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エリザベス1世、「選択しない」という強さ

イギリス国王(エリザベス2世)が亡くなり、それに関連する様々なニュースを見るうちにふと、エリザベス1世ってどんな人だったのかな?と知りたくなりました。

私が好きなpodcast番組「COTEN RADIO」でもエリザベス1世の放送回があったので、早速聞いてみる。(#174~#184)

エリザベスを理解するにはその時代背景を知らないと理解できない、ということでCOTENではいつものようにながーい前段から入っていく笑。

難しいことはあまり覚えてないけど、要約すると以下のようなことだった。

  • 当時のヨーロッパ大陸では旧教(カトリック)と新教(プロテスタント)の宗教対立が起こっており、殺し合いが絶えない状況

  • 当時はスペインとフランスの2大勢力により領土拡大が進んでおり、小規模の国はどちらかにつかないと存続が危ぶまれる

  • 政略結婚は当たり前

  • 女性差別も当たり前

この環境下でイングランドを守り、”黄金時代”と言われるような素晴らしい統治をしていくのだ。どんだけ素晴らしい女性なんだ…!

なんだかとてつもない強いキャリアウーマン像をイメージするが、女王のことを知るに連れ、実はそうではなかったのかもしれない。

エリザベスの幼少期


エリザベスはヘンリー8世の子に生まれるが、母はアン・ブーリンという愛人の子。エリザベスが2歳のときにアン・ブーリンはヘンリー8世により殺されてしまう。(理由は単に飽きたから。当時カトリックでは離婚は許されず、次の結婚ができなかったので適当に罪を着せて処刑されたと言われているそう…)

そこからは「庶民の子」と王位継承権も持たないまま育つが、途中良い義母に恵まれ、王位継承権は回復される。ただ、その後メアリー1世統治の時代にはエリザベスはプロテスタントであることを理由にロンドン塔に幽閉される。
(メアリー1世はヘンリー8世の最初の妻の子ども。お母さんを愛人のアン・ブーリンに取られた、とエリザベスを深く憎んでいる。)

生まれた直後から死と隣合わせ。「自分もいつか殺される」という恐怖を抱えながら生きるとはどのようなものだったのか。
「正しいことをすれば殺されない」というわけではなく、誰かに目をつけられたら終わりという不条理な世界。生き抜くためには目立たないようにするしかない。そうやって地味に過ごしてきたのがエリザベスの幼少期だそう。

ただ、このときに没頭したのが勉強。
エリザベスは今で言うと、ハーバードやスタンフォード大学に合格するくらいの、ものすごい賢い人だったようで、10歳で既に4カ国後語を流暢に話せるようになっていたとか。
歴史学、哲学、宗教、君主論・・・あらゆることを若い時期から学んでおり、彼女の優秀さを語る文献がいくつも残っているそう。

後に女王としての難しい判断や政治力もこのとき身につけた教養がベースになっているのではないか、と深井さんは語っていた。

エリザベスの政治


COTENを聞き、エリザベスに素晴らしい統治ができたのにはいくつかのポイントがあったのだ、と感じた。

1.バランス型である


エリザベスは非常にバランスのよい政治をしていたらしい。
自身がプロテスタントだと、それに近い宗派の人間のみ側近に置きたくなるが、カトリックもプロテスタントも双方の家臣を置き、議論させていたよう。当時のイングランドの状況を客観的に捉え、様々なリスクを考えていたからこそ、あえてどちらかに傾倒しないよう、細心の注意を払っていた。

2.決断しない

決断を保留する、決めない、というのも特徴。
例えばフランスにつくのか、スペインにつくのか、常に決断を迫られるシーンで、彼女は決めない。
「どちらも選ばない」とというのは、実はとても苦しい選択だと思う。
優柔不断だと責められるし、常に双方からのプレッシャーに晒される。下手すりゃ双方を敵に回す。

ギリギリまでうまくはぐらかし判断を保留にしつつ、本当に必要なときには的確に判断を下す。
「選択しない」判断をできるのも、忍耐強さがないとできないわけで、保留を貫いたエリザベスはカッコいいと思った。

これは今の時代にも通じること。
白か黒か決断をすること、素早く判断すること、
それが正しいことだと言われているが、本当に決断しなければならないことって実はそう多くはないのでは。

3.有能な人物を登用する

エリザベスのもう1つの優れた点は、人を見る目があったこと。
幼い頃から死と隣合わせだったからこそ、常に人を観察してきたのだと思う。忠誠心があり有能なウオルシンガムという人を選び、自分の側近に置いた。
暗殺がデフォルトのような時代に、エリザベスも20回以上暗殺のリスクに晒されたが、彼が全て阻止したというから驚き!

当時の世界は正しさだけでは生きていけない。エリザベスができないところを、有能さと残虐さを持った彼がカバーしてきたというのも、イギリスの黄金時代を築くのに必要なことだったのだ。

裏切りや暗殺が当たり前の時代、本当に優秀な人を見抜くのって相当難しいだろうな…
私だったら即死だ。

4.信念を貫く

エリザベスは生涯独身を貫いた、当時ではあり得ないほど珍しい女性。
数々の求婚もあった。自身にも愛している人がいた。でもそれらの感情に溺れず、冷静にイングランドの未来を考え、結婚しない道を選ぶ。

エリザベスの映画の中で、『私は国家と結婚する』と宣言するシーンがあるが、それもめちゃくちゃカッコいいのだ。

そうそう。
エリザベス関連の映画も色々あって、この機会に観てみた。

■エリザベス(1998年)
■エリザベス ザ ゴールデンエイジ(2007年)
■ふたりの女王(2018年)

映画ではエリザベスの恋にフォーカスして編集されている。
映画についても想うことがいっぱい…!あるけど、長くなるので一旦ココで切ります。

続きはまた今度!

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