好きという言葉

20を超えて、私はものすごい勢いで好きなことがなくなった。
前まで好きだったものが、今、何故好きだったのかわからない。だってこんなにつまらない。

代表的なものはスマホアプリゲーム。
高校生くらいのときは友達と一緒に同じゲームを入れて、共通の話題ができたから楽しくおしゃべりすることもできた。
そして、何より私は「話したい」と強く思えた。
自分の好きなキャラクター、攻略方法、好きな声優さんとか。
たしかに好きなものがそこにはあって、好きなものを誰かにわかってほしい、好きになってほしいという情熱があった。
それを話している間は何もかも忘れられた。
好きなものを話すことが何よりも楽しかったから。
あと相手の反応を見るのも楽しかった。

好きなものを語る私を相手に知ってもらうこと、が楽しかったのかもしれない。
厳密に言うと。

普段の私は暗いし無口だから、珍しい自分を誰かに知ってもらいたかったのだ。
いや、本当は、
好きなことに夢中になっている私、が本当の自分なんだと思ってもらいたかった。

そして、私に対する誤評価を直してほしい。
その誤評価のおかげで肩身の狭い思いをしているんだから、
とどこか怒りのような感情もあったのかもしれない。
話す声が大きくなったのも、好きなことの興奮もあったけど、半ば怒っていたのかもしれない。

歳だけ、大人になって今は好きなことや好きなものを熱弁する気力はなくなった。
そもそも、好きなこと自体なくなった。
何にも興味を持てず、感情はまるで使い捨てのように一過性と成り果てた。
だけど、また明日になったら、
何か生まれるのかもしれない。
通り過ぎたものにまた興味を惹かれて、リサイクルみたいに新たな感情が生まれる希望はある。
希望がある、と思いたいから、
とりあえず明日もがんばります。

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