乗じて栗橋(埼玉県)に引越しをする。何もしないと怪しまれると荒物屋を開く。売れなくてもいいのに売上が良くてあれよあれよいう間に大店になる。
店はおみねに任せてもいいってんで、伴蔵は酒と女に溺れ、それが原因でちょいと大き目な夫婦喧嘩。仲直りはしたものの、そこでおみね言ってはいけないことを言ってしまった。幽霊から百両貰って新三郎さん殺したのは伴蔵なんだよ、忘れちゃだめだからね…。「幽霊に見込まれて、百両貰って、お前が言い出したんじゃねえか、新三郎さん殺したのも一緒にやったと思っていたが、お前は俺が殺したことになってたのか…これからも何かあるたびにそう言われて責められるのか…」
伴蔵は金の阿弥陀如来を渡す振りをして、おみねを殺害する。その後女中がおみねが憑依したようなことを言い出す。ちょうどそこに登場するのが、喋りすぎて江戸に居られなくなった「山本志丈」
伴蔵の行きつけの飲み屋で「お国」と「山本志丈」再会。
その後、伴蔵の元に源次郎がたかりに来るも失敗。そしてお国と源次郎は宇都宮へ逃走。
また、山本も伴蔵に殺される。今度も完全犯罪となるかと思いきや追手に追われることとなる。

その頃、孝助は村上に行くもお国達を見つけられず江戸にもどる。人相見に仇討成就を見てもらうため白翁堂の元へ向かう。仇討は成就するであろう。もう一つの生みの母親には今しがた会ったとでているという。すれ違ったあの二人か!と後を追う。
母「おりえ」はDV旦那と別れた後「樋口屋五兵衛」と再婚する。樋口屋の前妻との間の子が「五郎三郎」と「お国」だった。「おりえ」の元に「お国」達が現れる。「おりえ」は樋口屋への恩返しと裏口がから逃げるように伝える。そしておりえは自害。孝助は逃げた二人を追って無事に成敗…。
帰宅後、唯一のいいことが…孝太郎という息子が生まれていた。孝助は殿の墓前に色々なことを報告して、本来の牡丹灯籠はそこで終了。

志の輔さんが付け足したエピソードは…
満月の夜、縁側に座り月を見上げていると、そこに飯島平左衛門が現れる「よくやってくれたな、これで成仏できる。お前は幸せになれよ…」と消えていく…。

【本多劇場限定の色々】

お国が百両が飛んでいる!!と叫んでいる時に飛んでいる百両はこちらでございます。富山県の五洲薬品の入浴剤(笑)

★本多劇場限定土産
相関図の一部にそれも凄くわかりやすい所に間違いがありますと…間違い探しのためにわざと、そう作りました…という事にしましょう…ということにしたんですが、恥ずかしいですねえ~という志の輔さんがかわいらしゅうございましたので良き!

表面
平左衛門がこんな息子が欲しかったって言えないじゃん!っていう間違い(笑)

【高座後のお話】


いつも終演後に10分くらい話をするんですが、夜公演でもう時間も遅いので、そんなには喋りません。
11月21日の談志の命日の頃にイベントがあるのでお誘いあわせのうえ、ご来場ください。
今までは昼の部に出ていましたが、今回は夜の部のトリを務めます。
立川談志追善 特別公演 談志まつり 2023
会場:有楽町よみうりホール (東京都)
開演:17:00 (16:00 開場 )
[出演]
立川平林 / 立川談修 / 立川談慶 / 立川キウイ / 土橋亭里う馬 / 立川生志 / 立川龍志 / 立川ぜん馬 / 立川志の輔

本多劇場は来年も取っているので、なにかやることになっています。
何年かたってスタッフも元気で、私にも気力があって、こういう牡丹灯籠もっていうことがあったらやるかもしれません。

来年のPARCO劇場も1月5日から一か月間行います。一か月もやっているんだから、都合が合わないなんてことはないでしょう。
良い夏をお過ごしください!

また遊びに来てな~(・∀・) 待っとるちゃ。