バラティエに着き、そして旅立った - ONE PIECE視聴記録#2
アニメ・ワンピースを今更見始めたレポ、第2回。
前回はウソップ加入まで。
となれば即ち、第2回は、サンジ加入編なわけです。
実写版でもあかんかったのになんやねんこれ助けてくれよ実写版と展開が全然違うからものすごく新鮮に致命傷を負ってしまったじゃねえかよ助かりてえよ助かりません。
助からないオタクの記録を今、ここへ。
サンジへの警戒心
ありますよ、私にだって。
ワンピースを表面しか知らない私の、サンジというひとりの男への印象。
軽薄で女性好き。
レディと見ればすぐに目をハートにして花を差し出す。
対して男性に対しては基本粗野で口も態度も悪いものの、食事に対して明確な信念を持ち、誰に何と言われようともその信念だけは曲げないコック。
そして足技が強い。
あとはサンジに対しての基礎知識は、「クソお世話になりました」という、ある程度テレビを見る日本人なら1度はどこかで見たことがあるであろう名シーンだけ。
それでも私、わかっていました。サンジはやばいと。
誰に言われるよりも前から、ずっとずっと知っていたんです。
長年オタクをやってきた、私の研ぎ澄まされた勘が、本能が、ずっとずっと耳元で囁いている。
奴は初めこそ沼落ちまでいかないが、後から凄まじい追い上げを見せ私の中の激ヤバポジションに落ち着くことになるやべえ男だ。
何を隠そうこのさけお、能ある鷹はなんとやらで飄々とした男が大好物です。シャンクスは私の浅い知識の中で、ワンピース界におけるその筆頭なのです。
だからサンジは確実にやべえ。私のオタクとしての勘がそう申しております。
身内友人フォロワー各位に確認を取ったところ「その認識で合ってる」とのお言葉を頂きましたこの瞬間から恐怖は始まっています。
そんな中しっかり見届けた、バラティエ編。
やっぱり実写版と展開全然ちゃうやんけ。
鷹の目のミホークとロロノア・ゾロ
まずもって私は、ゾロに狂わされたオタクとしてここを語らねばならないでしょう。
バラティエ到着よりも少し前。霜月くいなという少女と、ロロノア・ゾロの過去がお出しされます。
いやまあ普通にこの時点で死んでるんですけど私。
女性だからこその壁。男性には存在しない女性だからこその、成長過程におけるつらく苦しい現実。絶対的に不変なもの、「性差」。
世界一の剣豪になりたかった霜月くいなという少女、この悩みを抱えている時点でまず私クリティカルです。私そういうのにとても弱いです、それを乗り越えていく過程にも弱い。この時点で涙腺は破壊済。
ロロノア・ゾロというひとりの少年との出会いは、彼女にとって大きな大きな財産だったことでしょう。女だからだめなのだ、と悩む彼女に立ちはだかる現実という壁を、ゾロは、己のその存在で取り払ってみせた。
彼女にかけられた言葉そのものが良かったのではきっとない。ロロノア・ゾロという少年のそれまでの行動が、人柄が、2000と1戦という積み上げてきた時間と経験が、ゾロから放たれた言葉に重みを持たせ、彼女に届いたというわけ。
これからだってところなのに、世の中ってのは無常です。人間というものは簡単に死んでしまう、そう、階段から足を滑らせた程度で。
あまりにあっけなくあっさりとした別れ。受け入れられず、涙も出ず、まだくいながそこで見ているような錯覚すら覚えながら、ひたすら鍛錬に打ち込むゾロ少年の姿にまた私の涙腺は木っ端微塵。
そしてしばらく時が経ち、先生から刀を、くいなの魂を譲り受け、そしてまた私の涙腺は木っ端微塵。
必ず世界一の剣豪になる。
くいなの魂にもそう誓いを立てたゾロ少年ですが、では、世界一の剣豪とは果たしてどう証明するのか?
いるわけですよね、世界一の剣豪。実在するわけですよね、世界一の剣豪。だって大海賊時代だもの。
鷹の目のミホーク。ジュラキュール・ミホーク。
馬鹿みたいな笑っちゃうようなでかさの船を、剣1本で両断する男。
前回も申しましたけれども、ワンピースはあれですね、「憎めない敵」と「憎い敵」のバランスをとるのがひたすらに上手ですね。
クリークのような全てのヘイトを集めていくタイプの敵が現れるときには、憎めない敵もやはり現れる。
クロのときと同じく、これまた悪逆非道の限りを尽くすクリークという男を、その刀1本でおもちゃのように弄び、「何故襲うのか」という問いに「暇潰し」とすら答えてみせる、圧倒的強者・ミホーク。
そのミホークに立ち向かうゾロの姿。圧巻としか言いようがない。
メタ的に見ればまあ序盤あるあるの負け確イベです。ただの1度も負けるわけにはいかない、と豪語する男にこそ、序盤でいっぺん敗北の味を知っていただくというのは今後のためにも必要なことであり、よく見る展開です。
でもさああああああああ………………あんなん見せつけられたら泣くやん誰だって………………
わかってても泣くやん。負け確イベやでどう見たって。負けるで絶対。ほんでどうにかこうにか生き延びるねん、知ってるねん。
でも、心臓の位置に小刀を突き立てられ、あと少し押し込めば心臓に刺さる、というところまで来ておきながら、大事なもののために1歩も引かないその姿勢。
背中の傷は剣士の恥、という台詞、ゾロのものとしてあまりにも有名すぎますが、ここかあ………………ここでなんだあ………………と実写でも呻き、アニメではその8000倍呻く羽目になりました。
ミホークだってそりゃお見事!ってなるよ。天晴れが過ぎるよこんなの。強者として認めざるを得ないよこんなの、そりゃ世界一の剣豪に「ここで死ぬべき男ではない」みたいなこと言われちゃうよ当たり前だよ将来有望が過ぎる。
世界との壁の厚さ、高さ、届かなさを目の当たりにして尚、笑ってあれが言えちゃうんだからそりゃ拍手するしかねえ。
死を間際にして、くいなの顔が浮かぶのは、とてつもなく理解ができます。だって夢を語り合った、必ず叶えると誓いを立てた親友だったのだから。
だけどそこに、もうルフィの顔も浮かぶんですね。その程度にはそれなりの死線を共にくぐり抜けてきています、最古参ですもの、ロロノア・ゾロ。
ナミさんがいなくなったと聞いて、「航海士はナミじゃなきゃ嫌だ!」と言い切るルフィに対し、仕方ねえなあわかったよ、と折れることができる程度には、もうゾロはルフィにかなりの信頼を寄せている。
だって彼別に、「面倒だから自分が動くか」というタイプではないんですもの。面倒だったら寝る男なんですよ。
そんなルフィの顔がよぎって、けれど生き延びて。生かされて。助けられて。
目標にしていた「世界」に味あわされた敗北は、そりゃあつらくて、苦しくて、当然自分のためにだってもう負けたくはないはずなんですよ。
そのゾロの口から飛び出す「文句あるか、海賊王」に繋がる一連の台詞たち。
くいなとの約束だけではない。
自分の目標だけでもない。
「ルフィの仲間」としての「剣豪」の意味を見出して、敗北の場でそれを口に出すその重みたるや。
そしてそれを「船長」に誓う重みたるや。
自分だって飛び出したいのを我慢して、ぐっと堪えてゾロの戦いを見届けて。
生きてるとわかるや否や、ゾロの誓いを聞くや否や、にっこり笑って「(文句)ない!」。
私という屍が生まれました。
これです。私、実写でこういうの(広義の概念)に焼かれて、アニメ見ることにしたんです。
実写版ではミホークとの戦いはかなりあっさりしたものでした。当然ですどう考えたって尺が足りません。足りない尺の中でよくもあれだけ違和感が出ないよう詰め込んだものです。
だから事前にわかっていました。アニメはもっと尺をとって、もっとしっかりお見せしてきて、もっとしっかり私の心を刺しにくる。
わかっちゃいても致命傷を負うのがオタクってワケ。
サンジという完全なる新参者を前にして、最古参と船長の信頼関係を全身全霊でお見せされてしまい、あたしゃもうね。ありがとうございましたとしか言えません。例の画像のヤムチャの状態です。
ロロノア・ゾロ、世界からの敗北。しかし敗北を知る者は強くなるのである………………(ここで語彙を失う)
サンジとゼフ
サンジとゼフの過去については実写版で初めて知ったタイプのオタクです。
ゼフの失った足の扱いに差はあれど、大まかな流れに差はありません。ふたりは共に遭難し、岩場の上に打ち上げられ、そして長い間耐え難い空腹に耐え忍びながらどうにかこうにか生き延びる。
そのどうにかこうにかが重すぎるねんて。
大丈夫?人数を経る毎に重くなっていってない?最古参のゾロが軽く見えてしまうレベルとちゃうか?大丈夫か?でもゾロにもどうせ今後系譜となる何かが出てきたりするんだろうなあ(遠い目)。
生き延びられたら海の上にレストランを作って、腹を空かせた人間にはみんな平等に飯を作ってやる。
そんな夢を口にしたゼフに対し、己の命がゼフの足を犠牲にして成り立っていることを知ってしまったサンジ少年、そりゃあオールブルーの野望だってかなぐり捨ててそばにいたくなってしまいます。
失った足は返ってきません。赫足のゼフと呼ばれた蹴り技だって、あの足じゃあ全盛期と比べちゃったら威力半減どころの騒ぎじゃありません。
オールブルーという同じ夢を見たコックのじじいの、足の上に成り立つ命。重すぎんよ。重すぎんだろ。
ゼフ的にはこんなところで油売ってないで自分のやりたいように生きて欲しいわけですよねサンジには。でもふたりともあまりにも不器用すぎる。意思が頑なすぎる。こんな、こんなの、どうしてくれんだ(私の情緒を)。
ルフィという存在の眩さ
そんな頑なな男サンジだって、ルフィ相手にはさすがに戸惑います。だってルフィだもんな……。
何故ああも怯まないのか。
何故ああも己の危険を顧みず、前に進むことができるのか。
クリークと戦っている最中のルフィなど、サンジにとったら意味わからんが過ぎますよね。そもそも問題、「店の雑用から解放してもらうという条件のため東の海イチと言われる大海賊団に丸腰で突っ込んでいく」なんてもうこの時点で普通は意味がさっぱりです。
でもルフィだから仕方ないんだよなあ。
ルフィは1度やる!って決めちゃったが最後、全身全霊でそれを貫き通す男です。世間一般の損得勘定なんて通用せん。やるっつったらやるんだよ、という男。
ゼフへの恩に報いるため、自分の夢を縛り付けて海の底に沈めていたサンジにとって、この男、どんだけ眩しい男なんだ。
腹の中に1本、しっかりと据えた槍。サンジの中にだってあるのに、ずうっとそれを折り曲げて、犠牲にして………………。
ハイではここで思い出してみましょう。私のヘキは?自己犠牲に走りがちな人間ですね。もうだめです。
ついでに言えば自己犠牲(広義の意味で)に走りがちな人間を、ひっ叩いて引っ張り上げてしまう人間のことも好きです。間違いなくルフィのことですね。
ルフィ、周りに与える影響が良くも悪くも甚大過ぎる。最早序盤のこの時点で既に劇物臭がします。眩すぎる、強すぎる。翳ったり曇らされたりすることがあれば私はきっと死んでしまいますでも私知ってるんだ、あるんだよ絶対そういう展開。
ルフィってなんなんでしょうね。前回も同じことを思った気がしますが、今回もサンジ加入までを経てやはり思いました。ルフィってなんなんだよ。底が知れねえよ。
底が知れない、太陽のような劇物のような存在が、ただの人間であることがわかるシーンというものがいずれお出しされてしまったら、私はもうだめだと思います。
バラティエという場所
ゼフが夢見て、サンジと作って、今となっては荒くれ者の戦うコックさんが集まる場所、レストラン・バラティエ。
すぐ手足が出るし、客と喧嘩するし、厨房でだってコック同士がしょっちゅう喧嘩をしているような、ちょっとどころかだいぶ騒がしいレストラン。
でも死ぬほどあったけえ………………
みんながサンジのことを大事に思ってて認めているのくらい見りゃわかります。
わかりますけど、見りゃわかるのとお見せされるのとは受ける致命傷の深さってもんが違います。
先述したように、サンジがバラティエを旅立つシーンだけは存じ上げていました。クソお世話になりました、の部分だけですが、そこだけはいろんなところで繰り返し目にします。
風邪ひくなよ、という、てんで全く素直でないゼフから飛び出す優しい声音も、実写版で吸いました。
でもサンジが出ていくのはコック達の猿芝居とその真意をうっかり筒抜けで聞いちゃった結果だなんて聞いてない。
急にあからさまな芝居が始まった時点で私の涙腺は木っ端微塵や。当たり前やろ。あんなもん泣くなって言う方が無理やねんな。
このスープ作ったの誰だ?って言われて、嬉しそうに俺だ!自信作だ!って声を上げる時点で、普段だったら遠回しに喧嘩腰でわかりにくく褒められているのかなと思います。それかそもそも、これ作ったの誰だ?なんて、サンジがやったってわかってるはずなので絶対言わないようにしているかの二択です。
あんな嬉しそうに声を上げる時点で、少なくとも「不味い」なんて言われるとまるで思っていない。自分の料理への自信もそりゃあるだろうけど、相手への信頼があって初めてあんな顔ができるってもんです。
だいぶいろんな角度からいろんな意味で泣きました。
あの素直じゃないサンジが、「チビナス」の顔をして嬉しそうに俺だ!って名乗り出るの、あんまりにも優しい世界じゃないですかどうしてくれるんですか。
でもコック達はサンジのためにひと芝居打つことになっているのでサンジのスープをけちょんけちょんにします。
そしてゼフもまた、食べ物を無駄にしないよう全て飲み干した上で、皿を割って不味いと叫ぶ。
そしてその後あっさり耳にすることになる、コック達の真意、ついでに荒くれ者らしい詰めの悪さ。
でもきっと、サンジにバレてもバレなくてもどっちでもいいから、話してぶつかりゃ済む話だから、多分本当はみんなバレてもバレなくてもどっちでもよかったんですよね。とか思ったりして。
実写版では誰も口に出さない、物語の表面にはゼフの風邪ひくなよ、以外基本言葉として出てこなかったバラティエの面々の優しさと愛情は、アニメだとこうもダイレクトに……出るんだなあ………………(致命傷)
寂しいじゃねえかってみんなが泣き始めるなんて思ってなくてもう致命傷どころの騒ぎではありません。私はね、「風邪、ひくなよ」と「クソお世話になりました」しか知らんねんて。
最後まで憎まれ口叩きながら荒っぽく見送られるのかと思ったら、ちゃんとたっぷりの優しさと愛情をダイレクトにもらって旅立っていくサンジという男、そしてバラティエという場所。あたたかすぎて書いてる最中もうっかり思い出し泣きできちまうわ。
荒かろうが、口が悪かろうが、バラティエの面々はサンジのことをいい仲間、いい弟、いい息子のように思っていたのだろうな……と思うなどして、私が立派にご臨終です。
30/1073
サンジ加入、旅立ちまでを見届けたので、30話見たことになりますね。
もしかしなくても思ったより早くない?え?まじ?もう30話?実写版に追いつくまであと15話しかないやんちょっと待てや。
ナミさんに視点が移り、いい奴らだったなあ、と寂しそうに言いながら、アアア!!!!ナミさん!!!!!!ともう既に胃をキリキリ痛めていたというのに。
「自由の身になりたい」と泣き出したじゃあありませんか。ちょっと待ってくれ。
いやほんまあの、ちょっと待ってくれ。ここまでずっと、ずっとずっとずっとずっと、強かで、抜け目なくて、優しいんだけどいつもいつでも自分と自分のお宝のことだけを考えているナミさんを、見せつけられてその上で。
その上で、「早く自由の身になりたいよ」なんて泣かれたとあっちゃあ、ちょっと、ちょっと待ってくれよ。オタク助からないよ。
ナミさんを見ていると、私がついついサンジになってしまいます。泣いてるレディを放っちゃおけねえ。
サンジ加入編は見始める前にちょっとね、あの、怖いなー、怖いなー……みたいな、画面の前でうろうろする時間がありましたけど、ナミさんはちょっと、ちょっと待ってくれ。今すぐ、今すぐナミさんを助けに行かないと、ナミさんが、ナミさんが泣いてんだろうがよナミさんを泣かすんじゃねえよこの野郎!!!!!!!!!
だけどもだけど、サンジ加入までのこの流れ、感想を書き留めておかないと先になんて進めない。わかってる。だから私は今泣きながらこれを書いています。
私この気持ち知ってる。1作目のラストでハピエンだと思ったのにヨシュアがいなくなって手元に続編の2作目のソフトがなくてヨシュアをすぐに探しに行けず発狂したときの私だ(英雄伝説空の軌跡は名作ですが必ずFCとSCを手元に揃えてからプレイしてください)。
サンジ加入編、総評して言えば、サンジはどう考えてもヤバいということがわかった、という感じでした。ヤバいやろあんなもんどう考えてもよ。
ゼフのじじいで私が木っ端微塵になることはわかっていたのでバラティエの面々は本当にだめでした。ギンなどもいいキャラしてましたね、いい奴すぎる。ひとりひとり語り始めたらキリないんやてこのアニメ。
サンジやばそ〜〜〜〜〜怖〜〜〜〜〜〜〜ハッハッハッハ!!!!!!と思いながら、今はとにかくナミさんを、ナミさんを救いに行かなくては。ナミさんが俺を待ってる。待ってろナミさん今行くからな。そんなわけで行ってきます。
ところでサンジがただのヒロインになるターンがあるって以前Twitterでうすらぼんやり吸ったことがあるような記憶がよみがえってきたんですけど誰か嘘だと言ってくれませんか?
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