日体大記録会での無念、そして今後

まずこれをご覧になって頂きたい。
 

ご覧頂くとお分かりの通り2組目の記録が無いのだ。

続けてこの資料を御覧になって頂くとこのレースの重要さが分かって頂けると思う。 

箱根駅伝予選会に参加するには9月30日までに
エントリー者全員が10000m34分以内のトラックでの公認記録を有していることが必要なのだ。

9月22日(土)の日体大長距離記録会は箱根駅伝予選会のエントリーのための実質的な最終トライアルだった。

この日悲劇が起きてしまった。

この日の出来事を参加選手、運営、機器メーカー三者に取材をしその日を振り返る。

まず選手への取材から。

この日まず1組目がスタート位置に並び終わった後、機材の故障でタイムテーブルが遅れる旨の放送があった。

本来の1組目のスタート時間から40分位たった頃
各スタート時間を70分遅らせて競技を進行すると放送された。

広報課を通じてこの日運営を担当したスタッフから詳細をお聞きした。

まずこの日は記録会前の雨の影響で機材の調整に非常に時間がかかったそうだ。

日体大の機器担当では無いメーカー2社に取材をしたが
カメラを含む一式の機材は天候、温度に非常に影響を受けやすいそうだ。

部屋の中で温度管理された場所での使用がベストとのこと。

そしてカメラだけでは無くパソコン、スタートに使うピストル、そして配線、地中に埋まっているケーブルなど天候に非常に影響を受けやすいとのこと。

70分遅れの1組目がスタートする前には機器は正常に動く状態に戻ったそうだ。

この時この機材がダメであれば手動時計で記録会を始めようかとの検討もなされた。

70分遅れでスタートした1組目の選手は気持ちの面でも調整面でも大変な状況の中スタートしゴールした。

2組目の選手達は70分遅れのスタートをアップを続けながら待っていた。

しかしこの2組目で悲劇は起きた。 

ここからは選手の声。

2組目を走っていてまずおかしいと感じたのは周回表示でした。

残りの周回数を示す数字が本来の数よりも一つ多く表示されていました。

それが記録と関係あるのかはわかりませんが気になって自分の時計と表示時計を確認したところ一回タイム進行が止まっているのが見えました。

他の選手からも『周回おかしいよね』との声が聞こえたと言います。

最終的にタイムは戻り少なくともゴールしたときには
正常に動いていました。

一体何が現場で起きていたのか?

続いて運営スタッフの話。

周回員(選手の周回を記録する担当)がトップが残り3周の時に誰がトップかを見失ってしまった。

選手が多く周回遅れの選手も出て判断がつかなくなった。

ここで周回を表示する掲示坂も3のままになった。

先頭が残り一周の時点で先にゴールする選手のためのコース誘導用にパイロンを並べ出す。

このパイロンを並べ出すことでゴールカメラを担当するスタッフがゴールの記録の準備をする。

しかしこの準備も出来ずに選手が次々にゴールした。

選手が続々とゴールをして運営スタッフも異変に気付きスタッフ全体がパニックになってしまった。

この点をメーカー側に聞いた。

ゴールのカメラは選手がゴールする手前で手動でスイッチを押し記録を始めゴールした後にスイッチを放す。

スイッチを押した時から録画を始め離した時に録画が終了。

これがパソコン上に保存される。

それで1人一人のタイムを判定出来る。

このパターンが記録会や大会では一般的だそうだ。

カメラが故障した時のためにもう1台設置したり
不測の事態に備えて手動のストップウォッチで記録を取っているのが通常だがトップを見失ってしまうとゴール地点の最終タイムを記録出来ない。

トップを見失ったら完全にアウト。

こういうことだった。

数々の大会にスタッフとしても参加しているメーカー担当者によると1レース40人が限界だろうと話す。

20人前後がベストたが現実的に40人前後でレースは行われている。

しかしこれ以上増えると見失う確率は高くなる。

40人のレースであれば周回の確認を担当するスタッフは10人は必要だと話す。

今回選手によると約60人が参加していたそうだが運営スタッフによる報告では周回を担当していたスタッフは一人。

ここに大きな問題があった。

ここ10年間一度もこういったことは起きておらず
驕りがあったかもしれないと運営スタッフ。

運営側は完全に非を認めており今後の記録会ではスタッフの配置を見直す予定。

筆者もかつてある県の中学の県大会3000mで一周早く選手をゴールさせてしまいそのレースをその日の最後に再レースし最初のレースで優勝した選手が2位になってしまったレースを目撃している。

この一連の件に対して日体大は『選手の皆さん、そして関係者の皆さんに深くお詫び申し上げます』とのコメントを発表した。

完全な人的ミスと運営スタッフ。

このレースの参加費を選手全員に返却することを決定。

9月30日(日)に開催される日体大陸上競技会の中の夕方のなるべく遅い時間に再レースを行うことも決定している。

選手の方に一番力を発揮して頂ける時間にレースを設定すると広報課担当者。

全面的に非を認めて再発防止への対策を行うことも大学側は決めた。

選手の皆さんに取って2週続けての10000のレースは相当過酷だと思う。

箱根予選会出場を年間スケジュールの最大目標に掲げているチームもある。

そのチームの選手の気持ちを考えると居たたまれない。

こうなってしまったことは無念で残念だが気持ちを切らさず最後のラストチャンスにかけて頂きたい。

今回の件を悲劇で終わらせず次のステージに是非つなげて欲しい。

そして大学、運営側にはより一層の競技会の運営強化、そしてマニュアルの見直しの徹底を期待しここでひとまずベンを置く。

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