そう信じて、丁寧に。
みとみとのお人形を作りたい
にじさんじ所属のヴァーチャルVtuber、月ノ美兎の活動休止中に私は、みとみと人形を作っていた(私は月ノ美兎ちゃんのことを“みとみと”と呼んでいます)。これは、みとみとの誕生日が近いからとかではなく(たまたま近かったのだが)、なんとなく思いつきで作り始めた。
みとみとのアイドル衣装がとにかく大好きで、初めて彼女を知ったのも『ウラノミト』という曲で、そのMVで着ていた衣装がそれだった。らくがきみたいな感じで手帳に色々書いてたら「アレ、これ可愛いな。作れるかもな」と思い立ち、急いで手芸屋で材料を買って作り始めた。思い立ったが吉日。善は急げ。言うとりますけど。
服を作るのがここ1、2年で獲得した趣味なのだが、こういうお人形みたいなのを作るのは初めて。ラフスケッチはサラサラサラ〜っと描けたけど、実際作ってみると当然一筋縄ではいかず。かなり苦戦した。なるべく忠実に再現したくて、布から一つずつじっくり選び、服も実際の人間が着るものの型や作り方を参考にしながら自分で型紙を作り、理想の形になるように試行錯誤した。
「ある曲」に出会う
みとみとお人形をつくっている最中、ある動画をたまたま見た。
これは人力ボカロと言って、有名人やVtuberの配信中の声などを調教して歌わせる、ファンアート的な作品(私の認識ですが違ったらすみません)。この動画の方は、月ノ美兎の声を使って椎名林檎の『人生は夢だらけ』を歌わせている。曲はCMで聞いて知っていたし、みとみとに合う曲だな〜とか思いながら聞いた。
その後、原曲が気になり椎名林檎の『人生は夢だらけ』を初めてちゃんと聴いてみた。
この曲が、人形作りに苦戦している今の状況と歌詞が偶然にも重なった。ひいては、ものづくりにおける苦労と、その先にある喜びみたいなものが歌われていて、作業しながら聴いていてとても励みになった。別に、このみとみと人形は自分のため、自己満足のためでしかなく、その先に誰か喜ぶ人がいるわけではない。でも、いやだからこそ響くものがあった。
ファンアートで、凄い技術を使っていたり、エライ労力がかかった素晴らしい作品をたまに見かけるが、ああいうのも「この世にあって欲しいものを作りたい」という気持ちが原動力となっているのではないか、と思う。ファンアートに限らず、ものづくり全般に言える。このみとみと人形も、公式で「アイドル衣装を着たみとみとのぬいぐるみ」が発売されていないから作った。
「きっと違いの分かる人は居ます そう信じて丁寧に拵えて居ましょう」と言う言葉には元気付けられる。すぐに成果が出なかったり評価されないことを続けるのは不安で苦しい。孤独だし、報われない日々に嫌気が差してくる。でもごくたまに、本当にたまにだが、自分の、ものに対してのこだわりや想いっていうものを分かってくれる人が現れる。そんな時は本当に嬉しい気持ちで胸がいっぱいになり、その人と握手を交わしたい気持ちになる。特になんのアクションも起こさないが…。
“人生は夢だらけ”だと、まだ実感するには至って居ないので「そうであったら良いな」という祈りの気持ちに近い感情を心の隅に置きながら、報われない日々にめげず、やっていきたいと思う。
P.S 月ノ美兎ちゃん、復帰おめでとう。
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