Cameron Gravesを見た 20.02.16

カマシ・ワシントンのライブは来る度見に行っていて、フジロックにも行ったくらいなのだが、それでも見られていないのが、ピアノのキャメロン・グレイヴスだった。『The Epic』のオープナーである「Change Of The Guard」のイントロ(勿論ソロも)や、ちょっとタメが過剰とすら思う「Clair de Lune」のピアノ、勿論『Harmony Of Difference』『Heaven And Earth』にも欠かせない、West Coast Get Down(WCGD)のメンバーの一人なのだが、なぜかこれまで、カマシの来日に帯同して来たことはなかった。大抵はスタンリー・クラーク・バンドに帯同し、むしろそっちで来日してたりする。


今年も年明け早々にスタンリー・クラークとタブラのサラー・ナダーとのトリオで来日していたが、今回はリーダー公演で来日。まちょっとカマシ・バンドで見たかった節も無いではないが、リーダーアルバム『Planetary Prince』がなかなかよかったし、これは行こうと目星をつけていたライブだった。

いきなりピアノを弾きながらMCしだして、意外にそういうタイプ?とか思っていたが、そのままソロピアノに入り、ソロピアノが終わるとドラムのカウントでバンドが入る、というのが基本の展開のようだ。事前に、メタルとか、ドラムのマイク・ミッチェルの音がデカいという前評判を聞いてはいたが、ドラムの音量・音圧がデカ過ぎだし、曲調もマジでメタルっぽくて、テーマメロディも早弾きとかで笑う。しかも使ってるギター、レスポールと、8弦ギターとかだし。キャメロン自身もそうだが、全員まるで破綻なくやっててそこも笑う。メタルやハードコア系は疎いのであんまり分からないが、個人的にはアル・ディ・メオラ在籍期のリターン・トゥ・フォーエヴァーなんかを思い出す。今聴くとそれもちょっと違う気がするが。


マイク・ミッチェルは若い頃にハービー・ハンコックと共演していたという話を聞いたが、後で調べたらキャメロンとはスタンリー・クラーク・バンドのバンドメイトのようだ。音量・音圧はロナルド・ブルーナーJr.(の単独公演を目の前で見たとき)以来というレベル。ゴスペルが基本ながらパワータイプ。こんなドラマーが他にいたのか。しかしこれはこのバンドで目の前で見ないと伝わらないだろう。それが歯がゆい。

(↑スタンリー・クラーク・バンドでのマイク・ミッチェル。隣でキーボードを弾いているのが恐らくキャメロン・グレイヴス)


MC混じりで始まるキャメロンのソロピアノがすごく良くて、流石はあのカマシ・バンドのピアニストだなと。音がすごく力強くて、ソロピアノのアルバムとか、なんならクラシックのアルバムを出しても凄そう。そこからバンドインするとメタル調になるからギャップが激しい。しかもリーダーがピアノて。

キャメロン・グレイヴスはカマシとの来日が無く、これまで見るチャンスがなかったため、ちょっと謎な存在ではあった。しかし今回のライブを見て、彼がスタンリー・クラークのバンド(スタンリーはリターン・トゥ・フォーエヴァーの結成メンバーだ)に参加している理由が分かった(マイク・ミッチェルもだ)し、様々な音楽性を持ったメンバーが集うWCGDにあって、キャメロンの存在というのもまた欠かせないのだな、とも思う。同じくWCGDのメンバーであるマイルス・モズリーのリーダー作に参加していることや、自身のリーダー作でロナルド・ブルーナーJr.を起用している理由も合点がいく。確かにキャメロンのこの音楽性だと、ブルーナーのパワフルなドラムが必要になってくるだろう。それにブルーナーはスタンリー・クラーク・バンドのメンバーでもあったし。そのスタンリー・クラーク・バンドに以前上原ひろみが参加していたこと、後釜としてキャメロンが加入したことも頷ける。彼の音楽性を知ったということ以上に、なんか色んなことに納得がいく、そんなライブだった。


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