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寒咲兄妹の慧眼にひれ伏したいっ -弱虫ペダルSPARE BIKE巻島裕介 2 読後感想-

一度は部活を辞め一人で走ろうと思った巻島だが、その後も部活に参加し練習を続けていた。練習を順調に積む金城、やる気に満ち張り切る田所。一方巻島は浮かない顔をして練習でも1歩も2歩も遅れてる。そんな巻島を気にかける1人の人物がいた。総北高校自転車競技部キャプテンの寒咲通司。巻島の使い込んだグローブを拾い、何か感じ入るものがあったのか休憩中の巻島に話しかける。会話の中で自分の本音と向き合うことを決めた巻島は1年生レースの後自主練をする事を決める。

キラキラの金城、ギラギラの田所。金城真護がとてもピュアな感じが新鮮です。この2年の間に起きた事、金城の責任感の強さが彼の面持ちを険しく逞しく変えたのだろうか、と本編の金城真護を見る度に少しだけ切なく思ってしまいます。

一方巻島は自分のしたいことを見失ったまま練習に参加しています。楽しくない練習。自分のスタイルを封じる練習。(でも先輩二人は決して悪気があるわけではなく、巻島のため、チームのためを思ってるからこそでそれを巻島も分かっているんですよね。そこがもどかしい)

この部の中でそのもどかしさに気付いたのはただ一人。キャプテンの寒咲通司でした。入部したてなら新しい事を吸収するのがものすごく楽しい時期。使い込んだグローブを持っているのに浮かない顔で練習している新入部員に気付くのはキャプテンとしての度量に優れている、という事とは別視点で寒咲家の慧眼にひれ伏しちゃいます。

坂道の才能の片鱗にいち早く気付いたのは寒咲幹。巻島の努力にいち早く気付いた寒咲通司。寒咲兄妹は図らずも二人の天才、ではなく不器用で泥臭い、でも心から愛さずにいられない二人のクライマーの原点にいました。
ここでも巻島、坂道の共通点を見つけて気分があがりますね。

そして巻島と寒咲との会話は弱虫ペダルという作品の根底にあるテーマを語る重要なものだと思います。
自転車は気持ちがのる乗り物。
気持ちって何?自分を極限まで追い込んで何もかもを捨てても最後まで振り落とされず残るものなのかもしれません。

たくさんの名場面が蘇ります。
ただこの時の巻島はその真の意味が分かってはいないのだと思います。でも心の声に正直に向き合い暗い坂道を登り始めます。登って登って登った先に何が見えるのでしょうか。
第三話に続く。

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