2023 東京新聞杯 回顧

【評価】
◎ウインカーネリアン
◯ファルコニア
▲ピンハイ
△エアロロノア


1着:ウインカーネリアン
・G3以下なら先行力と対応力を活かして安定してまとめられるセカンドクラスの先行馬。
・自身より強い相手を後ろから差すという資質は持っていない。
・G1でも逃げ切れるような痛烈な前向きさも持っていない。

◯:先行力、基礎スピード、対応力、(延長)、(体力)
×:格上げ、差し

ほとんど基礎スピードのみが求められる単調な競馬で前に行く形が綺麗にハマってスムーズに勝ち切り。
セカンドクラスのレースでは混戦になる事が少なく、単純に先行力が活きるので安定するがG1となるとまた別の要素が求められる。
走破時計が優秀と言われているが、勝ち方としてはセカンドクラスそのものなのでこの馬に対しての評価は据え置き。
今後もセカンドクラスのレースで評価。中山マイルだけはレース質が少し違うかもしれないがそれ以外は問題なく対応出来る。


2着:ナミュール 
・心身のタフさが薄く、少頭数戦や高速馬場等、心身に負担の少ない条件で運動神経を活かしたいタイプ。
・エネルギーが充電されている休み明けなら苦手な局面でもある程度対応出来る。

◯:休み明け、少頭数、トップスピード
×:連続好走

場自体は合っていたがこの馬が位置を取れる事が想定出来なかった。
ここ2走の中距離G1のタフな経験と、前走で距離を気にして(あえて?)控えた事をフリとして使い、休み明けのダウン戦+東京マイルという相対的に軽い条件で位置を取って尚且つ好走出来た。
2200からの大幅短縮という字面だけで判断するのではなくその臨戦の中身を見る事の意味を学びました。
最後はしっかり垂れていて躍動感のない挙動。今回はダウンの優位性を最大限活かして雪崩れ込む形となったが、基本的に前向きさに欠けるタイプでダッシュ力がないので差し競馬になる。タメを利かせて瞬発力を生み出し、少頭数戦で間に合わせるという構図が合うタイプ。


3着:プレサージュリフト 
・体力が豊富なのである程度位置を取って飲み込むような形がベスト。
・休み明け、少頭数、外枠、延長向きの分かりやすいタイプ。

◯:少頭数、休み明け、延長、体力、ダウン
×:ダッシュ力、競り合い、格上げ、短縮

前走の先行からフッと差しに回る事で追走の負荷を軽減しつつ、瞬発力がなくても雪崩れ込みでギリギリ届く位置で留める好騎乗。
広いコースの単調な競馬が合うタイプで、短縮+格上げのようなレース質が厳しくなる条件が最も合わない。その場合は道悪や少頭数のような救済材料が欲しい。


4着:ジャスティンカフェ 
・自身より弱い相手に対して外からのスムーズな競馬で運動神経で圧倒したいタイプ。
・ディープ産駒っぽい一気のギアチェンジ的な脚の使い方ではなく、ピッチを速くして徐々に徐々に加速していくタイプなので揉まれない位置でスムーズに助走を取りたい。

◯:運動神経、少頭数、外枠、ダウン、広いコース
×:摩擦、競り合い、ダッシュ力

上手く馬群を捌いて外に出しながら加速出来たが、最後のプレサージュとの併せ馬で競り合いの良さを露呈。
ダウン臨戦の優位性もあったこのタイミングで交わせないとなると、対応力に疑問がつく。
人気になりやすいタイプだが好走レンジはかなり狭そう。


5着:エアロロノア 
・位置を取れないので少頭数かダウン臨戦でカバーしたい。
・強い相手に対してどうこう出来る強い精神力は持っていない。
・瞬発力特化タイプのイメージがついているが案外持続質とか安定感寄り。

◯:スピード、ダウン、少頭数
×:ダッシュ力、前向きさ

前走の内枠からの好位競馬から今回差しに回る形。
連続して前に行ってしまうと負荷が掛かる形だったので、自身のパフォーマンスを落とさないという意味では差しに回ったのは良かったが、短縮で前に行く形が単調なレース質にハマったナミュールとは対照的な構図となってしまった。
スピードタイプではあるものの、豪快に差し切ってくるような痛烈さ、前向きさを持った馬ではない。
福永がそうだったが、武史や川田等、位置を取る意識の高い騎手が乗った時が面白い。タメての差し競馬なら明確にそれが届く条件設定(道悪、少頭数)が欲しい。


6着:マテンロウオリオン
・接戦でも最後まで頑張れる精神力がある。
・ダッシュ力と追走力がないので、延長や少頭数で位置を取りやすくなるのがベター。
・G1だとワンパンチ足りないので、軽い凡走後の延長でG2という臨戦が合いそう。

◯:競り合い、延長、(対応力)
×:ダッシュ力、追走力

位置を取れた割に結果としては物足りなく映るが、それよりもこの馬が位置を取れるようになった事を喜びたい。
そもそもの基礎スピードの要求度が高過ぎて、混戦向きのこの馬の精神力の強さを活かせる場にならなかったのが大きい。
差しが決まりやすい混戦NHKマイルで派手な追い込み競馬をしているが、この馬の本質はシンザン記念の時のような持続質の競り合いでしぶとさを活かす形だと見ている。
この後の延長や中速の持続質戦で。


7着:インダストリア
・トップスピードはそんなに速くないがパワーがあるので小回りコースで飲み込む形が合う。
・道悪や少頭数等、ダッシュ力の弱さをカバー出来る要素があるとベター。

◯:パワー、道悪、少頭数
×:トップスピード、ダッシュ力

やはりスピード<パワーという馬らしい内容。
今回の格上げを苦にした印象はなく、それなりに対応はしているもののどうあがいても連対はあり得ない条件設定だったというような印象。
前に行ってスピードを活かす形がフィットする軽くて単調なレースなので仕方ない。
マイルならパワー持続質の中山がベター。それ以外の場所だったら道悪やハイペースで差しが決まるような展開が欲しい。


8着:ピンハイ
・精神力が強く、内枠や馬群、競り合いを苦にしない。
・対応力もそこそこあるので得意条件以外でも割と安定する。
・馬体が小さく、道悪等で体力を要求されてしまうと対応し切れない。

◯:内枠、競り合い、馬群、(対応力)
×:体力、ダッシュ力

この馬が能力をしっかり発揮したのに単調なレース質に合わなかった、という内容ではなく、休み明け馬体減の影響か、60%くらいの走りしか出来なかった見ておくのが良さそう。馬体の成長を待ちたい。


9着:ファルコニア 
・ディープ産駒だが上がりのトップスピードに特化しているタイプではない。
・これと言った武器はないがしっかり位置を取れて無難にまとめられるので、G3以下のセカンドクラスの混戦で前で出し抜く形を取れる。

◯:対応力、安定感、ダウン
×:トップスピード

理想的な先行競馬だったが最後は垂れてしまった。東京の長い直線でスピードを持続させられなかったのと、単純に能力の問題もあった。
本当に安定感だけで勝負出来るくらいさらにレベルの低いレースで。


10着:タイムトゥヘヴン
・毎回上がりは使えているが個体としては重く、基礎スピードはやや物足りない。
・上がりの掛かる差し競馬や、パワーを活かせる坂コースが合う。
・加速力はあるがそれを持続させるのは得意ではないので小回りコースが合う。

◯:パワー、加速力
×:ダッシュ力、基礎スピード

ダッシュ力の弱さから後方に。高速スピードの持続力ではなく、パワー主体のギアチェンジタイプなのでこの舞台は厳しい。
連続連対のような良いリズムの高揚感がある状態なら多少の苦条件でも乗り越えて来るが今は違う。現場は好走レンジが狭い。


11着:プリンスリターン 
・スピードや体力等のフィジカル能力に頼らず、精神力の優位性で好走するタイプ。
・道悪向きのタフさには欠けるので良馬場の持続質戦で。

◯:競り合い、内枠
×:道悪

走りがかなり重かった。1年以上の休み明けなので仕方ない。
この後ガラッと変わる雰囲気もまだ感じないのでもう少し様子を見たい。


12着:カイザーミノル
・1400〜1800のスピード質の競馬で持続質と精神力を活かしたいタイプ。
・加齢の影響か、前向きさが少し弱まっているので優し目の条件の方が走りやすそう。

◯:基礎スピード
×:格上げ、パワー

スピードの持続力はあるが、タメてキレるタイプではない。
位置を取れないとここ3戦のように善戦止まりになってしまう。
今は高速馬場の少頭数の1800くらいがちょうど良さそう。


13着:ピースワンパラディ
・トップスピードが物足りないのである程度位置を取って持続力と精神力を活かしてしぶとく粘る形を取りたい。ポタジェ、ファルコニアと似たタイプ。
・自身で派手なパフォーマンスは出せないのでレース質や相手関係次第で着順が上下するイメージ。

◯:持続質、競り合い
×:トップスピード

出遅れ。
前に行ってパワー寄りの持続力を活かすタイプなので後方からでは厳しい。
中山のマイルか1800で1回見てみたい。


14着:サクラトゥジュール
・上がりの掛かるタフな差し競馬がベスト。
・ダッシュ力がない割に前向きさが強くて折り合い難。短縮ハイペースでコントロールを効かせたい。

◯:パワー、体力
×:ダッシュ力、トップスピード、折り合い

道中の追走からほとんど覇気が感じられなかった。
12月、1月と中山で2つ人気以上に激走して来た疲労が出たイメージで良いかなと思う。
前向きさが強い分、好凡走の波が激しいタイプなのでこの直後は手を出しづらい。数戦凡走を続けるかもしれない。


15着:シュリ
・緩いレースでスムーズに先行出来ればしぶとく残せるタイプ。
・前向きさやトップスピードを問われると厳しいのでダウンや延長が合う。

◯:スロー、ダウン、延長
×:短縮、トップスピード、格上げ、体力

スローペースで余力を残した逃げ・先行がこの馬の得意な形。
淀みのない高速レースをしっかり追走してしまってエネルギーが切れてしまった垂れ方。
好走レンジはかなり狭いが、そこにハマりさえすれば人気に関係なく好走出来るので、低レベルなスロー前残り戦狙いで。


16着:ショウナンマグマ
・精神力や対応力がないので先行して惰性でどこまで残せるかという一本調子な形になる。
・先行力があっても基礎スピードがある訳ではないので小回りコースでクルッと回って逃げ残す形がベスト。

◯:ダッシュ力
×:対応力、精神力

格上げ+ペースアップという二重苦でしっかり凡走。
低レベルな小回りコースでクルッと回って惰性で。


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