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今、中国では

何が起こってるのか、全く分からない。というのが正直なところ。

それもそのはず、中国の情報といえば、ネガティブなことばかりで私は「キライになれキャンペーン」にしか思えないし、日本からの渡航にはビザが必要なので行ってきた人の話もなかなか耳にする機会がない。

そんな中、上海に住む友人、徐麗が仕事を兼ねて来日、今回は中国人のご主人も一緒とのことで、ン十年ぶりの再会を果たしてきた。

出会った当時は私は留学生、彼女は中国の美大の付属中学の学生だった。日本の美大に留学経験もある彼女は、今や自分のアトリエを持ち、国家プロジェクトや企業案件など、実に様々な仕事を手掛けている。

加えて、陶磁器で有名な景徳鎮にアトリエを持ち、コレクター向けにとても素敵な自作の絵を施したお皿や器などを制作している。

そんな大成功した彼女に、何食べてもらおうかと悩んだものの、意外にもあっさり「とんかつ食べたい」とのことで、地元の名店に案内。


徐麗の作品たち、美しすぎる

今中国は

日本にきて不便なのは「現金!」だって。こちとら新札が発行されてワーワー言っているというのに(笑)

スマホ決済なんてのはとっくの昔の話で、今や買い物なんかは「網膜認証」で機械に顔を見せて本人と分かったらチャリンと引き落としされるという、もはや便利を通り越してSFなのかホラーなのか分からない域に達している。
(私は怖い)

本屋さんでの支払いにめちゃくちゃ手間取っていた

ってか、私中国行けるのか?

これを聞いてふと思ったこと。「私中国いけるのか?」

実際、この網膜認証だのスマホ決済ができるのは「中国国内に口座を持っている中国の人」であり、じゃあ仮に私が旅行で君たちに会いに行ったらどーすんの?と聞いてみたら

「そりゃ不便だわー」の一言。いやいや、その策を聞いてるんだわ、こっちは。

「誰かが一緒についてて、その人が先に払って後でお金渡すしかないよね」って、一周回って外国人には不便になってます!

お土産はアート靴下、オシャレだった!

こういうのが中国なんだよ

行き交う車を見ながら「日本はまだまだガソリン車が多いね」と。聞くと中国では殆どが電気自動車とのことで、友人に「あんた何乗ってんの?」と聞いたらあっさり「テスラ」と返ってきた。

でも、と夫さんが嘆く「中国、環境汚染のこと、何も考えてないんだよね」と。「ガソリンだって環境汚染だよ、電気のほうがエコなのでは?」と私が聞くと

「その電池、ゆくゆくどうすんの?まで考えてない」便利を追い求めるがあまり、そこで生じるであろうリスクや不便を一切考えていない、というのが中国式と言いたいのだ。

実際2人は事業をしっかり行っていて、蓄えも稼ぎも十分にあり、目の前のことだけに夢中になるだけではなく、もう少し広い視点で国というものを見ているような感じだった。

やっぱ、お金稼ぎに興味ありまっか?

ものすごい下世話な話なのだけど、私がとても興味があるのは、現代の中国の人が何を考えているのか、ということ。

お金を稼ぐことに並々ならぬ闘志を燃やす中華圏の方に、「あなたにとってお金とは」を真正面から聞いてみた。が、意外にもこんな答えが。

「多くの中国の人はお金を稼ぐことに躍起になるんだけど、自分はそうでもないんだよね」「今52歳なんだけど、50を境にそう思わなくなった」と。

「自分は食べていけるだけのお金があればいいと思う(これは私も同意)、そして、『人には持てる器の大きさ』があると思うんだよね。ジャッキーチェンはとてもお金を持っているけれど、彼には彼の器があって、たまたまそれが人より大きかったというだけの話であり、自分は自分の器の大きさを分かっているので、そこを満たせばそれでいい。ジャッキーになりたいとも思わない。そもそも器の大きさが違うんだから」

「人はそれが分からないから、あの人みたいになりたいとか、もっと稼ぎたいとか上を見るんだけど、皆自分の器がどのくらいかが分かれば、苦しくもならない、穏やかにビジネスをしていくことができると思うんだよね」

と、もう、とんかつ食べる箸なんか空中で止まったまま、じっと彼の話に聞き入っていた。

私「ちょちょちょ、ちょっと待って。私、今孔子と話してる?」と言うと、オットさんは軽やかに笑ってこう言った。

「50になれば分かるよ」と。

確かに、孔子は言っていた。「五十にして天命を知る」と。それは器の大きさのことも言ってたのかな、なんて思ったり。

と。もう、とんかつ屋のフロアに居た全員に「皆さーん、この人イイこと言ってるので聞いてくださいー!!」って言いたかった。

中国の人のオモテナシは、大きくて豪勢にするのだ

私も友人も40代、今はそうは思えないよね、がむしゃらだよねと頷きながらも、50を過ぎたら何を思うか、少し楽しみにもなってきた。

中国の人は、時折こうやって人生の叡智というか本質というか道理みたいなものを雑談レベルで出してくる。この瞬間がたまらなく面白い。

こういうエエ話を聞きたいがゆえに、中国に行きたい現在。

そして中国の人、メディアで報道されるネガティブなイメージがあるかもだけど、私が知っている友人たちは皆、知的で品格があって、人として尊敬する。

こんな中国人も、少なく見積もって数億人はいることも、頭の片隅においてくださいまし。

9月1日 サカシタカオリ


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